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『もう明日が待っている』有名芸能人の存在意義 (1328文字)

 さきほど『もう明日が待っている』(鈴木おさむ著 文藝春秋)を読み終えました。
 私は、この小説の中心は「第7章 くじけずにがんばりましょう」だと思います。この章では、東日本大震災のときのことを書かれています。
 2011(平成213)年3月11日の地震があったとき、私は免震構造のビルの2階で仕事をしていました。免震構造ですから、建物がゆっくり横に動いているのが分かりました。数十秒で揺れが収まるだろうと思いましたが、揺れは長く続き「ひょっとしたら大地震かな。」と感じました。

 その後、福島第一原発の一部が水蒸気爆発し放射性物質が撒き散らされたという憶測報道が溢れました。
 放射能という用語の乱用、当時の政府の頼りなさ、米軍の「トモダチ作戦」、このころからテレビ報道は当てにならないと感じるようになりました。

 この本の第7章は、あの頃の心細かった自分を思い出させてくれます。
 「もう頼れるものがないのか。こんなピンチってあるかね。」と思っていたとき、日付でいうと2011(平成23)年3月21日(月)の22時に、『SMAP×SMAP』は生放送しました。
 「5人1列に並んだ中で、真ん中のリーダーがマイクを手に持ち、言った。『3月21日月曜日、夜10時を回ったところです。今夜の番組はお台場から生放送で我々5人でお送りしたいと思います。』(『もう明日が待っている』205ページ)。
 当時のワイドショーでは、リポーターと称する人が街角のあちこちで放射線量を計って線量の多さに驚いて見せるシーンを繰り返し放送して国民の不安を増加させることに熱中しているのにうんざりし、当時の内閣の動きのお粗末さにへきへきしていたとき、「国民の動揺を鎮める働きをしたのは有名芸能人だったんだなぁ。」と思いました。

 私は普段は芸能界に何の関心も持っていません。唯一芸能人に関心があったのは、子供のころ好きだった天地真理さんだけです。
 私はこの日の『SMAP×SMAP』を見逃していましたが、この本を読んで「観ておけばよかった。」と返す返す思います。
 私はこのすぐ後人事異動で自宅に戻る予定だったのですが、引越し業者も見積もりに来れない状況が続きました。それなりに困りましたが何とかなりました。このときの『SMAP×SMAP』を観ていたら、このときの心的負担が大幅に軽減されただろうと思います。

 なお、この本の221ページに、ある女性演歌歌手が福島に来て歌ってくれた、という話が書かれています。その人は連絡内容から何からカッコイイ振る舞いでした。
 この本にはその方の実名は伏せられています。この本全体が架空の小説風な体裁ですからね。
 でも、八代亜紀さんがこの本に書かれたカッコイイ女性演歌歌手と同じことをされたんだと、著者の鈴木おさむさんがYOUTUBE動画のNOBROCKTVで佐久間さんに語っていました。

 私はこのNOBROCKTVを視聴して『SMAP×SMAP』と八代亜紀さんの話に感動し、『もう明日が待っている』を買いました。

 読み終えた今思いますが、もう1冊買えばよかった。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #もう明日が待っている  
#『SMAP×SMAP』 #八代亜紀

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