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303 死という概念を頭に入れる

 死というのは一番念頭に入れておかなければならない概念です。けっして避けるべきものじゃないんです。生命は瞬間瞬間にも死んでいきます。この一秒は二度と戻りません。だから、「捨てる能力」ですね、大事なのは。つかまってしまうと苦しい。なぜかといえば、つかまろうとしてもつかまれないんです。だから、幻覚を、蜃気楼を追っているような感覚になってしまう。だから、どんなものにも、執着することは初めから不可能なんです。この不可能のことを可能だと勘違いして、やろうとするから苦しみが生まれるんです。だから、蜃気楼を水だと勘違いした人は、ものすごい苦労を味わうんですよ。蜃気楼は蜃気楼だと知れば、これは触ることもできないと知れば、何の苦しみもないんです。そういうことで執着なんて初めから成り立たないもので、我々は勘違いしている。だから、死という概念を入れておくと、「捨てる」ということができるようになります。別に、理想の死に方がどうのと言わなくても、理想的に死ぬときは死にます。『一瞬で心を磨くブッダの教え』第5章 老病死に向き合い、人生を豊かにする《死》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【迷いと確信 大乗仏教からテーラワーダ仏教へ 山折哲雄氏との共著 (2007年) p275】

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