僕と2B 12-2

Chapter 12-2

モール内に2Bがいる、と言う情報は直ぐに広まって、少しでも立ち止まると人だかりが出来る。
コスプレのイベントでもあるのか
と勘違いされているみたいだった。

途中でゲームセンターに入った時は特に人々の反応が凄かった。
元々ゲーム好きな人が集まるから当然と言えば当然だった。
中にニーアオートマタのクレーンゲームがあった。
ケースの中には色々な武器があった。
もちろん、刀や槍などは長さ的に入らないので、目録が入ったボールで代用させていた。
2Bがやりたそうだったので、やらせてみた。
コインを入れて操作方法を一通り教えた。
教えるため僕が操作したけど、もちろん取る事はできなかった。
続けてコインを入れると、2Bが、クレーンを操作するレバーを持って動かした。
1回目は横にも奥にも行き過ぎてダメだった。
2Bが目隠し状のゴーグルを下げた。
ブルーの瞳が真剣だった。
2Bって、こんなことでマジになるんだ。
2回目は、ボールをつかんだけど、落とし口直前でアームから落ちた。
「要領は分かった。今度は失敗しない。」
2Bがニーアオートマタのクレーンゲームをプレイしてることで、僕たちの周りには黒山の人だかりが出来た。
コインを入れてレバーを操作する。
目録の入ったボールをつかむと、アームは落とし口まで戻ってきた。
さっきは非情にもここで落ちた。
今回はどうか?
アームが開く。
ボールは無事に落とし口に落ちた。
周りの人々から歓声が起こる。
取り出し口にボールが出てきた。
割って中の目録を見る。
広げた紙には『白の約定』と大太刀の名前が書かれていた。
「凄いやん。」
「早よ交換しに行こ。」
僕と六花は、どうしていいのか分からずに戸惑っていた2Bをゲームセンターのカウンターまで連れて行った。
「おお、すごいやん。」
「2Bが武器を手に入れたで。」
見ていた人たちが言うのが聞こえた。
目録の紙をカウンターの店員に渡すと、店員は直ぐに袋に入った白の約定を持って来て2Bに渡した。
2Bは大太刀を右手だけで受け取ると天井に向けて腕を伸ばした。
僕を含め、周りにいた人たちが後ずさりして2Bの周りに空間を作った。
やっぱりみんな知ってるんや。
2Bが目にも止まらない速さで剣を振った。
太刀筋がまるで見えない。
空気を裂く音だけが聞こえる。
ひとしきり剣を振り終えると、2Bは大太刀を肩に載せた。
「おおっ、すげえ!」
周りの人たちから驚きとも感嘆ともとれる声をあげた。
「しもた、動画撮るの忘れた。」
そんな声を背後に残して、僕たちはゲームセンターをあとにした。

お昼時になった。
お腹が空いたので、アルファベット1文字で有名なハンバーガーにした。
確保した席に2Bを残して、僕と六花はオーダーしにカウンターに向かった。
振り向くと2Bは白の約定をテーブルの脇に立てかけて座っていた。
六花はチーズバーガーのLLセットに単品でエッグチーズバーガーにテリヤキバーガー、ベーコンレタスバーガー、チキンナゲットの15ピース。
僕は、サムライの炙り醤油のセット。
2Bは家から持ってきた精製水。
相変わらず六花の量は半端ない。
六花がオーダーしたものが、六花のトレーに乗り切らなかったので、僕のトレーにも乗っていた。
席に戻ると、2Bは撮影会の真っ最中だった。
撮影していた人たちは、自分の席に戻って行った。
お昼を食べてからも僕たちはモールを楽しんだ。
六花は、ファッショナブルだけどリーズナブルな店を姉妹店両方回って、自分の服だけではなく、2Bの服も買っていた。
「2Bさんの服を買うのんって、めっちゃ楽しいねん。だって、2Bさん、スタイル抜群やからどんな服でも似合うんやもん。ただ、ウェストの細さに対して太ももがムチムチなんがネックやな。だからこそ選びがいがあるっちゅうもんや。」
モールを存分に楽しんだ後、帰る前に六花は貯まったレシートを持って特設カウンターで何やら手続きをしていた。

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