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アメリカ戦争テレビドラマ『ジェリコ』 (1291文字)

 かなり古いドラマのようですから、私が観ていたのは再放送か再々放送以降なのでしょう。
 『ジェリコ』は、連合軍の将校3名がチームになってドイツ軍に対するスパイ活動や破壊活動を行います。潜入行動中心なところは『特攻ギャリソンゴリラ』と似ています。
 登場人物は、
 (1)フランク・シェパード アメリカ陸軍大尉
 (2)ガストン・アンドレ フランス空軍中尉(恐らく自由フランス空軍でしょう。)
 (3)ニック・ゲイジ イギリス海軍中尉
の3名です。

 軍服を着用せずに軍事行動を行うので、ドイツに捕まればスパイとして死刑ということになりわけですが、ドラマ内での彼ら3名は楽しくやっています。
 戦後あまり期間をおかない時期に製作されているせいか「今のドイツには何やってもいいや。敗戦国なんだし。」って気分で作られているように思われます。

 それはともかく、ジェリコというのは旧約聖書にあるエリコの壁(えりこのかべ)のことでエリコの街の城壁のことです。
 ネットで調べたら「モーゼの後継者ヨシュアがエリコの街を占領しようとしたが、エリコの人々は城門を堅く閉ざし、誰も出入りすることができなかった。しかし、主の言葉に従い、イスラエルの民が契約の箱を担いで7日間城壁の周りを廻り、角笛を吹くと、その巨大なエリコの城壁が崩れた(『ヨシュア記』6章)。」とありましたが、私は旧約聖書を読んだことがないのでちょっと意味を把握できません。ジェリコとエリコの表記の違いも、ジーザスとイエスの表記の違いと似たようなものなのでしょうがそれも「そうなんだろうなぁ」と思うだけです。

 私の薄い記憶ですが、テレビドラマ『タイムトンネル』ではジェリコの壁をぐるりと取り巻く人々が一斉に大声を上げると、壁が崩壊しました。タイムトンネルのコントロールルームではその様を画像と音声でモニター(monitor 監視する)していて、カーク所長が「ジェリコの壁の神話は事実だったんだ。奇跡はあったんだ。」と言うと、スウェイン博士が「壁の崩壊は音波によるのですから奇跡ではありません。」と言ったりして、アメリカ人がジェリコの壁を常識として知っているのだと感じられました。

 で、テレビドラマの『ジェリコ』ですが、敵(ドイツ軍)の強い警戒を突破してスパイ活動や破壊活動をするという意味でこの名を使っているので、ドイツ軍がジェリコの壁なのでしょう。
 そのためか、任務完了のときに、3名で「ジェリコ」と言い合います。

 視聴した当時は面白かったのですが、その後時とともに戦勝国の価値観で作られた戦争ドラマについての疑問が湧いてきて、だんだん印象が薄くなって行きました。これは、『特攻ギャリソンゴリラ』も『ラットパトロール』も同じでした。
『コンバット』は、サンダース軍曹の分隊は斥候任務が多くて、スパイ活動はしていないので、正規軍の戦争ドラマとして観ることができます。『コンバット』でも、ドイツ兵の射撃技術がアメリカ兵のそれより著しく劣っているし、MG42機関銃の連射速度が遅いなど不満がないことはありませんが。

#創作大賞2024 #エッセイ部門 #ジェリコ

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