愛するということ

🔑人間の孤独の不安を完全に克服できるのは愛のみである。
成熟した愛とは、
成熟した母性愛によって得た自己愛と、
父性愛によって生き方を覚え、
母父両面を兼ね備え満たされ成熟した自己を確立する。

生きる上での最低限を満たした余剰的余裕により、相手を知る努力をし与えることで(愛すること)で合一体験をを得て、孤立感を克服することができる。
友愛はあらゆる愛の基礎となり、恋愛は生涯を通し最も努力するべき唯一無二の相手である。
母性愛とは、母親の満たされた超越願望から来る無条件の愛である。
神への愛はさまざまであり、人間の発達段階にに連動し、その段階の愛の形である。
1、無条件の母性愛。2、条件付きで導いてくれる父性愛。3、両者を兼ね、神は正義の概念でその行為に従うこと。

🔑現代は、愛する対象にフォーカスされるが、愛とは、他の分野と同じように技術を用し、努力するもの。市場取引の恋と、共に生きる愛は違うもの。


🦋愛の理論、それは人間の実存の問題に対する答え

🔑人間は孤独が最大の不安で、いかに克服するか

いかに克服し、合一を目指し、個人の生活を超越して他者と一体化するか。人間は理性を持った独立した存在だが、自然や社会の前では無力で孤立は不安の源になる。この解決策の記録が人間の歴史である。

🔑一体感を得る三つの方法は不完全

1、祝賀的興奮状態、一体感は一時的
2、同調、一体感は偽りの一体感(持続的だが)
3、創造的活動、一体感は人間同士の一体感ではない。
いずれも実存の問題に対する部分的な回答でしかない。

🔑克服の完全な答えは愛である。

人間同士の一体化、他者との融合は、根源的な人間の最も強い欲望である。人間の孤立を克服するための方法としての愛、合一願望の実現としての愛。

🔑成熟した愛と、不足を埋める共棲的な愛

自分自身が満たされている前提。
自分の全体性と個性を保ったままでの結合である。
人を他の人々から隔てている壁をぶち破る力であり、人と人を結ぶ力である。愛によって孤独、孤立を克服する。
 未成熟な形の愛。
依存関係。相手の一部になるか、相手を自分の一部にするか。

🔑愛は能動的な性質を持つ活動、つまり与えること、外の動機に駆り立てらない

外の動機により駆り立てられて受動的に落ちるものではない。
愛は、自由で自ら踏み込む行動で、つまり与えることである。
能動的に自分に本来備わっている力を用いる。
瞑想など世界との一体感を味わうのみ。

🔑与えるためには、自己を満たし、与えることで喜びを得て、他者に愛を再生産する人

与えることは本来、自分の生命力の表現で自分の力と豊かさを実感し、本来その行為自体に喜びを感じる。
 故に、発達度合いが低い状態、つまりまだ、自己が十分に満たされておらず貧しく与える余裕がない卑屈な者には理解できないし、また貧困がつらいだけではなく、与える喜びが奪われる。
 (与える喜びとは、自分がここにいていいという感覚、承認欲求、自分の存在価値、人の役に立つ快感?)
 物質であれ、形而上的なものであれ、豊かな人は与えることで、自分は自分のものを他人に与えられる人間なのだと実感する。
 貧困を満たし、人に与える(人を愛せる)余裕があると、与える行為を通して喜びを得るだけでなく、他者を満たし、与える余裕のある満たされた人にする。
 愛とは愛を生む力であり、愛せなければ愛を生むことはできない。                富を貯めるよりも、与えることでそこに喜びを感じるようになる。生産的な性格な人とはこういうことである。

🔑愛の基本要素は、配慮、責任、尊重、知、そして与える。

これらは連動し、成熟した人間にのみ見られるもの。
配慮、愛するものの生命と成長を積極的に気にかける
責任、外的要因ではなく、自発的に他人の要求に応じる用意あること。
尊重、その人のありのままを見て唯一無二の存在である事を知る能力のこと
知、尊重のためにはその人を知る必要がある。


🔑人間の秘密を知りたい、孤独克服他者との融合のために

2、愛、能動的に相手の中へ入っていくこと。
知によって歪んだ幻想を修正し相手の現実の姿を見て自他を客観的する。

そして愛の行為、自分を与え、相手の内部に入っていく行為において、すなわち結合体験へ飛び込むことで、完全に知ることはできないが、より深く知ることができる。
1、他人を力で押さえつけること。不完全。

🔑愛とは、世界に対する態度、性格。愛の対象の相手は関係ない。

世界に対して人がどう関わるかを決定する態度で、性格の方向性である。
一人の他人しか愛さず、他に無関心ならば、それは共棲的愛着または自己中心主義の拡大である。
愛の対象さへ見つければいいというものではない。
 一人を愛するとは、自他すべての人、世界を愛することで、態度である。

🦋愛の種類

🔑母の無条件の愛は自己肯定を。父の規律服従の条件つき制御可能な愛を得て自立の方法を学ぶ。

 母の愛。全人類の憧れ、愛される経験による自己肯定。無条件だからこそコントロールすることはできない。
 父の愛。規律服従こそが最大の美徳で、条件付きだからこそ、努力で愛を自分でコントロールできる。
成熟した人間は、父と母から自由になって自分の内側に

自己肯定の母親像を、理性判断の父親像を作り上げ、この両方によって人を愛することができる。
父親的良心のみであれば残酷で非人間的、母親的良心のみであれば判断力を失い、自他の発達を妨げる。

🔑友愛、あらゆる愛の根底にある基本

 汝の如く汝の隣人を愛せ。
あらゆる愛の根底にある基本的な成熟した責任、配慮、尊重、知、つまり愛のこと
 友愛の底には我々人間の核は同一でありそれに比べたら、才能や知性や知識の違いなどとるに足らない。

相手は関係ない。対等なもの同士。(弱く見えてもそれは一時的)
この同一性を体験するには表面から核にまで愛をもって踏み込むことが必要である。

🔑成熟した母の母性愛、乳と蜜

1、生命成長の保護、乳、(世話と肯定)
2、生きることへの愛、蜜、(人生の甘美さ)
母は子を、ナルシズム、所有欲、支配欲、超越への欲求、から簡単に愛することができるが、
子供が乳を必要としなくなった時に愛せるかは、母が自分の存在にしっかり根を下ろして、与えることに幸せを感じることができるかで、成熟した幸福な母のみ、蜜をも与えることができる。

超越への欲求、すなわち人間は神に創造されたという受動的な役割を超越するものだという欲求。を満たす。
女は子を作ることで、この欲求が満たすことができた。男は人工物や思想を生み出すことで自分を超越したいとする。

🔑友愛を発展させ、生涯をかけて完全な理解を目指す決断をする、唯一の人生恋愛相手。性欲のみは努力が未熟。

恋愛とは、人間は核は本質的に一者であるために誰が相手でも関係のない友愛の面を持つが、

人間は同時に表面において唯一無二の存在で、恋愛においてはこの唯一無二性が重要になる。
他の特定の人間を完全に融合したいという願望で、これは一人の人間としか不可能なので排他的である。
性欲由来で、相手を理解した気になる未熟な単なる激しい感情ではない。
愛はどのような相手でも関係がないため、ひとえに一生をかけて愛する努力をする意思と決断の行為であるり、保障されるべきものである。

🔑愛は自己愛の上に成り立つ。これが欠けると自己を埋め合わせるため利己的、または自己犠牲美徳になる。

汝の如く汝の隣人を愛せ。
自己を肯定、尊重し自分を愛し理解することは、他人を尊重し愛し理解することと切り離せない。

利己主義

自分の役に立つかの基準で判断する。
自己を愛せないため、それを埋め合わせるために、自分の役に立つかの基準で判断するように利己的になり、能動的生産的に他人を愛することができず、そして空虚感と欲求不満から抜け出せない不幸な人である。

🔑神への愛の発達度合いと、人間の愛への発達度合いは連動し同質のため、神への愛も、孤立の克服になる

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