=LOVE『絶対アイドル辞めないで』感想
=LOVEの新曲の感想を歌詞と共に、つらつらと書いています。
まずはじめにタイトルの字体から。「辞めないで」の右上がりの手書きフォントは、僕は好きではありません。紋切型で、手軽にエモさを演出しているようで。ですがそれは流行りものを嫌悪してる天邪鬼なだけかもしれません。とにかく他にもう少し良いフォントがあったのでは、とも思いますが、代替案も思いつきません。
続いて歌詞の感想を。
歌い出しからファンの心を掴んできます。むしろファンの気持を代弁しています。「アイドル」という職業柄、死よりも手前の「終わり」が暗黙の了解で存在しています。だからこそ「アイドル」は儚く、応援できる期間が短いからこそ、ファンの火力も強いのでしょう。
アイドル、もとい好きな人への想いをガツンと最初に持ってくることでこの曲の方向性が決まるようにも感じます。(題名を最初のフレーズに持ってくることで、キャッチーですしね)
お話し会等行っているアイドルだからこそ、そこでファンの名前と顔を覚えているアイドルだからこそ、出来るいじわるですね。
同じアイドルの他の人の列に並ぶ、同じアカウントで他のアイドルを応援していることを発信する、等のいじわるをしたら君(アイドル)は嫉妬してくれるのだろうか、という望みが見えます。
僕はそもそもお話し会や推し垢を持っていないので認知も何もありませんので、こんな発想に至ることはないですが。
上手い歌詞ですね。アイドルには「引退」の他に「熱愛」「結婚」という将来も付き物です。そんな起こりうる将来は見たくない、というファンの心理が書かれています。
コメント欄でもこの歌詞に関する感想が多く見受けられました。誰もが抱いている感情を改めて言葉にした、しかもアイドルが歌ってくれるのですから、胸を打たれるのでしょう。
「無くして」ではなく「隠して」と書いている辺り、想定しているファン像は「アイドルの私情に口を挟まないが、表には見せないでくれ」という気持ちを持つ人でしょう。それはアイドルにとってはかなり都合の良いファンだとも思うので、こうした歌を機に我々ファンの考えを変容しようという魂胆も見えなくもないですね。
「中毒」という言葉は『Junkies』という曲にも使われています。
「中毒」という強めの言葉を使うことで、ファンの想いが軽くないことを示唆していますね。
好きな人の好きに合わせて行動する、というのは髪色に関わらず、ファンならよく取る行動ですよね。
そこまでするファンは「中毒」と言われるほど熱中している、といっても過言ではないでしょう。
そこまで熱したんだからずっとステージで活躍してよ、という意味での「責任とってね 大好きです」なのでしょう。
「優しい目も 真面目顔も 全て知ってる私が言う!」とは随分大きく出た言葉で、ファン心理に偏ったエゴではありますが、その後の歌詞でも「エゴ」とは出てくるので、それぐらい大きなことを言えちゃう重ためなファンを想定しているのであれば納得です。
とにかく色んな面を知っているからこそ、君はアイドルが一番向いている、ということなのでしょうか。ここはちょっとわかりません。
「空で輝いて」というのは「ステージ上で歌っていて」と同義でしょう。「そこで輝くべき存在は市井の人になってしまっては意味が無い」という意味での「街じゃ輝かない」なのでしょうか。
ここから2番。いつかアイドルをやめる将来を考えていそうなフレーズ。君の夢が「ステージから降りて結婚して静かに暮らすこと」だとしても、それを聞き入れる覚悟を持っているのでしょう。
覚悟してでもその人の夢(隠し持ったもの)を知りたい、というのは僕にはよくわからない心理ですが、そう思いたくなるのはわかります。
ここの歌詞は好きです。「目が慣れずに」という部分で覚束ない足元を表現しており。良い具合に抽象的で好きです。航海士が星を読んで夜の海を渡るように、ふと出会った星のようなアイドルの存在で、頑張る理由が生まれたのでしょう。良い歌詞ですね。
イコラブの、ファンとアイドルの関係を歌った曲では「大きなステージで」がよく出ます。なんだかファンの使命のように書かれており、サブリミナルなものを感じて、たまに恐怖を抱きます。でもアイドルからしたらファンがいないと大きなところに行けないわけで、歌詞に書く書かないの区別は難しいのかな、とも思います。ステージの大きさで比べなくても…とも思いますが、アイドルとしての地位を表すのはステージの大きさが一番のステータスなのでしょうか。
アイドルとしての賞味期限は短く「脆い」からこそ、想いは「強く」なるのでしょう。そしてステージで輝いてほしいというファンのエゴよりも、アイドルではないかも知れない君の夢を優先して叶えて欲しい、というファン心も見せます。しかしアイドルとしてのキラキラとした姿も見ていたい、という葛藤が「だけど でもね」に表現されています。
アイドルに終わりが来ることはわかっていても、恋よりも深くずっと好きでいる。だからこそアイドルという魔法は終わらないでほしい、という願いが込められているように感じます。
アイドル自身の夢や望む未来を優先したい気持ちはもちろんあるが、それでもアイドル姿をずっと見ていたいというファン心理が描かれた曲でしたね。
野暮なこと
約1ヶ月の活動休止をしていた舞香ちゃんは、本楽曲のセンターで活動再開を果たしました(正確にはテレビでの活動が本格再開)。
その1ヶ月間、ファンは多かれ少なかれ「舞香ちゃん、アイドル辞めちゃわないかな」と思った事でしょう。僕も考えました。
そんな心理がこの曲には込められているように感じます。
ですが、この曲が作られたのは、舞香ちゃんが休止するよりも前のことでしょう。なので舞香ちゃんの活動とこの曲の歌詞を結びつけることはナンセンスだと思います。
この歌詞の持つ普遍性と、いつ来てもおかしくはない活動終了をまざまざと見せつけられた、そんな瞬間でした。
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