住まなきゃわからないうざったさとそれをかき消す夜景と狭さと間取り
〇〇〇〇不動産。CMでも大々的に流れ、人気のエリアにレジデンス特集などを打ち出す
この不動産会社。
ここは〇〇〇〇不動産村と呼ばれている程、この系列のマンションばかりが聳え立っている。
エントランスには受付の人が常備おり、クリーニングの手配、宅配、マンション内のホテルの予約、ラウンジのパーティー予約、毎日レジデンスの顔としてにこやかな笑顔で
いってらっしゃいませとお帰りなさいませのご挨拶は欠かさない。
このマンションを選ぶとき、その丁寧さに驚き、優越感に浸った感覚を今でも覚えている。
その反面、くすぐられるような背中のむずむず感も感じたのも本音だ。
毎日疲れそう、、 すっぴんでたかがコンビニへ行くにも服を着替えずジャージでエントランスを突破できるのか、、そんな不安もあった。
案の定、7年も住めば慣れるものの、エントランスを通らない別通路を使うこともしょっちゅうだ。追い打ちをかけるようにコロナの影響もあり、見渡す限り前面ガラス張りの庭園のようなエントランスで在宅勤務する人がごったがえしていたり、子供が集まって勉強しているから。
うざったい、、、案の定引っ越してから2週間でほっといてくれよ感は日々募っていくばかり。貧乏性なのだろうか、、そんな風に客観視してみたこともあったけれど、それぞれの育った感覚なのだろう。神奈川の自然の中で育った私の遺伝子は何年東京で一人暮らししても変わる事はなかったようだ。
見栄っぱりの人にはもってこいのこのマンション。全ては住みやすさではなく
見栄で聳え立っている。
その証拠に外観の美しさ、ロビーの解放感、ラウンジからの絶景の眺望。ジムの広さと満足感。
共有部分の徹底した建築には感心させられる。
東京タワーを見渡せる部屋は9F以上の北向き方面しかない。もちろん家賃と人気の部屋も景色と部屋の㎡数で取り合いだ。決して安くはない家賃20万以上の物件が空くことはめったにない。
ただし、例外もあるのだ。1kの間取なら15万前後で住む事が出来る。
キッチン2,6 リビング7.5 玄関から入ると目の前に2畳ほどの収納と洗面所、その先に風呂が設置されている。そこを通り抜けてリビングへ。間違いなく収納など出来るはずもない。なぜならその先の風呂と直結している為、湿気がすごいから。
ダイニングキッチン付きの部屋に関しては、リビングが4.5しかない。ダイニングキッチンの方がリビングより広いのだ。そして不思議な事に異様に洗面所と風呂が広い。
全てガラス張りで出来ているが、まるでホテルのエントランスにあるトイレと同でどう寝室スペースを取るのか首をかしげるほど間取がおかしい、、。
幸い、私の住んでいる部屋は狭いけれど普通に住める間取ではある。むろん家賃も20万越え。
ただし、手を伸ばせば何でも届くほど狭いし、収納もほほない。あるのは東京タワーが見栄えするベランダと景色だけだ。息苦しいほどの狭さの中で景色だけで満足出来ると思っていた自分。どんどん心が病んでいくことに気づかない振りをしていた5年目の春。
私は病気を発症しだした。
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