二月大歌舞伎(令和5年2月2日~25日 休演10日、20日 歌舞伎座)予習
【第一部】
三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
通称「三人吉三」。河竹黙阿弥(1816~93)作。題名に「白浪」とあるので、盗賊ものだということは1月の記事でご説明した通り。
和尚吉三、お嬢吉三、お坊吉三の3人の「吉三」が出てきます。
お譲吉三の、
「月も朧に 白魚の 篝も霞む 春の空
冷てえ風に ほろ酔いの 心持ちよく うかうかと
浮かれ烏の ただ一羽 ねぐらへ帰る 川端で
竿の雫か 濡れ手で粟 思いがけなく 手に入(い)る百両
ほんに今夜は 節分か 西の海より 川の中
落ちた夜鷹は 厄落とし 豆だくさんに 一文の
銭と違って 金包み
こいつぁ春から 縁起がいいわえ」
は名台詞として有名。最後のところぐらいは聞いたことがあるでしょう。
二月大歌舞伎では3幕5場を演じるそうで、本当はもうちょっと長いので、「通し」ではないけれど、上演記録を調べると最近はこの3幕5場で演じることが多いです。
最後の「大詰 本郷火の見櫓の場」で浄瑠璃「初櫓噂高音」が清元と竹本(義太夫)の掛け合いで演奏されます。
お嬢吉三の衣裳は八百屋お七の衣裳とよく似ているし、お坊との恋愛(?)や、最後が「火の見櫓」の場であるところから、「八百屋お七」と共通の世界と言えます。
【第二部】
女車引(おんなくるまびき)
「女車引」は『菅原伝授手習鑑』の「車引き(車曳)」を女性版にした舞踊です。清元で踊ります。
元々の「車引き」は松王丸、梅王丸、桜丸のやり取りですが、「女車引」はその女房である千代、八重、春の3人での踊りとなります。
船弁慶(ふなべんけい)
こちらは長唄の伴奏での歌舞伎舞踊です。こちらも作詞は河竹黙阿弥です。作曲は二世杵屋正次郎。
能の「船弁慶」を翻案した松羽目もの。「中村富十郎十三回忌追善狂言」とありますので、中村富十郎の息子さんの鷹之資さんが主役をやります。前ジテは静御前、後ジテは知盛の霊となります。
長唄もなかなか派手で聴きどころいっぱいの曲です。
【第三部】
霊験亀山鉾 亀山の仇討(れいげんかめやまぼこ かめやまのあだうち)
2017年に国立劇場で仁左衛門さんが演じたのが記憶に新しいですが(あの時のポスターがとてもかっこよかった)、それ以来の上演と思います。また仁左衛門さんなのですけどね。
通し狂言と書かれていますので、4幕9場ですね。四世鶴屋南北の作です。
仁左衛門さんの悪役がとても素敵なので、ぜひご覧あれ。
1月に続き、2月もいい演目ですね。
ここ数年、歌舞伎座の狂言立てに納得がいっておらず、年間に行く回数も減ってしまった私としては、1月に続き2月もいい演目ばかりなので行くことは間違いないです。全部見たいけれど・・・。
来週にでも「船弁慶」の歌詞を上げたいと思います。