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ヘイスティングスという名前 (795文字)

 ヘイスティングス(ヘースティングスと表記されることもあります。)というと、アガサ・クリスティが創作した名探偵エルキュール・ポアロの友人ヘイスティンスグ大尉を連想する人が多いと思います。
 でもそれ以外に、イングランド島のドーバー海峡沿岸に同名の町があり、この地で11世紀にノルマンディー公ギョーム2世とウェセックス朝イングランド王国との戦い(ノルマン・コンクエスト Norman Conquest(conquestは征服))が行われました。
 また、テレビミステリ『刑事フォイル』の舞台でもあります。
 アガサ・クリスティも『刑事フォイル』の制作陣もヘイスティングスという地名が英国人にとってどういう心的印象を与えるかを十分考慮して命名し、活躍場所を選んだものと思います。

 小説の設定から歴史を連想するということでは人気小説『成瀬は天下を取りにいく』の舞台も滋賀県大津市ですから「大津事件」(1891年に日本を訪問中のロシア皇太子を警察官の津田三蔵が斬り付けた暗殺未遂事件。湖南事件(こなんじけん)とも呼ばれる。)を連想するという意味では似ています(この小説の作者は大津市在住ということですし、読者はこの作品に地元愛を感じるでしょう。一方アガサ・クリスティや『刑事フォイル』は間接的に歴史的事実を感じさせるだけなので事情は異なります。)。

 『刑事フォイル』で見る限りヘイスティングスは中くらいの町といっていいと思います。

 ヘイスティングスもそうですが、ヨーロッパで作られたミステリには、ヨーロッパ史を知っていると興味深い事物があることが多いように思いますが、ヨーロッパ史に疎い私には気付かないことが大半です。

 翻訳者の方はこの方面についてお詳しいと思いますので、どなたか本を出していただけないかと思います。そうしたら私は2冊買います。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 #ヘイスティングス

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