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「きしたかの」高野正成 対 「オズワルド」伊藤俊介 ゴッドタン・みなみかわの相談相手オーディション (1413文字)

 テレビ東京の『ゴッドタン みなみかわの相談相手オーディション』での話です。

 お笑い芸人のみなみかわ(南川聡史)さんが相談する相手を探したいという企画なんですが、今まで何人もの芸人さんがオーディションにやってきて(という体で)、毎回不合格になるという展開でした。
 だいたいみなみかわさんが相談相手を求めるなんてとても信じられないので、この企画はみなみかわさんとオーディションを受けに来た芸人さんとのトークバトルを見るというのが楽しみ所だと思っていました。

 ところが今回は、最初に来た「オズワルド」の伊藤さんと二番目に来た「きしたかの」の高野さんとの遺恨をみなみかわさんが再燃させたため、いつもより緊張感のあるものになりました。
 オーディションに来たのはこのふた組なのですが、ふた組目の岸さんと高野さんのときに伊藤さんが呼び込まれ、前述の遺恨について事実関係の確認と伊藤さんが高野さんに対して言った内容の正当性について激しい言い合いがありました。伊藤さんは「戦争だ!」と言ったことから、その激しさが伺われます。また、その言い合い中の伊藤さんは顔が真っ赤になっており、興奮の度合いが激しかったことが分かりました。

 このやりとりは、『さんまのお笑い向上委員会』で、陣内さんが永野さんに飛び掛かって髪の毛を持って床に倒し、さらに髪の毛を掴んだまま「そんなふうに思っとたんか?」と詰め寄ったシーンと似ている要素があります。

 似ている要素は、①当事者2名がいて、一方がもう一方の芸を過剰に批判する。②①で言われたほうが、「許せん!」と反撃する。③ネットニュースが「放送事故」だとか「異様な雰囲気」などと盛り上げる。というところです。

 今までお笑いは、「人を傷つけないお笑い」といった平和的というかソフトなものがトレンド(trend 趨勢(すうせい))でした。
 私も昔みたいな「お前の嫁はん不細工やもな。」みたいないじりが面白いと思ったことはなかったので、外見いじりは面白くないからやめてほしいと思っていました。決して倫理的に問題があるとか、人間の平等性に反するからといった理由でやめてほしいと思ったわけではありません。
 ミルクボーイの漫才やペコパの漫才は内容自体が面白いし、笑いを停止させる外見いじりがないということで好きでした。
 ところがウエストランドが世間がなんとなく社会の矛盾めいて感じていたことを具象化して批判する漫才を開発し、その漫才でM1グランプリ2022で優勝しました。
 このことは①「人を傷つけないお笑い」というものがお笑い芸人達を萎縮させていたのではないか、②世間も「人を傷つけない」ことに過剰に制約される状況に嫌気がさして来ているのではないかと感じさせるものでした。

 そして、前述の二つの番組内での言い合いとつかみ合いです。
 両方ともお笑い芸人さん達がやっているので、本気なんだかお互いに共鳴しあっているのか実態は分かりませんが、衝撃的でかつ安心して見ていることができました。TKO木下さんのペットボトル事件の悪印象についても、これで少しは視聴者の感情問題が治癒されるような気がします。

 やっとお笑いで、言いたいことを言ったり、やりたいことをやれる時代が来たのかなと思います。
 でも面白くないものは願い下げです。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #オズワルド伊藤 #きしたかの高野 #みなみかわ #陣内 #永野

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