その7「赤いボタン。」

何も無い部屋にもう一つだけ付いているものがあった。壁に付いた赤い小さなボタン。それはナースコールだった。

白系統に配色された部屋の中では異彩を放つ赤いボタン。そういえば昼ごはんのお膳を下げてもらった時に「何かあったら押して下さいね」と言われた事を思い出した。ただその「何か」がわからない私が体の調子がおかしいわけでもなく、用も無いのに興味本位で押してもいけないそれを押したのは夕方になってからだった。

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