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175 親孝行とは何か

 親孝行というのは、親を喜ばせて自分を満足させるためにあるものではありません。自分のすべては借り物であり、何者でもない。周囲の人に支えられて生きてきたのだ ― ― そういうことを自覚するために恩返しをするのです。

 親に喜んでもらって、自分も嬉しくなるために親孝行していては駄目です。自分の人格を直すために、自分が善い人間になるためにやらなくてはいけないのです。自分が嬉しくなるための親孝行なら、結局一生をかけて親孝行をしても、人格者にはなれません。

 親を喜ばせたくて親孝行をする人は、自分が欲にだまされているのです。自分が本当に善い人間で、親のために尽くしていると思い込んでいます。親の財産なんていらないと言って、親が亡くなると財産をぜんぶ寄付したりもしますが、そこまでやる場合でも、欲にだまされていることがあるのです。

『一分で読むブッダの教え』第3章 人生の悩みは、仏教で解決する《子育てと親孝行》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【ありのままの自分 アイデンティティの常識を超える (お釈迦さまが教えたこと 4, 2007年) p130】

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