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対抗リレー

ーーーーーーパン!!



号砲が鳴る。
それを合図に一斉に走り出した私達。
目指すは君のもと。






思い返せば、
君との心の距離もこれぐらい遠かった気がする











期末テストも終業式も終わったのに
数学弱者だけが集められた教室。


「こんなことをするから余計やりたくなくなるんだよ。」


そんなことを言えるはずもなく、
ただ窓の外を眺めた。ただそれだけだったのに。


外で汗を流す君に恋をした。


有名な先輩でも後輩でもないただの同級生。
悪いけど、別にイケメンってわけでもない。
でもなぜだか、心を奪われた。







ーーーーーー頑張れぇ!!
一生懸命に走る中、
親友の声だけが耳に飛び込んできた。








「いや、無理だって。」
「いけるよ!」

梅の提案で君に数学を教えて貰うことにした私。



正直言って、数学が出来るようになりたいなんて
思ってないから、長続きなんてしないと思ってた。


それなのに



「いいよ。」
快く受け入れてくれて、


「やったじゃん!10点アップ!!」
自分のことのように喜んでくれたけど

「たまたまだよ。」
私は素直じゃないから、正直に喜べなかった。


それでも、
「いやいや岩本さんの努力の賜物だよ!」
そんなことを平気で言うから、もっと好きになった。








ーーーーーードサッ!!
気づけば私の体操着が黄土色になって
肘や膝からは血が滲み出た。








「告白しようかな。」
「お、やっとか。」
「でもなぁ、、、
 あいつ絶対私のこと友達だと思ってるよ。」
「そんなことないって!」





梅がそこまで言うなら、そう思ってみたけれど
その日の帰り君が女の子と歩いているのを見た。




普通ならそれだけで傷つかなかったけど、
今回ばかりはそうはいかなかった。



隣を歩いていたのは、あの飛鳥さんだった。
私の大好きな先輩。
寡黙で、人懐っこさを失ったような先輩。



そんな飛鳥さんが、君の隣を笑顔で歩いてた。
私はそっと、遠回りして家に帰った。









ーーーーーー蓮加!!








それから数学を教えてもらうことも無くなった。
君がいなくても点を取れるようになったから。
君と話す勇気を、失ったから。





そんな時、私の机にきたのは梅じゃなく君だった。

「ちょっといいかな。」





あの頃の私たちの定位置。
君が黒板側で私が逆。




「最近、、、さ、数学どう?」
「うまく、、、いってる。」
「そ、そっか。良かった。」


耐え難い沈黙がすぐ生まれた。


「、、、飛鳥さんと仲いいんだね。」
今度は私から話しかけた。

「あの人、僕の数学の師匠だから。
 僕の憧れの人なんだ。」

「そうなんだ、、、。」

「あ、あのさ、、」

「何?」

「岩本さんのことをもっと知りたい。」

「へ?」





「岩本さん、、、僕と付き合ってくれませんか?」





何も言わず君の胸へ飛び込んだ。



「い、岩本さん?オッケーってことでいいの?」

「うん。」

「良かった、、、。
 最近なんか避けられてる気がして、不安だったんだ。」

「ごめん。避けてた。
 飛鳥さんと付き合ってるのかと思って。」

「やっぱり、、、。」

「でも、良かった。
 君と同じ人を憧れたことも知れたし。」



気づいてなかったのは私だけだったんだ。



ーーーーーーお待たせ。
笑顔で待つ君へ、やっと辿り着いた。


fin





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