僕と2B -4

Chapter 4

「なにかして欲しいことはない?」
2Bの声にふと我に帰った。
またやってしまった。
僕の妄想癖。
妄想の内容については、過激すぎるので割愛した。
「なにかして欲しいことはない?」
もう一度尋ねる2Bに僕は答えた。
「特に無いかな。強いて言えば人類である僕を、君の使命に従って守って欲しい。」
「分かった。その命令は、あなたの生命活動が停止するまで維持される。」
「あなた、って他人行儀すぎるなぁ。」
「・・・?」
「ナインズでいいよ。九頭龍ってコワイし長いから。みんなナインズって呼ぶよ。」
「ナインズ・・・分かった。」
「君は2Bで、さんはいらないよね。」
「そう、私に敬称は必要ない。」
と言うわけで、この日から僕と2Bの生活が始まった。

今日の大学の講義は午後からだけど、昨日の片付けや色んなことがあるから朝から行かなくちゃならない。
朝食の時、僕はいつもの通りトーストとコーヒー。
4枚切りのトーストをかじりながら僕は2Bに聞いた。
「ヨルハ型のアンドロイドって食べられるの?」
「基本的に水がエネルギー源。ただし娯楽としてタンパク質と脂質それに炭水化物が含まれた物なら食べる事は可能。刺激物は厳禁。水は精製水を推奨。」
「食べた後はどうなの?」
2Bは僕の質問が分かりにくかったのか、ちょっと小首をかしげてから口を開いた。
「水以外の物は、体内のプラントで処理されてすべてエネルギーに還元される。」
「ふーん、そうなんだ。で味覚はどうなの?」
「刺激物以外なら、たいてい美味しい。」
「じゃあ、これなんかどうかな。水は自然水だけど。」
そう言って僕は非常用に買ってあるプロテインバーとペットボトルの水を用意した。
2Bは包装の成分を見ていたが、
「これなら食べられる。」
と袋から出して一口かじった。
「あと、戦闘とか調査とか、任務以外の時はゴーグルを外さない?」
「分かった。ナインズが言うなら外す。」
そう言って2Bは目隠しみたいなゴーグルを喉まで下ろした。
水色の澄んだ瞳が僕を見る。
「キレイな水色だね。」
「瞳の色は任務に無関係。」
「それはそうかもしれないけど、やっぱりキレイなものはキレイだ。」
2Bがちょっとはにかんだような表情になる、がすぐに真顔に戻る。
「どうしたの?」
「私たちは感情を持つことは禁止されている。」
「ふーん、そうなんだ。」
そのことはゲームで知っていた。
2Bの感情が豊かで激しい事も。

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