見出し画像

メノラーの円盤

いつからかうちにあるこの円盤。そのデザインはもともと、ローマのユダヤ人カタコンベ(地下墓地)で見つかった、金のグラスに刻まれていたものです。
中央下部に大きなメノラーがあります。メノラー(「ラー」にアクセント)はユダヤ教のシンボルである七枝の燭台です。
メノラーの上に祭壇があり、9つの巻物が納められています。
これは律法の書すなわちトーラー(旧約聖書の最初の五書)。

左端に見えるのはオイル壷。その上のジャガイモのようなものはエトログと言って、レモンやかりんに似た柑橘系のフルーツ。
ユダヤのお祭り「スコット」には欠かせないフルーツです。

オイル壷の右には苦菜。
ユダヤ人にとって最も重要な、過越しの祭(ペサハ)(出エジプトをしのぶ)のさいに用意される「セデル」という特別な食事のときに食します。
その苦味はエジプトで奴隷にされていたときの苦しみを象徴します。
最近はホースラディッシュ(西洋わさび)が使われます。

右端にはナツメヤシの若芽「ルラヴ」。これまた「スコット」の時に使われるもの。ナツメヤシはシュロ(棕櫚)とも呼び、約束の地カナン即ちユダヤの地の象徴でもあります。

その横は、羊の角の角笛「ショーファー」です。
ショーファーは古代から、様々な重要な場面で吹かれました。
旧約聖書で「ラッパ」と書かれているのはショーファーのこと。現代では主に、新年や大贖罪日に吹き鳴らされます。

祭壇の左右には平和の象徴、鳩。鳩が平和を表すのは、ノアの洪水伝説に由来します。
一番下にはイスラエル十二部族のうち、ユダ族の象徴であるライオンがいます。

この円盤は大英博物館の所蔵する遺物のコピー、のはずなのですが、
私自身は大英博でこれの現物を見た覚えがありません。これを探すのが、次回イギリスに行ったときの課題ですなー。


いただいたサポートはうちの中や外にいるネコさまたちへの奉仕活動に使わせていただきます。