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映画『アルゴ』 (814文字)

 映画『アルゴ』(ARGO)は、2012年のアメリカの歴史スリラー映画です。
 物語は、イラン革命時に襲撃されたアメリカ大使館から大使館外に脱出しカナダ大使に匿われているアメリカ大使館員6名をイラン国外に脱出させるミッションを遂行するCIA諜報員とその協力者を中心に描かれます。

 キリスト教国のアメリカで作られた映画ですから、なんとなくイスラム教徒が野蛮であるかのような描写が随所にあります。
 映画冒頭に多くの反米イラン学生がアメリカ大使館を襲撃します。そのとき、アメリカ大使館では一斉に書類等を廃棄します。どこの国の大使館員も多くは諜報部の者か軍の情報将校なのでしょうから、アメリカ大使館にもイラン関係の機密情報はやまほどあるのでしょう。皮肉なことに、映画終盤でポイントになるのはアメリカ大使館の職員名簿です。
 この職員名簿はシュレッダーで裁断されているのですが、日本のシュレッダーと異なり紙を細長く裁断しています。だから、裁断された紙を繋げて元の状態を再現するのは根気があればそう難しいことではありません。日本の現在のシュレッダーで裁断された書類なら再現はほぼ不可能だと思います。

 この映画ではアメリカとカナダを讃える内容になっていますが、イラン革命前にアメリカがイランに対して行っていたことを考えると、映画の中の人物らと共に喜ぶという気にはどうもなれません。

 私がアメリカ人だったならこの映画にアメリカ人の誇りを感じたのかも知れませんが、私はアメリカと軍事同盟を結んでいる国(アメリカの外国である日本)の国籍を持つ者ですし、日本にとってイランはトップ10に入る原油輸入相手国であり重要な友好国です。
 アメリカの反イラン扇動に簡単に乗るわけにはいきません。
 そんなのに乗っても日本に利益がありません。

 この映画はそういう日本の立場を再確認させるという意味では、いい映画でした。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #アルゴ

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