「元派遣社員」という言い方が引っ掛かる
NTT子会社から900万件の個人情報が漏洩した事件は、連日報道されている。どうも引っ掛かるのは、テレビでも新聞でも、「元派遣社員」が起こした事件と連呼されていることだ。NTTの発表文を見ると、「元派遣社員」がやったことと明記してあるので、報道記者もそれに従ったのだろう。
なんで「社員」ではいけないのか? 派遣というのは雇用形態を指す言葉で、わざわざ最初から雇用形態を持ち出して「派遣社員」と言うのには、理由があるように見えてしょうがない。
事件を起こした社員は、10数年間「派遣社員」で、コールセンター・システムの保守管理業務に就いていたと言う。データシステムの会社というくらいだから、顧客の個人情報を扱う業務は最重要のはずだ。その業務を担っているのに、10数年間の長きにわたって派遣契約だったと言うのは、いかがなものか?
派遣社員が起こしたトラブルは、一義的には派遣元の会社の管理責任になるから、業務委託したNTTの免責度が高くなるとでも暗示しているのかな?
あるいは、「正社員」がやったことではないと言いたいのかな? それは問題でしょ?
なんでも丸投げ
今回のNTTデータの件では、重要業務の根幹を、派遣会社に頼っていたと言うことになる。もともと管理監督ができるはずがないのだと思えてならない。
以前、「えっ、それも外注ですか?」(8月22日投稿)でも書いたが、官公庁の業務外部委託が止まらない。
今朝の朝日新聞で、8事業3.9兆円に上る民間委託事業の実態が報道された。
コロナ禍の中、様々な業務が外注され、不正が起きた。コールセンター業務を受注した大手旅行代理店などの不正申請が摘発されたばかりだし、同じように外注された補助金支給をめぐっても、何と、当の担当官庁や税務署職員まで虚偽申請をして不正受給する事件も発覚した。
受注した会社が孫請け、ひ孫請けに再委託する例も野放しだし、不正や癒着の温床になるのは、目に見えている。
外部委託する官公庁、委託された民間会社のひどい実態は報道記事に譲るが、目を覆うばかりだ。一体どうなっているのだろう?
(了)
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