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テレビドラマ『快刀乱麻 新十郎捕物帖』 (1311文字)

 1973年から1974年にかけて大阪朝日放送から放送された (『有栖川有栖の密室大図鑑』有栖川有栖 文、磯田和図一 画 新潮文庫 P249)を毎週楽しみにしていました。

 「快刀乱麻」(かいとうらんま)とは、「快刀乱麻を断つ」ともいい、紛糾している物事を、てきぱきと手際よく処理することをいいます。主人公が難事件を解決する様を言い表しています。(「快刀乱麻」は、中国の故事からきています。 「快刀」はよく切れる刀、「乱麻」はもつれた麻糸のことで、 北斉の高祖・高歓が息子たちの能力を試そうと、もつれた麻糸を渡してほどくように言ったところ、手でほどきだした兄弟たちを横目に、高洋だけが刀で切って瞬時にほどきました。「ほどくというのはそういう意味ではない。」という気がしますが、複雑に絡み合った問題への対応方法としては正しい野かもしれません。)

 このドラマでは毎回、引退した勝海舟と主人公とが事件の推理合戦を行うのですが、結局は主人公が無事事件を解決します。
 また、主人公とその仲間らが巡査のことを「官憲」(「かんけん」。官吏。特に、警官。)と呼んでいたので、官憲ということばを覚えました。
 ただ、勝海舟は幕末の英傑(「えいけつ」。才知のすぐれた人。)の一人と思っていたので、主人公の引立て役にされていることには少し不満がありました。

 物語は死体の発見などで捜査がはじまり、犯人のめぼしがまったくつかないということで、事件担当の巡査が主人公に事件を持ち込みます。また同じ頃、勝海舟のもとにも当該事件のあらましが持ち込まれます。勝海舟には事件解決の依頼はされませんので、勝海舟は道楽のひとつみたいな感じで事件の推理を行います。主人公とは違い、勝海舟の方は安楽椅子探偵((あんらくいすたんてい、アームチェア・ディテクティブ、Armchair Detective)とも呼ばれます。現場に赴くなどして自ら能動的に情報を収集することはせずに、室内にいたままで、来訪者や新聞記事などから与えられた情報のみを頼りに事件を推理する探偵、あるいはそのような趣旨の作品を指す。)のように、事件の概要を聞くだけで推理によって犯人を特定します(そしてすべての事件でその推理ははずれます。)。

 主人公と勝海舟の推理がまとまったところで(この段階では主人公の推理は視聴者には知らされません。)主人公は真犯人逮捕のために行動を開始します。この行動開始のとき、主人公は座っている状態から急に立ち上がりその姿勢のまま静止します。そして、主人公にはスポットライトが当たり、ナレーションで主人公のキャラクターが語られます。主人公が最もかっこいいシーンです。

 そして、主人公がなんやかんやで真犯人を特定し謎も解明して、事件を解決します。

 このドラマは明治時代という設定ですので、今思えば登場人物の台詞等にはその時代の出来事などがちりばめられていたはずです。でも、子供だった私はそんなことちんぷんかんぷんで推理の行方ばかりを追っていました。

 今考えると惜しいことをしました。もう一度観たいと思いますが無理でしょうね。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #快刀乱麻

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