「幻日のヨハネ」感想文

コンパクトな感想文です。
幻日のヨハネ、終わりましたね。
人気のほどはどうだったのでしょうか。友達がいないのでそういったものはわかりませんが、少なくとも大人気、というわけではないことはXのトレンドとかでもわかります。
でも、この作品嫌いになれない、というか私的には好きだったんですよね。

そもそもラブライブシリーズ全く見たことないので、原作でそれぞれのキャラがどんな性格で、とかっていうことは全くわからなかったですが、
スピンオフのファンタジー作品という情報を知っているだけである程度雰囲気つかめる入口になっていたのが、初見の人にとてもやさしいと思います。でも、スピンオフでありながら完全別作品、みたいな雰囲気はあんまり原作ファンとしては受け入れられないものだと思います(私も「うみねこのなく頃に翼」はほとんど覚えていない……)。

一方で作品のドラマとしては、主人公のヨハネに感情移入しにくい(わがままだし、世間が見れてないし、メンタル弱いし……)というところと、
ドラマとしてのストーリーと、アイドルとしての日常・歌唱部分とがコントラストが強すぎて途中で脱落しやすかったり、盛り上がりに欠けてしまったところじゃないかと思います。
今は映画とか、映像作品としての作り方は様々ある中、1クール物として作るというのはいろんな縛りが発生すると思います。色々な視聴者に刺さる作品に仕上げようとすると、苦しい部分も多かったのではないかと思います。

でも、間違いなく、サンライズの原画・映像・アニメーションの細かさ、絵の崩れなさはもはや異常なほどで、感嘆せざるをえなかったです。
細かな唇や手の動き、目線の動き、ヨハネの感情が手に取るように、わかりすぎてしまうアニメーションでした。
山本由美子さんの絵、かわいいですよね。絵が上手、とかいっても仕方ないですけど本当に素敵です。

あと、2023夏アニメ(私はあんまり連作ものが得意でないので呪術とか、スパイ教室だとかそういったものはほとんど見ていないのですが)の中で劇伴(サンライズらしい音楽)、オープニング主題歌(最高)など音楽の面でも光っていたと思います。そりゃあ、もとがアイドルものだからということはありますが。

なんといってもオリジナルなのでちゃんと伏線回収を1クールのなかで丁寧に行う、というところは素敵でした。
今やアニメの原作はWEB漫画やらなろう系も多いので、1クールで終わらせる、1クール全体のシリーズ構成で伏線が蒔かれる、というのもなかなかないんですよね。
タイトル、OP、初回からずっとそうなんですよね。うん。初回から見直したい、と思った作品の1つです。時間ないので難しいですが。アイドル的な日常部分も伏線になっていたり、いなかったり。
伏線と思っていなかったところというか、初回に見たときに上手く理解できなかったヨハネ・ライラプスの関係が13話まで通してみて、やっと筋が通って理解できるようになった感覚でした。
正直、やられたな、と思いました。
もちろん、ライラプスの声を演じられた日笠陽子さんの温かみが本当によかったなあ思います。それがなければ説得力が出ないでしょう。

もう一つ、OPの歌詞(畑亜貴さん)が全体のヨハネを包むテーマであります。それが子供っぽいと取られてしまうのか、なんなのか考え悩んでしまいますが、
私自身はフレーズがとても心に刺さってしまったんですね。
「わからない、自分なのに、自分のこと」
「鏡の前でじっと見つめ合う ああ 私はなにがしたい?」

そして、最終話の「私にしかできないこと、まだわからないけど」というのが、
ファンタジーの終わり方としてはそれでいいのか?と思いますが、
現実で生きている私たちへの投げかけとしては、
わからないなりに楽しんで生きたほうが、ぐずぐず悩んでいても仕方がない、というテーゼとして私たちの悩みを少し救ってくれているように思えるのです。
私にしかできないことって生きてきた最後にしかわからないことでしょうね。
20代後半オタクには刺さると思うのですが、同士はどの程度いるのでしょうか……

MyGOも長文書きましたが、ヨハネとは相対する感じで、
向こうが現実を突き詰めていくなら、こっちは浮世離れした世界観に満ちていて、
でもどちらも少女の成長を描いている、
結論、迷いながら生きている
というのが不思議で、同クールにやっているのが面白かったですね。

ラブライブに興味は持ちましたが、アイドルものにはまだまだ手が出なさそうです。

p.s. 最後ああやって力業で解決するの、「なのは」を思い出しました。
海の上で戦っているのも、A'sと一緒ですね。

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