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Re:Break 2

「どうやったら元に戻れるか、
 それだけ答えろ。それ以外喋るな。」


さくらの目をまっすぐ見つめた。


「過去を変えること。」

「だから、、、!」

「何か一つ、過去を変えない限り戻れない。
 それが、この石を使う条件なの。」


もう何もかもにイライラする。


「勝手に石を使っておいて、条件とか出すなよ。」

「それしかなかったんじゃん!!」

「は?」

「○○のせいじゃん!!」



流れる涙を拭くこともなく、
さくらはそう言った。



「○○は悪くないのに、勝手に落ち込んで、
 大事な人との連絡全部絶ってさ!」

「、、、。」

「別れただけでそこまでしなくたっていいじゃん!」


「俺が悪くないなら、、、」

「何よ!」

「俺が悪くないなら!なんで別れんだよ!!」

「、、、!」







「y、、、いや、やっぱり、ごめんなさい。」





何度も二人で行った公園
思い出ばかりの公園

僕はプロポーズした。

喧嘩も、すれ違いも、倦怠期も
何もかも乗り越えたはずだった。

この人しか考えられない。

互いにそう言っていたはずなのに。
未来は約束されてるって、そう思ってたのに。




「どういうことだよ?」

「やっぱりあなたのとの未来は考えられないの。」

「あのこと、まだ怒ってる?」

「そういうことじゃないの。
 その件は、もう許してる。」

「じゃあなんで?!」

「、、、わかんない。本当に、ごめんなさい。」




あの時、奈々未を追いかけるべきだっただろうか。
でも少なくともその時の僕には
そんな勇気、残っちゃいなかった。








「何がいけなかった?どうすれば良かった?」

「、、、。」

「言えよ?
 そこまでしなくてもいいなら、
どうすれば良かったんだよ。」

「それは、、、!」

「職場の先輩で、
 みんな俺がプロポーズすることも知ってて、
 予祝までしてもらって、どの面下げて仕事行けばいい?」



「帰ってくれば!」

「知ってんだろ。母親がもういないことぐらい。」

「、、、。」

「3年前に一緒に看取ったよな。」

「東京行く前、、、だったけ。」

「そうだよ。」


「それでも、私がいたじゃん!!」

「告白を振った幼馴染にか?!」

「それでも!そうだとしても!
 一人になんてならなくていいじゃん!!」


いつもはか細い声のさくらが、声を荒げてそう言った。


「いっつもそう!!
 いい加減さ、自分だけじゃなくて
 他に責任押し付けてもいいじゃん!」


「、、、。」



その言葉を簡単には飲み込むことはできなかった。
それでも、ざわついた心が収まる気がした。

フーッと呼吸を一つした。


晴れるわけないと思ってた心は、
少しだけ明るくなった気がした。




「どこいくの?」

「ここにはターニングポイントばっかり集まってんだろ。」

「そうだけど。」

「もう一回、ターニングポイントを振り返る。」

「え、、、?」

「まだ過去を変える気はない。」

「、、、。」

「ただ、、、。」








「ただ、ちゃんと向き合いたいって、思っただけ。」

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