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184 自信がありすぎると失敗する

 結婚式でスピーチを頼まれたとします。

 自信がありすぎの人は、「よし、抜群のスピーチをしてやろう」と思って、頭の中であれこれと、できる限りの妄想をしてしまうのです。それで当日は三十分もしゃべったりして、ひんしゅくを買います。しかも、そういう人に限って、いいことは何もしゃべっていない。本人も、心臓がドキドキするわ、汗が出るわ、膝が揺れるわ、もうひどい気分なのです。妄想の中の自分を過大に評価していることが原因です。

 逆に、自信のない人のほうが抜群にいいスピーチができたりします。そういう人は「どうせ私は口べたで大したスピーチなんてできないから、一分ぐらい何かしゃべって早く逃げよう」と思います。でもその一分でしゃべることは、必要なことがぴったりと収まった、すごくきれいでいい言葉になります。

 「私は口べたなのであまり長い時間しゃべれませんが、とにかく本当におめでとうございます。お幸せに。ありがとうございます」という感じで、すぐ終わってしまう。でも、こちらのほうがみんなには大受けなのです。

 たったこれだけのことができないのは、自信がありすぎるせいなのです。

『一分で読むブッダの教え』第3章 人生の悩みは、仏教で解決する《成功と失敗》アルボムッレ・スマナサーラ サンガ出版【心は病気 役立つ初期仏教法話2 (サンガ新書2006年) p61】

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