見出し画像

「山の上ホテル全館休業のお知らせ」

こんにちは、藤野屋新之助です。
私はstand.fmの音声配信で「藤野屋ウェイティングバー」という雑談のような配信もしています。

そこで割とよく聴いて頂いた「山の上ホテル」のお話をnoteでもご紹介しようと思います。

とても残念なニュースなんですが、「山の上ホテル全館休業のお知らせ」というのを発見してしまったという話です。
同ホテルのHPにこんな情報が出ていました。(この記事を公開した時点では既に休業期間に入っています。)

「創業70周年を迎える山の上ホテルは、竣工から86年を迎える建物の老朽化への対応を検討するため、2024年2月13日より当面の間、休館する事となりました。休館期間は未定であり、決まり次第ご報告させていただきます。」

​​​​山の上ホテルは、東京神田駿河台の高台にある小さなホテルです。
ちょうど明治大学の隣あたりの敷地にこじんまりとあります。

ここは、かつて出版社が密集していた神田に近いことから、名だたる作家が定宿にしたり、締め切り間近の作家が「缶詰にされる宿」としても有名なホテルです。

実際に、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、伊集院静さんなどが定宿にしていたそうです。

三島由紀夫は、このホテルをとても気に入っており、山の上ホテルに関して、わざわざ、こんな感想を残しています。

「東京の真ん中にこういう静かな宿があるとは思わなかった。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人っぽい処が実にいい、願わくはここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんように」という感想です。

「有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんように」という気持ちは、すごくわかりますよね。

隠れ家的なお店を見つけると、オーナーには悪いですが、こんな気持になります。

私も池波正太郎のエッセイに度々登場する宿として以前から知っていたので、食事をしたりバーに行ったことがありました。

また、ここにある「天ぷら山の上」は、ホテルだけではなく、銀座や六本木、更に日本橋三越の中にもお店がありますので、ご存知の方も多いと思います。

私は電子書籍を書いていますので、実はその印税で、今年か来年には、ここに宿泊して、「缶詰気分」を味わおうと密かに計画していました。

この情報を見つけたのも、いよいよ宿泊予約をしようとHPをのぞいたのがきっかけです。

「えっ、2月で閉めるの…」と思って急いで予約しようとしたのですが、どうも既にいっぱいで無理のようでした。

いやー、本当に残念。

先日、旧ツイッターに「その時はわからないけど、あれが最後の機会だったんだなぁ...」みたいなツイートをしましたが、早速それを味わってしまいました。

印税で行こうという思いつき自体は、このホテルにちなんで悪くないと思うのですが、なにもそこに拘らなくてもよかったかなと思います。

いつ再開するかわからないし、建て替えられたホテルに、あの風情が残るかどうかもわからない....

やっぱり思い立ったら、即行動した方がいいですね。

当たり前だと思っている事は、実は当たり前のことなんてなにもないんですね。こっちも歳を取るし。

そんな事を思い知らされた出来事でした!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?