僕と2B 11-1

Chapter 11-1

僕が別館前で、刀の攻撃の型をしているのを見ていると、六花が近づいてきて言った。
「2Bさん、時間があったらあれ、やってるやんなぁ。」
「剣術部にはお墨付きをもらったし。」
「マジ?あの剣術部が?」
「それに体を動かしてないとなまるみたいで。」
「アンドロイドもなまるんか。」
「うん、でもなんか他に無いんかな。全身運動。」
僕がそう言うと、六花が意味深な笑みを浮かべた。
「あるで。」
「何?」
「これは?」
六花がスマホで動画投稿サイトを立ち上げて、画面を見せる。
画面では、音楽に合わせて2Bが踊っていた。
「これは?」
「MMDやん。ええやろ?」
「ダンスか・・・。」
「間違いなく全身運動やで。」
何曲か見たけど、確かに全身運動だ。
問題は、2Bが興味を持つのか、だった。
「どう反応するかなぁ。」
「2Bさんやったら大丈夫やて。この動画見せたら絶対興味持つって。もし、反応がイマイチやったら、強引に押したらええねん。2Bさん、押しに弱いから。」
「ほな、六花に頼もうかな。」
「まかしとき。」

六花が2Bにどんなアプローチをしたのか分からないけど、どうやら2Bはダンスに興味を持ったようだった。

「うちが手取り足取り教えてあげるから大丈夫やって。」
最後はこう言って強引に押し切ったようだ。
「ナインズも2Bさんが踊ってるところ、見たいって言うてたで。」
これが殺し文句になったようだ。

「どうやって教えるん?」
僕が聞くと六花は
「まず基本ステップから始めて、とりあえず1曲を覚えてもらうつもりやねん。」
「場所は?」
「ダンス部のアトリエを借りるんや。もう部長には話をつけてあるねん。」
「手取り足取りって、教えられるんか?」
「ふふん、心配やったら練習する時見においでや。」

練習日、ダンス部のアトリエに行くと部員が思い思いの場所でフロアに座っていた。
これから何が始まるのか、興味津々のようだった。
やがてアトリエの奥の部屋から2Bが出てきた。
続いて六花。
出てきた六花を見て僕は腰を抜かしそうになった。
と同時に、六花がダンスを教えることが、ストンと腑に落ちた。
座った部員にもざわめきが広がった。
六花はレオタードを着ていた。
上がタンクトップみたいで、胸元が大きく開いていて、背中は腰のあたりまで開いている。
そう言えば、小学校の時にバレエを習っていたっけ。
ここでセクハラと言われるかも知れないけど、六花について話しておこうと思う。
僕より約10センチほど低い身長にぽっちゃり体型。
体重は絶対教えてくれない。
周囲が太くて短く見える首に丸い肩。
鎖骨は埋もれて見えないけど、胸はとてつもなく大きい。
ブラの線が見えないのはノーブラなのか。
ぽってりお腹からふっくら下腹部へなだらかな曲線が続く。
ウェストにくびれは無く、腰は豊かに張り出してる。
太ももも豊かで、レオタードが食い込んでいる。
シューズは無く裸足だった。
2Bも裸足だった。

「まず基本ステップから始めるから、2Bさんはうちがする通りにやってな。」
そう言うと、六花はステップを踏み始めた。
体型からは想像もつかない軽い足取りでステップを踏む。
2Bは1度六花のステップを見ただけで覚えた。
「2Bさん、めちゃくちゃ上手やん。マジで素質あるわ。ほな次行くで。」
六花は次々とステップを繰り出す。
2Bは繰り出されるステップを正確にコピーしていく。
「これで一通り基本ステップが終わったから、今度は続けてやってみよか。」
そう言うと、額にうっすらと汗を滲ませた六花がステップを始める。
2Bは次のステップの1歩目を見ただけで、六花の順番通りにステップを踏み続ける。
ダンス部の血が騒ぐんだろうか、各々座って見ていたダンス部の部員たちも、ステップに加わる。
みんな楽しそうにステップを踏み続ける。
2Bも楽しそうだった。
ゴーグルを外した目元が笑っていた。
ダンス部のメンバーがステップにアレンジを加え始めた。
六花はすぐに反応して合わせる。
そして2Bも。
「ほら、ナインズも混じって!」
六花が僕を誘う。
「いきなりアレンジ付きはハードルが高すぎるわ。」
「大丈夫やって、一緒に動いていればめっちゃ楽しいんやから。」
僕は六花に促されてステップの輪に加わった。
みんなと同じようにできないけど、一緒に体を動かしているだけで、めっちゃ楽しかった。
ステップが激しさを増すたびに、六花のとてつもなく大きな胸の揺れも大きくなる。
思いもかけないところで、目の保養ができた。
こうして初日の練習は終わった。

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