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こころ

最近、後輩と久しぶりに居酒屋に呑みに行った

ずっと目に入っていたけど初めて行く近所の居酒屋は、社会人が多くて私たちは少し浮く感じ。でも、大人の仲間入りができたみたいで高揚感もありながら、2人でカウンター席に座った。おすすめありますかって聞いたら、「おすすめ...全部ですねっ」て笑うお姉さんは愛想が良くて、明るい居酒屋にピッタリとあった雰囲気。

とりあえずメニューの人気ランキングに書かれてた上位のものをいくつかと、お通しの枝豆と、それからレモンサワーを頼んだ。後輩は甘いのが好きみたいで、梅酒のサワー。枝豆は茹でたものをさらに鉄板で焼いていて、しっかりと味がついていて絶品だった。

最近のこととか将来のこととか話しながら、ちょうどいい具合にガヤガヤしている店内は、アルコール混じりに冗談混じりに、どんな話題でも受け入れてくれそうだなぁと思う。
以前、後輩に恋愛相談を持ちかけられていたので、最近は片思いのあの子とうまくいってるのかと聞いた。普段はとっても話の面白い後輩も、お酒が入ってるのと、話題が話題なので、長々とラインや会話の内容や、思ったことなどを話していた。適当な相槌を打ちながら、こういうのもなんかいいな、と思った。
隣に座っていた夫婦が頼んでいたスルメイカのかき揚げが美味しそうだったので注文した。ボリューム満点で、二杯目に頼んだジンソーダとも抜群抜群で、揚げたてなのがジュワッとしててたまらなく美味しかった。

お互い三杯目のお酒を注文したころ、ふと、なにがきっかけで好きになったのかを聞いてみた。後輩は少し躊躇って話し出した。その子と会って少ししたころ、何気ないシーンで突然スポットライトがその子に当たって見えたようで、心臓をギュッと掴まれる感じがしたんだとか。キュンとかそう言うレベルじゃなくて、ギュンって。今でも、心臓を掴まれたその感覚が忘れられないと言う。
そんな経験ありますか?って後輩に煽るように言われて、素直に羨ましいと思った。目の前にいる子がそんな経験をしているなんて。まじまじと見てしまった。

「人間はやっぱり、こころですよ!」と高らかに言う後輩。なるほどなと納得しながら、その光景が少し滑稽だと思った。
理論とか理屈とかじゃ説明がつかないような、人を突き動かす何かの存在。生きていることの、唯一の証明なのではないかと言うほど尊いものに思えた。

メニュー表を見ながら飛び込んできた、"こころ"の3文字。焼き鳥の部位であることは知っていながら、後輩と2人で、これだ!これしかない!って言いながら注文した。

酔いが覚めたら小っ恥ずかしくなるようなこの日のやりとり。
締めに注文したやきとり。
今後も当分変わらないだろう2人の関係性に、少しやきもき。

...お粗末さまでした。


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