ホテル
事情があって、今年は何度も京都に行く運び。
今年2回目の京都を終えた。
ホテルまでのアクセスを調べたら。
今回も新幹線と宿がセットになったパックを利用した。
そういえばホテルまでどうやって行くのかな、とホテル名を入れた瞬間、怖い文字が出力された。
あ、事件があったホテルなのね、、、。
私は怖がりで、小学生の頃、母と姉がテレビでそういう番組を見ていると、怒りながら部屋を出て行った。なんであんなの見れるんだろう。全く。やになっちゃう。という子どもでした。
そんな私がそんなところに泊まれるのだろうか。
いや、でも土地柄、色々な争いがあったところだし、そんなの言ってたらキリがない。せめて事件のあった部屋から遠くしてもらおう、とホテルにメールした。
「怖がりなので、問題のあった部屋からできるだけ遠くして欲しい」と。
すると二日後に、
「かしこまりました」
とそっけない返事が。怖がりの私は、「もしやこれは代理で怖い存在のアレ(?)が書いている?」とビビりまくり。その文字の書体もなぜか怖く見えてしまう。
いやいや、でもここはホテルを信じよう。(と言ってる割に宿泊前日は、怖くて何度も目が覚めた。ここまでびびってるならさっさと事情話して変えてもらえばよかったな、、、)
そしてこんな状態になっているのにはもう一つ理由がある。
ほんとに嫌な旅館に当たってしまったことがあるのだ。そういうのを感じるタイプではないのに、ビシバシ嫌な感じが伝わってくる。怖くて怖くて寝れないし、起きてるのも怖いし、でほんと疲れた。
それ以来、旅館に泊まるのが怖くなってしまいホテルを選んでいる。
宿泊当日
そのホテルの行き方をビビりながら調べた。だってすぐに怖い文字が出てくるんだもん。これじゃホテルも気の毒だと思う。
ドキドキしながら辿り着いたフロントには日本語が上手なアジア系外国人。外国人スタッフがメインのホテルのようだ。
泊まる部屋は別館にあった。別館までの廊下を歩いて行くと、なんか臭う。嫌な匂い。なんだろう。(後々考えたら、泊まる日の前日大雨が降ったので、湿気ていたのだと思う)
部屋に入ると、そんな匂いは消えてホッとする。
しかし、その部屋は埃がひどく、あちらこちらに埃が溜まっている。こびりついている。これはうっすらついたというレベルではない。
ベットカバーはシワクチャ。部活で使うスポーツバックの中に入れていたユニフォームみたいにしわくちゃ。しかも結構厚い生地なのにしわくちゃ。
部屋の四隅も薄暗い。
備え付けの電話器にも変なシミが。思わず「え、血痕?」と狼狽えてしまった。
すごくない?受話器が汚れてるなんて。
ホテルでこんなこと初めて。
気持ち悪いから、電話器の血痕もどきを水で濡らしたティッシュペーパーで拭き取る。
しかも通された部屋は、◯階。確か事件があったところもそのへんだった。(怖くてしっかり記事を読めていない)
けれど、ホテルにはきちんとこちらの要望も伝えてあるし、気のせいだ、きっと。疲れたのでそのまま2時間休んだ。
一応、パンパンと拍手をして「今日からよろしくお願いします」と部屋の神様にお願いをした。これは怖がりの友だちから聞いたお祓いのやり方。
事実を知る
そろそろお腹も空いてきた頃だし、本館経由で食事に行くことにした。そしてそこでようやく事実を知る。
エレベーターの中のボタンで本館は6階までしかなかった。事件があったのは6階以上の部屋。
え、ちょっと待て。そしたら事件のあった部屋の棟ってこと?
私はてっきりメールでお願いした通り、事件のあった部屋とは別の棟の部屋かと思っていた。
「できるだけ遠くしてください」
ってメールしたら
「かしこまりました」
って返事が来たから、てっきり別の棟にしてくれたのかと思っていた。
しかし全くかしこまってなかったわけだ。
意味が分からないなら、どういうことですかとか聞いてくれるものと思っていた。
ホテルを出て、震える心でレストランを探すふりをする。今日一緒に泊まる娘にはこのことを話していない。今回、娘の用事で来たので、娘をこんなことで動揺させたくない、本業に集中して欲しいと思ったからだ。
でも私にはもう何もできない。思考停止。
ホテルに騙された、裏切られた、と思ってしまう。そっちの悲しさが強くてもう嫌になってしまった。
夫にヘルプのメール。
フロントで別の部屋にしてもらうか、もう別のホテルを予約したらいいかも、と心強いアドバイスをもらう。お金を余分に払ってでも、この震える気持ちをなだめていいんだ。そうか、こういうときはお金使ってもいいんだ。ありがとう。
でも私は生粋のケチ。これ以上の出費はしたくない。
最後まで娘には話したくなかったが、仕方なく全てを話す。
娘は、そういうことだったんだ、と笑っていた。
娘と相談して、フロントにせめて違う棟にしてほしいとお願いをしに行くことにした。
フロントにて
フロントで、若いアジア系のスタッフに説明すると、「部屋を変えたいんですね」と一言で言われ、少々お待ちください、と別の中年の日本人男性スタッフに話をしに行った。
結局この日本人男性とやりとりをすることになる。
よかった。話がスムーズか、と思ったのだが、残念ながら、話はスムーズには進まなかった。
事情を説明すると、部屋を使いましたか?と聞かれ、トイレに行ったときにタオルで手を拭いたな、と思い、タオルは使いましたと言うと、「それでは今日部屋を変えることはできません、明日の部屋なら変更できます。」と言われた。
いやいやいや。
怖いんですけど、と食い下がっても、「3年前に経営が変わったので、うちはそのようなことは知りません」と言われた。
いやでもこのホテルの名前入れただけで出てきたのに、知らないなんてそれはないんじゃないですか。しかもすごく埃っぽくて。
私も中年だから(?)厚かましい。
「メールでそういう問題があった部屋から離して欲しいとお願いしていたんですが」と続けて食い下がったら、フロントのパソコンを見ながら、「荷物はあるんですか」と唐突に聞かれ、持ってきてるわけないじゃんねー部屋を変えてくれるかどうか分からないのに。
突然何を言ってるんだ?と不思議に思いながら、「いや部屋ですけど?」と言ったら、変えなくていいんですか?みたいな感じになってて、いつの間にか部屋を変えてくれるようでした。
いやあ、メールの文章、分からなかったんだろうか。(なかなかシンプルだったけどな。)
ああ、やな感じ。
でも復讐も怖いので、下手に出て「ありがとうございます」って言って部屋に荷物を取りに行った。
娘は、
「ちょっとあの態度はないよね、、、あの態度を今度別のホテルでされたらホテルを変えてもいいのかも」
と言っていた。
そっか。ほんとほんと。確かにそうだよな。そうしたらかっこよかったなぁ。
そもそも断られたらさっさとホテルを変えようと思っていたのに、なんだかんだ食い下がってしまった。
「誠に申し訳ございませんが、あいにく他の部屋は満室でして」とか、「そういったご要望にはお応えできません」なんて丁寧に言われたら諦めてホテル変えようと思っていたのに、それより酷い態度を取られて思わず食い下がってしまった。
私アホかもしれない。
変えてもらったが
そして一悶着あったものの部屋を変えてもらった。でも部屋を変えてもらうのに、実は、違う恐れもあった。
最初の部屋より嫌な感じがするかもしれない。もっと嫌な部屋かもしれない。
それは的中した。
変更してもらった部屋も薄暗く、壁紙も剥がれていた。ベットカバーはしわくちゃではなかったけど、湯沸かしポットはベタベタ、ドライヤーもベタベタで気持ち悪かった。湯沸ポットからは湯垢みたいなのも出てきた。
それでもここで三日間過ごさなければならない。何も考えないようにしよう。
お会計
そして懸念事項もう一つ。
部屋を変えたから割増料金取られるんじゃないかとびびっていました。が、大丈夫でした。よがったー。
ちっとも安い値段じゃないのに。今まで泊まった中でワースト1なホテルでした。
でも口コミ読むと、よかったよかったってみんな好意的なの。なんでだろう。わざと変な部屋に通された?変な世界に行っていた?
怖いホテルだと、廊下で歩いている人の声や、隣の部屋の音漏れが逆に安心になる。誰かいる。よかった〜って。
ほんとに怖かったよう。
で、今回の教訓は、生きてる人間の方が怖い、でした。やな奴やなヤツヤなやつー。(ここで使いたくなかった)
(向こうもそう思ってるでしょうけどね。)
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