新しいコラム 2

ビックリ仰天ですよ。

 このたび神奈川県建築士会編で「かながわ 昭和 たてもの 散歩」という本が発刊されて、一昨日送られてきました。(取材はたしか2年前くらい)

 それになんと、「チキンハウス」が取りあげられているのです。

 いや、「カーサ ブルータス」も来たぐらいだから、普通に出るなら驚きません。

 それが、神奈川県で、個人住宅で、うちだけなんですよ。普通の家は「チキンハウス」だけなんです。

 有名建築が117軒取り上げられていて、前川国男の横浜市図書館や村野藤吾の箱根プリンスとか、名建築ばかり。

 チキンハウスは002で、001がなんと山田守の傑作「長沢浄水場」です。(川崎市から始まっているので、順番は関係無いみたい)

 そりゃあさすがに「吉屋信子」自邸や「山口蓬春」自邸は吉田五十八設計の作品だから出ていますが、そういう元自邸は3,4軒、みんな記念館になっていて、個人住宅として使っているのは、「チキンハウス」1軒です。

 取材に来た女性と話し込んで、名刺に「茶谷」とあるので、「あの折り紙の? 東工大の?」と聞いたら、「娘です」と言われてまたビックリ。誰が押してくれたのかはおっしゃいませんでしたが・・・

 それにしても、ホームページを閉じようとしている時に、感慨深いです。

 私の(自称)デビュー作は「ヴィラ・クーペ」です。極めて造形的で、形で勝負したと言っても良い。しかし「建築文化」誌やフランスの有名雑誌で取り上げてくれて、意気揚々としていましたが、当時、一目も二目も置いていた「都市住宅」誌では、寂しい掲載で、作品としては決して評価されていませんでした。近年お会いした当時の編集長・植田実氏が「あの扱いはあれで良かったのか? 今でも考えることがあるんだよ」と言われました。

 その「都市住宅」誌が、「チキンハウス」は、実に印象的な扱いでした。特殊なアングルの夜景を見開きで載せてくれた。カメラは「際物的写真家」・羽田久嗣氏。凄い扱いだったんです。植田さんには認められたようで・・・

 私にとっては「ヴィラ・クーペ」は肉体のようなもの。そして「チキンハウス」は魂です。

 大学を辞めてから「商業主義建築家」に堕するところを、この「かながわ 昭和 たてもの 散歩」が目を覚ましてくれました。(お求めは神奈川県建築士会までと書いてあります

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