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心情は物質化するのか?(ちょっとだけシックスセンス)


女子寮で?

 高校生だった頃に起きた不思議な経験です。
親もとから離れて女子寮に入り、学校生活や日常も、すべてがめずらしく新鮮な毎日を送っていました。
寮には50人以上の学生が生活していて、本州も含め道内各地から集まった、15才から18才までの女子です。
初めのうちこそ寂しさもありましたが、次第に新しい環境にも慣れ友人も増えて、どんどん楽しく賑やかな毎日になっていきました。
 その日は友人や先輩たちと、何気ない穏やかな休日を過ごすはずだったのですが…。
2階の廊下を歩いていると、部屋のドアが開いていて、中から友人3人の楽しそうな話し声が聞こえ、声で誰なのかすぐに分かりました。
 私は驚かしてやろうと思いつき、ドアのすぐ横の壁にペタリと張り付いて、3人が出てくるのを今か今かと待ち伏せしました。
がしかし、3人の会話はどんどん楽しくふくらんで、なかなか出て来ません。
途中、何度も部屋の中をのぞきたくなりましたが、今見たら気付かれてバレてしまうと、懸命に我慢しました。
 ところがしばらく我慢していると、部屋の中から友人が顔を出し、逆に驚かされてしまいました。
びっくりして「何で隠れているのが分かったの?」と尋ねると、「そこから何度も顔を出して、覗いていたでしょう?」と言うではありませんか。
そんな事はあり得ないのです。
私は必死に我慢して、1度も見てないのですから。
 もし、友人の話しが本当なら、彼女は私の気持ちを見たのです。
覗いていた?そんなはずはありません。
何故なら私は3人を、驚かそうと思っていたからです。
不思議な事もあるもんだねー?と言い合い、多忙な毎日に追われ、いつの間にか忘れていました。

 それから3年後、同じような事がありました。
社会へ出たばかりの私をひとつ年上の先輩が、可愛い後輩だと思ってくれていたようで、何かと気にかけてくれていました。
 その先輩が、会社の廊下の先にある個室から、何度もこちらに顔だけを出している事があり、不思議に思って個室に行き声を掛けると
…「何故、ここにいると分かったの?!」。
困惑した表情になり「見つからない様に、隠れていたんだ!」と言いました。
そしてさらに、その最中に何度も見ようと思ったそうです。
 私はすぐに寮でおきた不思議な事を思い出し、先輩に教えました。
先輩は納得がいかないようで、自分がここにいる事を、事前に知っていたのではないかと疑いました。
まるで嘘をついていると思われた事に“イラッ“として「それなら見せないでよ!こっちだって見たくて見てる訳じゃないんだから」。
「どこ見てるんだか、わからない目してたよ」と、突っ込みました。
先輩は「どこ見てるのかわからない目…?」と言った後、しばらく黙り込み、「嘘だろう-?!」と、さらに謎を深めているようだった。
 私と先輩は歳も近く、プライベートでも仲良くしてもらっていて、何でも話せる間柄になっていたという事もあり、お互い少し喧嘩ごしになってしまいました。

 私が見たのは、やはりあの時と同じ「気持ち」だったのでしょうか?
心が、その人自身の形となって、現れたのかも知れませんよね。
そうとしか考えられません。
そんな不思議な体験を、両方の立場から経験したのです。
今でもその真相は謎のまま、思い出として残っています。

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