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エンタープライズアジャイル勉強会 KDDIアジャイル開発センター様の「アジャイル組織を育てる」について参加してきました

 KDDIのアジャイル開発センターCEOの小暮さんと田原さんの講演でした。お二人の語り口が優しくてとても聞きやすかったです。
 KDDIさんは結構前からアジャイルやっている印象はあったので、KAGが2022年7月に設立という事は知りませんでした。講演でもありましたが、最近の露出はすごいので、KAGももっと歴史があると思ってました。

KDDIアジャイル開発センターについて

 KDDIでは2013年からアジャイル開発を推進。1チーム5名で始めた。アジャイル開発、サービスデザイン、クラウドネイティブを支援している。
 『①市場の変化スピードが上昇、②組織の役割遂行が第1優先になっている③ソフトウェアが強い企業が力を持っている』等の背景のもと、従来は大手SIerのように、企業ごとの共有化したナレッジをいかにもって効率化するか?という点が、企業個別のナレッジを力に競争していく形に変化してきた。
 マイクロソフトのナデラCEOが、『どんどんコモディティ化していき、テクノロジーを取り入れるスピードと顧客体験やビジネスを変えるかがポイントとなってくる』と言っているように、海外を見るとこのままでは置いてかれるという懸念があり、KDDIでもアジャイルを始めた。

ゼロからのアジャイル組織の拡大

 「アジャイルやろう!!」その一言から始まる。

KDDI自体のベース文化はウォーターフォール。通信キャリア、インフラ産業でミスがあってはならない。その中で、そういう文化にいかにアジャイルを入れるかで苦労した。

小暮さんが「ウォーターフォールについても尊敬している」とお話ししていたのが、スゴイと思いました。

ゼロからの変更については、当時は意識していなかったけど、組織変革の8アクセル(ジョンコッター)に今思うとあっていたとのことでした。

・変革の理由を明らかにすることが重要
1.危機感を醸成する
2.変革を推進するチームを築く(やるべきと思ったメンバーが挙手でやり始めた)
3.戦略的ビジョンを作る

・変革の実験を成功させる
4.ビジョンを伝え、志願者を募り、熱意ある人に変えていく
5.障害を取り除く
6.早めに結果を出す
※お客様を巻き込むときは始めの貯金が重要。最初頑張ってアジャイルっていいねってお客様に思ってもらわないと次に進めづらい。はじめに一歩をできるだけ小さくして動くものを見せることを重視する。

変革を広げアジャイルな組織を実現する
7.変革を促進する
8.変革を根付かせる

最初の方は、背伸びしてでも変化をしている事を社内にアピールすることが重要。銀の弾丸は存在せず、現組織とのギャップを1つ1つクリアしないと破綻する。相手の都合もあるのでこうあるべきと言っても伝わらない。こちらから妥協案も持ってきながら探っていく

前提:我流ではうまくいかない。必ず有識者のアドバイスをもらう事
PO :やれる人がる、とにかくPOは忙しい
エンジニア :スクラムチームに権限移譲を徹底
運用部門 :可能な限りチームに入れる
ステークホルダー :全員味方なわけではないが、ビジネスを成功したいという気持ちは一緒。会社のルールに段階的にやり方を合わせていく事も必要

これだけは死守した3つのポイント
 ・成功するまでやり続ける
 ・マネージャーが組織を守る
 ・やりたい人にやらせる

ターニングポイント
 ・アジャイル組織を明確化
  ※アジャイルという名前の組織を作ると良い。
 ・外部パートナーとの協働
 ・ボランティア精神で仲間を増やす
※ ブレークスルーするためにはお祭り大好きな人を作ることが重要。多くの仲間が入ってくれるコミュニティルームを作り、コミュニティリーダーは疲れちゃうので、マネージャーが支えていく。

アジャイルチームの拡大は分割が基本。一気に拡大はできない。チームが我流になるとナレッジが活かせないので、ある程度は合わせる。また、DevOpsは徹底的にやり、20%の工数を技術的負債解消に充てるを方針とする。開発終わると運用部門に引き継ぐことが多いので運用側してもこの点はメリットが大きい

社内共有/社内カンファレンスをたくさんやる
他部署に貢献、人財育成も貢献する

組織文化の発信のポータルサイトやQiitaの発信に力を入れる
学びの蓄積や各種コミュニティ

組織運営のこだわり

 従来型の縦割り組織から現場でシームレスにつながる組織をめざす。ただし、会社の組織の階層は簡単に崩れないので、仮想的に組織を作れるか?がポイント。
 組織運営スタイルとして、現場権限移譲を徹底。心理的安全性をベースに集団的知性、自由と責任の文化を作るかを意識。
 マイクロマネジメントはしない。いかに任せるかを重視。情報は隠すと組織の透明性がなくなる、どれだけ組織を信じられるかがポイント
 行動指針、憲章を作って、文化を浸透させていく。

KAGにおけるオフショア/ニアショア活用について

 2014年からベトナムのFPTソフトウェアとオフショア実施。オフショアチームと国内チームでハイブリッドで進める。プロダクトバックログを対等な関係で進めている。ニアショアについても沖縄の会社ともやっている。ローコードプラットフォームのPegaを使った開発が中心。アジャイルなので、信頼関係の構築が重要。
 ニアショアについて最初はうまくいったが、領域拡大が難しかった。POチームを作ったが機能せず、悪循環へ突入していった。
 ⇒高単価なコンサルさんと業務有識者の混合チームで設計を抑えていった。

感想

 最初は「アジャイルをやる」が目的の中心だったところから、「ビジネスをうまく回すためにアジャイルの考え方を適応して進めていく」というような10年の歴史の進化を感じました。資料の細かい内容にもストーリーと歴史があり、成果が出ているのはさすがだなと思います。
 エンタープライズでのアジャイル実践という事でかなり大変だと思いますが、「楽しく、アウトカムに拘りたい」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。
 エンタープライズに対して『のど越し良く報告出来る事』が重要というキーワードは大企業ならではで面白かったです。
 ありがとうございました。





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