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使えないコメント

 大臣や会社幹部の「発言」は、たいてい新聞記事やテレビのニュースで知ることになる。発言は「コメント」としてそのまま引用されることが多い。中には、首をかしげてしまったり、突っ込みたくなるものもある。

「丁寧な説明をいたします」 〜 「丁寧」って何ですか?

 最近特によく耳にするコメントだが、立ち止まって考えると、変なコメントである。「丁寧な説明」って、何が「丁寧」なんですか?昨日までの説明は、「丁寧」でなかったのですか?具体的にどこがどう違うんですか?そもそも、丁寧でない説明ってあるんですか? 

「個別の案件にはお答えできません」 〜 物事は、たいてい個別です

 公職にある人が問題を起こした時に常用される。案件と言うのは、そもそも個別では? プライバシーに立ち入らない報道の仕方もある。一般人の案件だと、軽微なことでも、プライバシーなんて無視されることが多いけど。

「訴状を見ていないのでコメントできません」 〜 本当?

 訴状は当事者にはいつ届くのですか? 何でマスコミが訴状の内容を知っているのにコメントできないのですか?(訴状が)届いた後のコメントはあまり見たことがないが、翌日以降小さな扱いでフォローされることがある。そこに狙いがあるのかな?

「関係者によれば・・・」 〜 暗黙の了解?

 関係者って誰ですか? 本人(犯人・被疑者・被告)か捜査や裁判関係者以外に考えられませんが、どちらですか? 最近受託収賄罪で逮捕された国会議員に関する一連の報道を見て、改めて不思議に思った。情報には信頼度が必要だから、どう言う筋の人物かは、推して知るべしかもしれない。

「何が(特定)秘密かは、秘密(扱い)となっております」 〜 記憶に残る

 極め付けは、秘密保護法が国会で採決された頃の国会答弁で飛び出した。法律が規定する「特定秘密」の範囲を問う質問に対する答えだ。これはもう笑えない。ぽっかり開いた穴の深い暗闇へ導く、記憶に残るコメントだ。

 情報公開請求しても、黒い塗りつぶしばかりか、そもそも非公開。昨日(9月14日)、「森友学園問題」をめぐる公文書の開示を求めた裁判で、大阪地裁が出した判決もその流れにある。

 "判決は、文書の存否が明らかになれば、検察の捜査手法や捜査対象の範囲が推測されるおそれがあるとの国側の主張を受け入れ、「将来起こる同種事件で罪証隠滅が容易になる可能性がある」と指摘。不開示決定は妥当で、同省などに裁量権の逸脱はないと判断した。”

出典:朝日新聞9月15日朝刊記事

 公文書の改竄かいざん毀棄ききは公務員に対する信頼をおとしめ、国政を揺るがす大問題で、公文書の情報開示と捜査の技術的問題はレベルが違う。

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 テレビで時々放映される記者会見などを見ていると、イエスかノーかを問い質すことも、ひたすら何故?を繰り返して真相に肉薄することもない。イライラすることもある。総じて質問が長く、切り込んだり、突き詰めたりする質問が少ないし、中には、質問なのか演説なのかはっきりしないのもある。

  首を傾げたくなるコメントがそのまま登場する責任の一端は、質問者=マスコミにもある。質問が弱いから、コメントも木で鼻をくくったようになる。緊張感を持って仕事してほしい。

(了)

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