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アニメ『巨人の星』

 このアニメだけは、毎週観ていました。

 内容を大まかに言うと、元読売ジャイアンツの三塁手の星一徹(ほしいってつ)は、従軍して負傷し三塁手としての遠投力を失い、結局ジャイアンツをクビになります。
 好きな野球ができなくなり、毎日酒に溺れて無為に過ごす一徹。
 そんなある日、一徹は日雇いの仕事を見つけてきて収入を家計に入れるようになりますが、そんな生活は長く続かず、それまでの苦労が過ぎた一徹の妻は亡くなってしまいます。残されたのは、一徹と長女明子、それに長男の飛雄馬(ひゅうま)でした。
 一徹は、自分の夢と亡き妻の思いを飛雄馬に託すべく日々飛雄馬に野球の訓練をします。
 もともと運動神経のよかった飛雄馬は、野球でも抜群の能力を発揮し、高校で甲子園に行き、十代の若さで読売ジャイアンツに入団しますが、身長が低く体重も軽かった飛雄馬の投げるボールはいわゆる「軽い玉」だったので、プロのバッターにはいいようにホームランされます。
 そこで、奇想天外な変化球を発明し、「大リーグボール1号」と名付けました。今で言うアメリカメジャーリーグ選手に対抗するボールという願いを込めた命名でしたが、その魔球の寿命は長くはなく、結局「大リーグボール2号」、「大リーグボール3号」と開発しなくてはなりませんでした。そして、大リーグボール3号でパーフェクトゲームを成し遂げようとしたとき、無理が祟って利き腕の筋が切れ、負傷した飛雄馬は父に背負われて球場を後にします。

 まぁ、ざっとこんな感じです。長くなるので登場人物や細かなエピソードは大幅に省略しました。

 飛雄馬の投球の特徴は、やたらモノローグ(monologue 独白)が多いことです。野球では投手が一番運動量があるポジションなんですが、なのにあれだけ考え込めるのは体力というか持久力がずば抜けているからでしょうか。
 大人は、「投手(星飛雄馬)の投球間隔が長すぎる。ボークになるぞ。」とか「あんなにストレートのコントロールがいいのなら、カーブかなにか覚えれば無敵だろう。なんで大リーグボールなんか考えてんだ?」とか言っていましたが、子供だった私はそんなこと分からないので、ただただ面白いと思っていました。

 今から考えると、「親といえども我が子の人生をあんなに拘束していいのだろうか?」と思いますが、当時は「黙って俺について来い。」式の指導が主流だったのか、世間もあんまり批判していなかったように思います。
 また、プロ野球は圧倒的な巨人人気(長嶋選手や王選手の人気だったのかも知れませんが。)に支えられていた時代でした。
 また、ジャイアンツも日本シリーズで連覇していたので、王道を行くプロ野球アニメだったのだと思います。

 ただ、内容に非科学的というか理屈に合わないことがいくつかありました。
 最も理屈に合わなかったのが、飛雄馬が小柄で体重が軽かったため、投げるボールの球質が「軽い」という設定です。
 ボールの反発係数は、投手によって変わるわけではありません。
 ボールの運動エネルギーは、ボール自体の質量と投げられた速度によって決まるので、投げ手の属性(体重など)はまったく関係ありません。なのに、飛雄馬はそのことで、大リーグボールを開発しなければならなくなります。
 大リーグボール1号は、打者が構えたバットに当てるという魔球。
 大リーグボール2号は、打者の近くに行くとボールが消えるという魔球。
 大リーグボール3号は、超スローボールですが、打者の振るバットを避けてキャッチャーミットに入るという魔球。
 こんな魔球を開発するくらいなら、シュートでもスライダーでもシンカーでも覚えればいいのに。と今なら思いますが、当時はとにかくオリジナルの変化球にこだわった飛雄馬の姿勢をかっこいいと思っていました。
 なお、大リーグボールは1号から2号、3号と進むにつれて非現実性が大きくなります。

 なお、『巨人の星』の頃の野球と、今年のワールドベースボールクラシック(WBC)の野球とを比較すると、圧倒的にWBCの野球の方が燃えます。

以上



#好きな番組 #巨人の星

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