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家にあるきものをどうしたらいいか

きもののお仕事をしていると、家にあるきものをなんとかしたいから、見に来て欲しい、あるいはもらって欲しい、と言われることがよくある。

基本的にお断りするようにしている。

なぜなら、いただいても、実際着用するとなると、お手入れなしに着られることはまずないし、簡単にお手入れといっても非常にお金がかかる。

デパート勤務のとき、リユース(委託販売)のお店が同じフロアにあったが、たくさん持ち込まれるきものの中にはお断りしなければならないものが多かったようだ。

サイズが小さい、裄が短い。衿などに汚れがある。羽織りや道行は丈が短い。色が派手すぎる(昭和のオレンジ、黄緑色、紫)など。

なぜ引き取ってもらえないか、それはズバリ、売れないからである。

いいものだと聞いていても、残念ながら現在ではその当時ほどの価値はない。

私自身、母のきものをいつまでも手放せずにいる。母は大柄だったので、そのままでも着用できるのだが、昔のきものは仕立て方が違う。裄がそんなに長くないし、身丈は長くても、衿下が短かかったりする。普段着にする分にはそのまま、気にしないで着ている。

たくさんあった、きものの中から、加賀友禅の留袖、藍染の付け下げ小紋、どろ染めの大島紬などは仕立て直しをして、大切にしている。色無地のきものは染め直しをしたものの、元の色の方が好きだったかも?あまり着なくなってしまった。

きものを着る、あるいは今後着てみたいと思っている人、あるいは売りたいと、思っている人。

①まず、サイズの確認。身丈と裄があまりにも小さい場合は、お直しの必要がある、と言うこと。(そのままでは着れないし、売れない)

②留袖、振袖、色無地、訪問着、喪服などは一応キープ。(もしかしたら、必要になる時があるかもしれないから)

③泥染めや龍郷柄の大島紬、藍染の久留米絣や弓浜絣、小千谷縮などの工芸的価値のあるきものがあったら、もちろんキープ。

③きものの柄は古いものほど面白いものが多いので、好きか、そうでないかで判断する。問題は、色彩。奇抜なものは着にくい。赤は例外で好きな人が多いし、案外着れる。シックなものはキープ。

④きもののサイズにあった、長襦袢は、色柄に関係なくキープ。

⑤帯は、固く、分厚く、短いものが多い。使えなくはないものの、案外使いにくい。金糸銀糸が使われた名古屋帯はあまり使い道がない。(紬などカジュアルな装いに使えないし、フォーマルには袋帯。コンサバな装いには使えそうではあるが、あまり出番はない)額に入れたり、テーブルセンターにしたり、バッグや袋物にすると素敵に生まれ変わることも。

⑥羽織ものは丈の短いものは野暮ったいので、いっそ、こどものきものやや洋服にしたらどうでしょう?

売る(業者・フリマサイト)
業者の引き取りは、二束三文。悲しいほど安い。そのことは覚悟する。ダンボールに入れて送って、買取価格がつかないものは、そのまま引き取ってくれる業者もある。(送り返されると、送料もかかるし、ちょっとたいへん。)買取業者を家に入れるのは賛成できない。(きもの以外の押し買いの危険性)
フリマサイトは、安ければ売れやすいが、送料を間違えると赤字になったりするので注意。洒落たものはオークションに出せば、値段が上がる可能性はある。

あげる(友人、知人)
欲しい人にもらってもらうのが一番だけど押しつけにならないように。送る、運ぶなど、まあまあたいへん。

寄付する(NPO法人)
送料などはかかる。

捨てる(自治体)
自治体のルールによる。一度にたくさん出すのは流石にNG。

参考になったかどうかわかりませんが、私の考えなので、異論反論もあるかと思います。絶対に着ない、とわかっていても、好きなものは、そばに置いといてもいいのかなぁと思います。


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