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ロック・クルーズの勧め

はじめに

私が大学生だった90年代初め頃、初めてアメリカへ行って「モール」というとんでもなく大きな商業施設に驚き、日本にもこういうものがあったらいいなぁ、と思ったものですが、日本でもショッピング・モールはすっかりお馴染みのものになりました。

2016年から私はクルーズ旅行を楽しみ、その魅力に憑りつかれました。2月のマイアミには巨大客船が多数停泊し、毎日多くの観光客を乗せています。北米や欧州でもクルーズ旅行は今や大人気です。

そして日本でも、多くのクルーズ旅行広告を見かけるようになりました。欧米での人気はきっと日本にもやってくることでしょう。モールと同じくクルーズ旅行も普通の旅行チョイスとして日本に定着する日が近いのではないかと思います。

しかし、日本のクルーズ旅行パンフレットを見ると、まだテーマ・クルーズはないようです。出航して船内のショウや食事を楽しんで、寄港した先を観光するというオーソドックスなクルーズ旅行ばかりで、しかもお高い!長期の休みがあって、資金的余裕もあって、という顧客層を狙うとそうなるのかも知れません。

ところが、遂に2022年9月に日本でも初の音楽ものクルーズが出るそうです。レゲエのクルーズだそうで、2021年12月からの販売で売切れそうな勢いだとか。これから日本でもこのようなテーマ・クルーズが盛んになるかも知れませんね。

私はテーマ・クルーズというニッチ市場を狙ったクルーズこそが多様化した個人の趣向にマッチし、最高の体験になるのではないかと思います。私の場合、それはロック・クルーズです。船の上で5日間、朝から深夜までロック・コンサート三昧。最高や!

本書では音楽クルーズを体験してみたい!興味はあるけれど、どんなものなの?という人向けに私のロック・クルーズ体験談とクルーズの How to をまとめてみました。さあ、青い空とビーチとロックの祭典へGO!


なぜロック・クルーズか

なぜって、そりゃ洋楽ロックが好きだからです!とはいえ、ロックファンの皆さまがライブ・ミュージックを楽しむ方法はいろいろありますよね。

  1. 来日したアーティストのコンサートに行く

  2. 日本で開催される音楽フェスに行く

  3. 好きなアーティストの海外コンサートに行く

  4. 海外の音楽フェスに行く

  5. テーマ・クルーズに行く

  6. アーティスト・キャンプに行く

1も2も日本に居ながらにしてライブ・ミュージックを楽しめる大切な機会です。しかし自分の中でアーティストに対する「好き」度数が上がって、私は3に足を踏み入れました。これをやってみて思ったのは、計画がなかなか大変だということ。1回のライブの為に高い航空券を買うのは費用対効果としてキツイので、他のライブ又は観光と合わせたスケジュールを組んだり、移動手段を確保したり。女性の1人旅などという場合は深夜に終わるライブが多いので、ホテルへの安全な移動手段の確保は重要です。4は未体験ですが、会場とホテル間の移動や安全の確保、巨大な会場でアーティストは遥か彼方にしか見えない、といった点はありそうです。

6のアーティスト・キャンプも近年増えており、気になっているイベント形態です。ミュージシャンが楽器の奏法を解説したり、一緒にプレイしたり、プライベートなコンサートを行ったりと数日間のスケジュールが組まれ、宿泊施設で滞在しながらの参加型イベントです。楽器演奏に向き合い、親密な空間でアーティストのプレイも観たいという人には最高の体験になることでしょう。イベントにもよりますが、お値段は5よりも少々お高めです。

最後に5のクルーズですが、上で述べた懸念は全て解決され、更にオマケまであるのです!

クルーズの良い点

  1. 乗船の間は朝から深夜までライブやイベント盛りだくさん

  2. 巨大なホテルに滞在しながらライブを楽しむようなもので、移動が不要

  3. 乗船客しかいないのでほぼ安全

  4. 食事も飲み物もライブ代金も全てが料金に含まれている(アルコール飲料やオプションを除く)

  5. ライブ会場は中規模から小規模なので、アーティストをしっかり肉眼で観れる

  6. アーティストも同じ船に乗船しているので、乗船中あちこちで見かけるチャンスあり

  7. 船上のイベントもあって、アーティストと一緒に参加できる

ざっとこんなところでしょうか。3について補足すると、海外のライブハウスには音楽が目当てでなく酒を飲んで騒ぐために来る人もいます。そういう人の中には荒っぽい人もいますが、クルーズ船にはいません。なぜなら乗船代金が高額なため、酒を飲んで騒ぎたいだけの人はもっと安価な場所に行くからです。ロック・クルーズに来る人は少なくとも音楽が好きで楽しみたいという目的はあります。そして多くの乗客は経済的には中流層でバケーションを楽しみに来ています。ですから、船の中には世界の観光地にいるような観光客をターゲットにした現地のスリや犯罪者は基本的にいません。乗船客の皆が観光客なのです。

ただし、酔っぱらって騒ぐ人たちはやはりいます。彼らはパーティーをしに来たのですから!でもライブ中に騒ぎを起こしたり、他の人にからんだり、そういった迷惑行為を目撃したことはありませんし、そういった行為をすると下船させられるなどのペナルティもあるので、当然の常識のもとで皆さんが楽しんでいます。それにクルーズ船で働くスタッフたちは皆がとてもプロフェッショナルで感じが良く、海外の一般的なホテルよりもずっと仕事のクオリティが高いように思います。

食事については後ほど詳しく書きますが、きちんとした食事を清潔で空調の効いたレストランでゆっくり採れるところが、クルーズとフェスティバルの違いかも知れません。フェスの屋台飯というのもそれはそれでお楽しみではありますが、食べる環境や値段、行列の有無も食事の違いに直結するでしょう。船では快適な食事が約束されています。

クルーズの悪い点は何か?あまり思い当たりませんが、やはり料金でしょうか。クルーズによって違いはありますが、乗船料金は最低価格で日本円にすると17万円程度。(最安船室を2名で利用時の1人分、税サービス込)とことん安くあげたい場合は最安船室を4名で使用する手もあります。この場合は部屋に2段ベッドが2つ入る状態になり、かなり狭いです。バスやトイレの共用が大変そうですが、同行者を見つけて4人部屋にすれば、2名使用の場合よりも3万円程度1人あたりの料金が下がります。バルコニーもある素敵な船室を望む場合は2人使用で1人あたり25~30万円くらいでしょうか。

また、海外渡航費とクルーズ日程前後の現地ホテル滞在費が別に必要です。マイアミのホテルはニューヨーク程ではありませんが、他のアメリカ地方都市よりも高いと思います。

費用の全てを合計すると、安い航空チケットを使っても、40~50万円程度でしょうか。少し高めの海外旅行パックくらい。けれど海外コンサートや海外音楽フェスと比べてどうでしょうか。宿にもよりますが、海外大都市の安全で快適なホテルは物価の安い日本よりずっと高いです。数日滞在したら結構な費用がかかりますし、食費もかかります。宿泊と移動と食事全てが含まれたクルーズが一概に高額とは言えないかも知れません。

これで私がロック・クルーズを選ぶ理由がわかりましたか?ここからもっと詳しく説明していきます。


テーマ・クルーズ花盛り

ちょっと調べただけでも本当に沢山あるのです!クルーズというのはバケーションと何かを組み合わせるのに丁度良いみたい。沢山のジャンルの中から一部をピックアップしました。

  • 音楽=====ロック、ジャズ、ブルース、カントリー等

  • テレビ・映画=====ディズニーもの、人気テレビドラマ

  • スポーツ=====ゴルフ、フットボール、野球

  • フィットネス=====ヨガ、ランニング、減量

  • 食事、ワイン・クラフトビール=====クッキング、テイスティング、レクチャー等

  • ゲーム・アニメ=====ゲーム大会、テーマイベント等

  • 信仰=====キリスト教、ユダヤ教等

凄いですね、何でもアリ。テーマ・クルーズは同じ趣味の人たちが集えるところが楽しいので、いろいろな企画ができそうです。大人気ドラマ「ウォーキング・デッド」のクルーズもあるそうです。「スターウォーズ」のクルーズなんてあったら人が殺到しそう!信仰ものがあるのも興味深いです。日本でならお寺で数日滞在して座禅を組むような感じでしょうか。

音楽クルーズは最も人気のあるテーマのようですが、それだけにクルーズの種類も沢山あります。

  • Monsters of Rock Cruise=====80年代のハードロック/メタル

  • The 80’s Cruise=====80年代の人気ロック・ポップス

  • Kiss Kruise=====KISSがメインアクト

  • '70s Rock & Romance Cruise=====70年代の人気ロック・ポップス

  • The Country Music Cruise=====カントリー

  • Soul Train Cruise=====ファンク・ソウル

  • Blue Note at Sea=====ジャズ

  • Keeping The Blues Alive at Sea=====ブルース

  • Cruise to the Edge=====プログレッシブ・ロック

主に音楽ジャンルごとに分かれており、KISSのようなビッグバンドは自身のクルーズがあります。近年は新たにメタル界の重鎮、Megadeth のクルーズも登場しました。


ロック・クルーズの醍醐味

バケーション最高!

私が乗船したフロリダ出発クルーズの場合、基本的に出航日の夕方に港を後にし、その後4日程度カリブ海付近を航行、2箇所程度寄港して、出発港に戻ってくる日程です。2019年の Monster of Rock Cruise の日程を例に挙げると以下のようでした。

2月24日(日)=====マイアミ港発
2月25日(月)=====終日海上
2月26日(火)=====ジャマイカ・オーチョリオス
2月27日(水)=====ラバディ私有島
2月28日(木)=====終日海上
2月29日(金)=====マイアミ港着

丸一日を船内ですごす日と寄港する日があります。寄港地で下船するかは参加者の自由ですが、大抵は観光地でビーチやアクティビティが整備されており、クルーズ船の観光客が楽しめるようになっています。2月の北半球は寒い時期。そんな真冬に常夏のリゾートもロック・コンサートもエンジョイできるだなんて最高ですよね。白い砂浜とヤシの木と青い海、そしてロックンロール!

この時期はマイアミから多数のクルーズ船が出航するので、前泊したホテルから港へ向かうホテル手配のバスには多くの観光客が乗合います。以前、たまたま席が隣になった白人の中高年の女性と話をしてみると、彼女はクルーズ好きで世界各地のクルーズを体験しているそうでした。日本行き観光クルーズにも乗る予定らしく、日本の観光名所のことまで訊かれました。そんな彼女に今から乗るクルーズは何が一番楽しみかと訊いてみると、「そうねぇ、何のイベントがあるかは覚えていないけど、プールとサンデッキがあれば十分」との返事でした。なるほど、普通の観光クルーズだとそんなものなのか。今日これからどれだけライブを観ようかと気合の入っている自分とは随分と違うのに驚きました。ロック・クルーズではリゾートで寛ぎ楽しむことも、毎日コンサート三昧することもできるのです。

オール・ナイト・ロング!

出航初日、全乗客が乗船して夕刻ごろには一番上のデッキにあるプール・ステージで出航パーティが始まります。豪華客船の最上階デッキには大きなプールがあるものなのですが、ロック・クルーズではライブが優先されますので、プールを潰して大きなステージが設営されます。青い空の下、リゾート気分の数千人ものオーディエンスが集まり、出航を祝ってライブを楽しむ情景は何度見てもワクワクして楽しい!

そしてここから、深夜まで毎日ロック三昧が始まります。その日のライブ予定表を見ながら、自分が観たいものをチェックして、参加するのです。幾つものライブが重複しているので、全てを観ることはできません。食事時間や睡眠時間も必要ですし。船でのすごし方は人それぞれ。サンデッキやプールでのんびりする人もいますが、出来る限りライブに参加するのもありです。

豪華な船室を予約したので無い限り、一般の船室は狭くて閉塞感がありますので、部屋は寝るところと考えて、出来る限りライブやイベントに参加する方が楽しいでしょう。私は食と睡眠を後回しにして、出来る限り沢山のライブを楽しむことにしています。ただし、5日間の長丁場ですので、自分の体調に合わせ、無理のないすごし方をするのは言うまでもありません。

ロック・クルーズのお楽しみとして趣味の近い人たちとの出会いや再会もあります。ライブの待ち時間やイベントなどを通して、海外のロックファンと知合える機会が沢山あります。ぜひ気楽に話しかけてロックの話題で盛り上がりましょう。バンドTシャツを着ていると会話を始めるきっかけになって良いです。

自分がリピーターになってわかりましたが、毎年乗船するコアなファンが大勢います。去年知合いになった人と1年後にまた再会できる可能性もあります。クルーズは年に1度、世界各地のロックファンとの再会の場所にも成り得るのです。


まずは情報収集

ロック・クルーズのことが気になってきたら、まずは情報収集です。

テーマ・クルーズのフェイスブック

テーマ・クルーズを企画し、客船をチャーターしている会社がテーマ・クルーズごとにフェイスブック・ページを作っています。クルーズの様々な情報が手に入るのはそこです。過去のクルーズでの写真やビデオ、参加アーティストの発表、イベントの告知やレポートなど、1年分の投稿をざっと振り返れば、スケジュール的なこともわかります。沢山の写真を見ているうちに、だんだんと自分が楽しむイメージも湧いてくるのではないでしょうか。

https://www.facebook.com/MonstersOfRockCruise/

クルーズ・ウェブサイト

実際に予約したり、乗船までに必要な情報を収集するのがこちらです。

https://monstersofrockcruise.com/

”Pricing and Availability” には客室の種類と価格表があり、客室の種類をクリックするとどんな部屋なのか、写真と説明文を確認することができます。”The Ship” にはクルーズに使用されるクルーズ船がどこの会社の何という船なのか、船の各階見取り図や客室、レストランの情報などが収められています。その他にも乗船する港への行き方や必要な旅券情報などが記載されていますので、実際に予約をしたら、このウェブサイト全体に目を通しておきましょう。

クルーズ会社・ウェブサイト

クルーズ・ウェブサイトにリンクがあると思いますが、乗船予定の船の情報を詳しくチェックするならこちらです。客室の詳細や船の各階見取り図やレストランの情報、アクティビティ施設の情報など。

テーマ・クルーズのフェイスブック・グループ(オフィシャル)

クルーズの企画会社がクルーザーの情報交換の為に運営しているフェイスブック・グループがあります。グループへの参加は管理者の許可制となっていますので、参加申し込みをしておきましょう。クルーズの最新情報を早くキャッチできますし、各国のクルーザーが質問や意見交換をしています。

個人の体験談など

実際にクルーズを体験した人の話が知りたい、という場合にはそのクルーズ名で検索して個人のブログなどを読んで、ざっとイメージを掴むと良いでしょう。それから本書もご参考にしてください!


予約は約10ヶ月前

クルーズによりますが、出発日のおよそ10ヶ月前頃から予約が開始されます。Monsters of Rock Cruise (以下MORC) の場合、前回のクルーズに参加した人のみが初回予約に参加できます。リピーターが優遇される訳ですね。この時点では次回クルーズに乗船するアーティストのラインナップはまだ半数以下しか発表されていません。どんなアーティストが乗るかも未定の段階で予約するなんて驚きですよね。でも、MORCはリピーター率が高く、彼らはどんなアーティストが乗るかに関わらず毎年乗船するのです。クルーズ・バケーションを楽しみに来ているので、80年代の人気バンドのラインナップが毎年提供されるのだから、それで十分楽しめるということなのでしょう。乗船アーティストは毎年乗船する人、数年サイクルで乗船する人、初乗船の人などがいます。過去のラインナップを見ておくと大体の傾向がわかります。

予約順序

  1. 直前MORCクルーズ参加者のみ先行予約

  2. 過去のMORCクルーズ参加者先行予約

  3. 一般予約

以前はネットと電話予約になっていましたが、近年はネット予約のみに変化したようです。電話予約を受けていた当時は電話が殺到して大変なことになっていたようでしたので、ネット予約環境が整うことは良いことです。

予約が開始されると、安い部屋とスイートルーム等の価格の高い部屋から予約で埋まっていきます。クルーズ船で安い部屋とは船底に近く、窓のない内側の船室です。逆に高層階でバルコニー付きの部屋が高い部屋になります。ざっくり言って価格は倍以上になります。家族やグループで行く資金的余裕のある人たちには広いスイートルームが人気です。スイートは数が限られるため、まずは一般船室を予約してから、アップグレード希望を出すという手順で予約します。

一生に一度のバケーションなら、高層階でバルコニー付きの部屋でゆったり過ごすのもいいでしょうが、私個人的には安部屋で十分と思っています。朝から晩までロック・コンサート三昧なのですから、部屋にいるのは寝ている間だけです!ベットとシャワーとトイレがあれば十分!ゴージャスなお部屋でリゾートを満喫するのは別の旅行でいいかな。

一番安い価格帯の部屋は予約1の開始早々に満室となります。予約2の期間が始まる頃には最低価格帯の3種類程度は満室になっており、運が良ければその次くらいに安い部屋か窓付き(バルコニー無し)の低層階の部屋が取れるのでは。予約3の期間に残っているのは、バルコニー付きのちょっといい部屋のみという場合が多いかも知れません。

予約1や2の期間中は、オフィシャルサイトの予約ページからは申し込みができません。該当者には主催者から予約用のリンクがメールで送られてくるので、その特別サイトから申し込みを行います。

VIPとは

予約時に悩むもう1つのポイントとして、VIPというものがあります。MORCの場合、VIPはチケットではなく、特定の船室とセットになった権利です。スイートルーム+Gold VIPとジュニア・スイートルームまたはバルコニールーム+Silver VIP がありました。

元々の部屋の値段が高いので懐に余裕がないと少し厳しいパッケージです。VIP客には特別のグッズが付いたり、乗船時にラウンジサービスがあったり、下船時の優先サービスがあるようです。ただ、これらの特典はさほど価値があるとは思えません。
VIPの一番良いところは、特定のライブ会場で優先入場の権利があることと、アーティストとの記念写真撮影で一般客が1時間以上列に並ぶところを、優先的に撮影の列に入れることだと思います。効率的に時間を使えることが1番のメリットでしょう。そのメリットが価格に見合うかどうかは個人の判断ではないでしょうか。

代金の支払い

予約時には船室料金を全額前払いするか、指定された頭金を払うかの選択があります。全額前払いを選択すると数%程度の割引がありますが、MORCには払込代金のキャンセルによる返金はありませんので、少々勇気が要ります。また、船室料金以外に、1人あたり$300程度の税金及びサービス料も必要です。

予約はその船室の代表者が行います。同室者全員分の頭金もしくは全額を予約時にクレジットカードで支払います。予約が成立すると、同室者にもメールが届きますので、分割払いの場合、各自がメールに記載された支払い用のリンクから都度支払いを行います。分割払いの場合、数ヶ月おきの支払い期限と金額が決まっています。指定より早目に指定額以上を支払うのは自由です。分割払いの手数料等はありません。

ちなみに私は旅行1ヶ月程前に事情ができ、全額払い済みのクルーズをキャンセルしたことがあります。もちろん支払った料金は全額戻りません。キャンセルに対応した旅行保険の必要性を後から強く認識しました。(涙)


事前手配すること

さあ、クルーズの予約は完了!旅行出発までに準備することをやっておきましょう!

ESTAの手配

クルーズはフロリダから出航してカリブ海諸国に寄港してフロリダに戻ります。オフィシャルサイトに必要な渡航書類が掲載してありますが、日本在住の日本人の場合、ESTAが有効であればOKです。もちろん有効なパスポートがあることが大前提です。

エアチケットの手配

日本からフロリダへの直行便が無い為、アメリカのどこかの都市で乗り換えてフロリダに行くことになると思います。2月のアメリカ北部は大雪に見舞われるなどして、飛行機の遅延が数多く発生します。トランジットする都市は雪の影響が少ない温暖な都市を選ぶことをおススメします。

前泊及び後泊のホテル手配

一番安心なのは出航日の2日前からフロリダに滞在することです。このスケジュールなら飛行機の遅延やバゲージ・ロスなどのトラブルに見舞われても出航までに解決できるでしょう。出航日前夜と前々夜には港のある都市近郊でプレパーティという名のコンサートも行われます。

2日前からは無理という場合も、日本から参加する場合、前日泊できるスケジュールが望ましいでしょう。当日現地着のスケジュールでは、何かトラブルが起こって時間までに出発港に辿り着けなかったときには、船旅全てを諦めることになるからです。北米国内線では飛行機の出発時刻の遅延が日常的に発生しています。先ほど述べたとおり、所定時刻までに乗船できなければ、全ての旅費が無駄になります。

前泊のホテルはクルーズのターミナル、プレパーティ会場に近いところが便利。フロリダのホテルの多くは無料もしくは有料でクルーズ客のためにクルーズ・ターミナルへの乗合バスを提供しています。乗合バスが手配されない場合でも Uber や Lyft などを使えば安価にクルーズ・ターミナルへ移動可能です。

クルーズ最終日は午前中の下船となります。クルーズのオフィシャル・サイトでは時間の余裕をみて、当日のフライトは午後以降の予約にするようアドバイスしています。フロリダから中継都市を経て日本へ向かう飛行機は午前の時間帯になるため、下船後にどこかで1泊する必要があります。(以前は日本への帰国便に深夜発があったのですが、これが無くなり非常に残念です)

北米国内線で飛行機の遅延が日常的に発生していると書きましたが、下船後にフロリダで1泊して翌日のフライトで帰国便の出る空港へ向かうよりも、下船日に帰国便の出る空港へ移動して一泊し、翌日の帰国便に乗る方が安全かも知れません。フライトの遅延で帰国便への接続ができない事態を避けるためです。(経験者の学び)

プレパーティの申込

プレパーティのアーティスト・ラインナップが気になるところなのですが、告知があるのは秋深まった頃です。そして12月頃にプレパーティの申込フォーマットが届きます。クルーズ参加者は原則無料でライブに参加できますが、人数の枠があるため、事前に申込をしてチケットを印刷して持参しなくてはなりません。なお、2019年の前々夜祭はイングヴェイ・マルムスティーンのライブだった為、初めてクルーズ参加者も有料となりました。

船上有料イベントの申込

クルーズでは有料のイベントも開催されます。アーティストと朝食を作るイベント、ギタークリニック、アーティストのプロデュースするお酒とディナーを楽しむ会、アーティストと絵を描くイベントなどです。人気のイベントは発売開始と共に売切れますので、案内のメールが届いたら申込手順を確認しておきましょう。

なお、これら船上イベントの実際のスケジュールが判明するのは乗船日前日だったりするので、有料イベントに申し込んだら、観たいライブと重なっていたという不運があるかも知れません。申し込んだイベントはキャンセル返金不可なので注意しましょう。

寄港地での観光オプショナルツアーの申込

クルーズではカリブ海で2箇所ほどに寄港します。寄港地は観光地なので、クルーズ客を対象とした数時間程度の観光ツアーが多数あります。このようなオプショナルツアーの申込はクルーズ会社のウェブサイトから行います。

寄港地に停泊している間も船でライブが行われていることもありますが、年によっては停泊の間はライブやイベントを休止している場合もありますので、ライブがないときにはカリブ海で観光するのも良いでしょう。ちなみに、家族連れのアーティストも多く、観光オプショナルツアーに参加したら、アーティストも参加していたということもあるようです。

ドリンク・パッケージの申込

船上での飲み物は基本的にはクルーズ代金に含まれていますが、ボトルに入った水や炭酸ドリンク、アルコール類は別料金です。クルーズではアルコールの販売が稼ぎどころであり、値段設定は高めです。それでも海外のお客さんは沢山飲む人が多いです。

クルーズの企画会社側がドリンク・パッケージと言って、200~300ドル程度のドリンク・チケットを販売しており、これは事前申込制です。飲酒量が多い人は購入した方がお得でしょうが、それほど量を飲まない人は都度購入した方が安価になるでしょう。

水も船内のバーなどでペットボトルを購入できますので、さほど気にする必要はないでしょう。

Wifiパッケージの購入

クルーズ中は米国内にいませんので、スマホを使いたければ船内専用のWifiパッケージを購入する必要があります。安いもので5日分でおよそ8千円程度です。船内のため、通信速度はあまり早くありません。購入して専用のパスワードを入手し、指定のサイトからログインします。5日程度のことですから、これを機会にSNSを断つのも一つの方法です。

オンライン・チェックイン

出航の4日前までにクルーズ会社のウェブサイトでオンライン・チェックインを行います。これをきちんとやっておくと当日の乗船手続きがスムーズに進みます。パスポートやクレジットカード情報などを入力するのですが、この数年でオンライン・チェックインのシステムも進歩していると感じます。

乗船時に手荷物を預けて船室へ届けてもらう場合は、オンラインで荷物タグを印刷して名前を記入しておきます。大きなスーツケースを持ち歩くのは大変なので、荷物を預けるのが便利ですが、荷物が部屋に届くのは乗船日の夜になるので、それまでに必要な荷物や乗船手続きに必要な書類・貴重品はバックに入れて持ち歩きます。なお、飛行機の場合と同様にバゲージ・ロスも稀に発生することがあるようです。

必要な手続きをメールで促されたら、クルーズ会社のウェブサイトを読んで手続きを行い、必要な書類を印刷して準備しておきましょう。


プレパーティ

乗船前のプレパーティもロック・クルーズのお楽しみの1つです。近年の傾向として、前々夜にはクルーズに乗船しないけれど、他のクルーズやフロリダでツアー中のアーティストをヘッドライナーとした小ぶりのプレパーティが行われ、前夜には多数の出演バンドをラインナップした大き目のプレパーティが行われるようです。ゴージャスなラインナップになることもありますので、見逃せません。

会場入口ではチケットやIDの確認とリストバンド装着、簡単な荷物検査があります。クロークは無いと思いますので、荷物は必要最小限に。

会場ではグッズ販売や飲食提供のトレーラーがあり、2019年にはクレジットカード対応していました。物販でクレカが使えるのはとても便利です。

ステージ前方で真剣にライブを観るも良し、後方の椅子席でお酒を飲みながらのんびり音楽を楽しむのも良し。小ぶりな音楽フェスという感じです。

ライブが終わると深夜になります。大勢の人がタクシー待ちをするとなかなか順番がまわってきません。少し早めに切り上げて混雑を避けるか、Uberなどを利用するのが早く安全に宿へ帰る方法だと思います。

マイアミでのプレパーティはカジノの野外ステージでありました。


いざ乗船!

ターミナルへ

MORCでは乗船は午後3時までですが、多くのクルーズ客は朝ホテルをチェックアウトすると、ホテル手配のバスに乗ってクルーズ・ターミナルに向かいます。昼前にはターミナルは大賑わいです。必ず自分の乗船する船のターミナル番号を確認してバスを降りましょう。

荷物預け

バスを降りると船に乗客の荷物を詰め込む荷物係の人がいます。荷物を預ける場合は、事前にオンライン・チェックインで印刷した荷物タグを預ける荷物に付けます。(係の人がホチキスを持っています)荷物を預けたら係の人にチップをあげましょう。

乗船手続き

オンライン・チェックインで印刷した書類とパスポートを準備して乗船の列に並びます。会場に手続きの列について指示が張り出されている場合がありますので、確認し指示に従います。手荷物のセキュリティチェックをさっと済ませましょう。このとき、持込禁止の水や清涼飲料水のボトルを持っていると没収されます。

オンライン・チェックインが済んでいると手続きは簡単です。今は係の方がタブレット端末を持って、サクサクと情報の確認をしてくれます。確認が済むとクルーズカードや予定表などの封筒を渡してもらえますので、受け取ったら指示に従い先に進みます。

顔写真の撮影をして部屋カードに情報を紐づけるチェックラインがあります。ここの手続きも最近は事前のオンライン・チェックインで合理化されてきました。クルーズカードは部屋の鍵であるだけでなく、パスポートや顔写真、クレジットカード情報も紐づけられており、クルーズ中は万能のカードとなります。

クルーズカードは万が一紛失しても大丈夫です。船内の顧客サービスカウンターに行けば古いカードを無効にして新しいカードを創ってくれます。

乗船!

乗船直前にカメラスポットがあります。これはクルーズ会社のカメラパーソンが乗客の写真を撮影し、後で販売するもので、よく観光地でみかける写真の有料サービスです。興味のない方はそのままスルーしましょう。

乗船口にはにこやかな笑顔のスタッフがいて、スパークリングワインでお迎えしてくれます。お酒が飲める方はぜひここで乾杯の写真を!乗船してもまだお部屋は準備中で使えませんが、上層階にある大きなカフェテリアは営業しています。多くの人はここに移動してランチを楽しんだり、お酒やカフェを片手に仲間とクルーズのスタートを楽しんでいます。

早めに乗船するのが良いのは並び時間が少なく済むこと、遅く来て慌てなくて良いこともありますし、船に乗った時点から特定の場所を除いて食事も飲料も無料で楽しめることにあります。なお、アルコール飲料などは有料です。

ランチが終わるころになると船内放送で部屋の準備が出来たことが知らされます。頃合いをみて部屋に入りましょう。この段階では乗船前に預けた荷物はまだ届きません。手荷物を部屋に置いてざっと室内の点検をしましょう。ツインルームの場合、ベッドを分離/合体するのを部屋係に指示する紙があるので、指示があれば記入しましょう。タオル類の不足などもあればあわせて依頼するのが良いです。

避難訓練

午後4時くらいになると避難訓練のため、割り当てられた番号に従い、指定の会場へ行くよう促されます。よく放送を聴いて、部屋に配られた船内紙(Cruise Compass)の指示、クルーズカードに記載された自分の番号を確認して訓練会場へ移動しましょう。(この手順は年ごとに変わっているようです)これは全員参加の訓練です。

会場に着くと番号ごとに促されますので、指示通りに入り、空いている席に着席する、又は整列しましょう。この場面でミュージシャンと近い席になることもあります。訓練とはいえ、かなりゆるい空気の中、担当の方が船の説明、避難経路やライフベストの付け方を説明してくれますので聞いておきます。

避難訓練後、時間があれば船内を探検して大体の施設情報を確認おくのもおススメです。

情報収集

船室に毎日配布される「 Cruise Compass」にはその日のあらゆる情報が詰まっていますので、必ずチェックを!その日のおすすめイベントからレストランの営業時間、注意事項まで、ざっと目を通しておくと役立ちます。

出航前の船からの眺め


セイルアウェイ・パーティ

セイルアウェイ・パーティとは出航を祝ってのライブです。船のオープンデッキにあるプール・ステージが会場で、ほぼ全ての乗客が集まる一大イベントです。どのバンドが登場するかは直前まで明らかにされませんが、通常は準ヘッドライナー級のバンドが登場します。

このパーティではお気に入りのバンドTシャツを着て参加するのが推奨されています。大抵のバンドTシャツは黒いので、数千の人たちが集まったブラック・アウトな空間は何ともワクワクします。バンドTシャツは初対面の相手に自分の好みを示して会話のきっかけにもなるのでおススメです。

プール・ステージのライブではステージ前に集まる人、後方でのんびり観る人、プール周辺でデッキチェアに寝転がる人、水着でプールから観る人などなど、人それぞれの楽しみ方があります。バーは営業しているので、出航祝いの一杯もいいですね。

毎年司会を務めるのはアメリカ版マサ・イトーともいうべき、エディ・トランク氏。有名なラジオDJで、彼とTV番組をやっていたコメディアンの男性2人や他に数名のラジオDJも参加。エディさんのトークの後に全員で記念撮影してライブが始まります。

出航の汽笛が鳴るころ、空はうっすらと夕空になります。フロリダの気候と海風を感じながら、少しずつ動く船から港に並ぶパームツリーやリゾートホテルの景色を眺める時間は最高です。これから5日間のロック・パーティが始まります。


物販

コンサート会場でアーティストのグッズを購入するのは楽しみの1つでもあります。もちろん、ロック・クルーズでもアーティストのグッズは販売されます。

プレパーティ会場

会場内の一角に物販会場が設置されます。プレパーティに出演しているアーティストのグッズが販売されます。ここではクレジットカードでの購入が可能です。

船上

通常、プール・ステージの後方奥に物販会場が設置されます。出航当日は設営に夕方遅くまでかかっているようです。開店まで待ちましょう。乗船アーティストの数が多いので、全アーティストの商品が並ぶとかなり壮観です。

ツアー中のアーティストはそのグッズを販売していることもありますが、2020年にはクルーズ限定のTシャツを販売しているアーティストが複数みられました。限定グッズは売切れが早いようですので、初日に買っておくことをおススメします。

以前は物販でクレジット・カードも受け付けていましたが、船上では通信環境が不安定なため、近年は現金のみの取り扱いになっていました。Tシャツを沢山買いたい人は米ドル現金を多めに用意していきましょう。一般的なTシャツの値段は30ドル程度です。


ライブ・スケジュール

クルーズ中のライブ日程は、出航前2週間前後に発表されます。クルーズのオフィシャル・サイトやフェイスブックをチェックしておきましょう。

このスケジュール表は印刷したものが乗船日当日に配布されますが、スケジュールが前日に変更されることもあるので、毎日船室に配布される船内誌や印刷物をチェックしましょう。更に変更があった場合などは、船内一部の廊下やホールにあるディスプレイ又は船室のテレビ放送でチェックすると最新情報が分かります。

スケジュールをチェックすると分かると思いますが、船内には複数のステージがあり、同時にその複数でライブが行われるため、観たいバンドが同時間帯にプレイしていると、どれか1つを選ばねばなりません。原則1バンドにつきプレパーティとクルーズを通して2回のライブパフォーマンスが行われますので、1回見逃しても別の日に観ることも可能です。

さあ、ここからがパズルの開始です。自分の観たいバンドの優先順位をつけ、スケジュールを見ながら自分のスケジュール作り。これがなかなか難しいのです。ライブの予定以外にもイベントや寄港地での予定が絡んでくるからです。

【参考】スケジュール表

ライブやイベントが同時刻帯に重なり、毎度決断を迫られる。


船上イベント

クルーズ中にはライブ以外にもイベントが行われます。有料のもの、無料のものがありますので、メールで送られてくる事前情報をしっかりチェックしましょう。

無料イベント

Photo Experience

バンドと記念写真を撮りたい!というファンの要望に応える企画。5組程度のバンドが会場に集まり、それぞれ持ち場に立ちます。各バンドにカメラパーソンが付いて、バンドとの写真を撮ってくれます。撮った写真は後日、指定のウェブサイトに公開され、無料でダウンロードできます。

この Photo Experience、人気のバンドがいる場合は大変な行列ができます。2時間並ぶこともあります。つまり、お気に入りバンドと写真を撮るためにかなり時間を使うことになるので、同時間帯のライブを諦めることになります。スケジュールの組み立てで悩むポイントです。なお、VIPの人は別レーンが用意されているので、写真のために長い時間待つ必要はなく、効率的に時間を使えます。

写真撮影時にはバンドとゆっくり話をしたり、サインをもらう時間はありません。挨拶程度ですぐさま写真を撮り、次の人に代わらなければなりません。大勢が列を作って待っているのですから。また、会場内の全バンドを周って写真を撮り出口へ向かうよう順路が決まっているので、お目当てでないバンドとも写真を撮ることになります。誰とでも楽しく写真撮影を!

Q&A

バンドがファンからの質問に答えるイベントです。司会者の指示に従って、質問の受付が始まったら挙手してバンドに質問ができます。積極的な他のファンに負けずにしっかり挙手して質問を。後方で見物して他の人たちの質問やバンドの回答を聞いているだけでも楽しめるイベントです。

DJ Live

DJが音源を掛けてくれて、それを楽しむいイベントで、それだけを目的に行く人はいないかも。バーでお酒を楽しむのと一緒に企画されることも。

仮装大会

クルーズ中の各日に「テーマナイト」としてお題が事前に発表されます。過去の例では「ビッグヘア」とか「天使と悪魔」等。お題に沿った仮装をした方々が写真撮影してお酒を飲んで騒ぎ、優勝者を決めるイベントです。飛行機に乗って遠方から参加する日本人には荷物量が増えるのでなかなか敷居が高いイベントですが、好きな方たちは皆さん創作意欲に溢れた仮装でやってきてくれます。

カラオケ

上層階のラウンジで深夜行われる催し。お酒を楽しみながら司会者の元でカラオケが行われます。深夜全てのライブが終了する前後くらいから朝方までやっていたりするので、お酒を飲んで楽しみたい人が大勢やってきて会場は激混みになります。

ここにはミュージシャンも多数やってきて、何人かが歌いますので、彼らの意外な素顔が見れたりするので、隠れた名物スポットでもあります。

楽器クリニック

ミュージシャンが楽器のデモ演奏をして、演奏について等、話を聞かせてくれる無料イベントです。楽器を弾かない人も時間に会場に行けば見物できます。

クリニックでも有料タイプのものがあり、そちらは事前申し込みで自分の楽器を持参することが必要要件となっていたりします。有料のものは真剣に楽器演奏の上達を目的としたクリニックとなっているようです。

クッキング・ウィズ・ロックスターズ

タイトルどおり、ロックスターたちとお料理をするイベント。数グループに分かれてお題の料理を作ります。

サーフィン大会

巨大クルーズ船には人工波専用プールがあり、サーフィン体験ができる設備があります。そこで波乗り大会が行われます。予選大会と決勝大会があり。

カジノ・ナイト

船内のカジノでDJやミュージシャンと一緒にゲームを楽しむことができます。軍資金はご用意を!

クルーザー・ジャム

人気イベントの1つ。事前に参加申込があり、乗客で楽器演奏やバンド経験のある人がバンドに分かれ、お題に沿う選曲で演奏します。その即席バンドにはミュージシャンが時折参加するため、素人がプロと演奏するチャンスがあるのです。

エディ・トランク・ライブ

アメリカ・ロック界の大御所DJ、エディ・トランク氏の名物ラジオ番組が船上から生放送されます。会場にはゲストのミュージシャンが登場し、エディさんとのトークを繰り広げます。観客はその模様を間近で見学することができます。

ルーク・カールの5km走

スポーツ派のDJ、ルークさんのランニング・イベントです。参加者は集合場所でランニングコースの説明を受け、下船して5km走ります。単に集まってランニングして現地で解散するのですが、見知らぬ海辺の街を初対面のランニング愛好家と走るのも運動不足のクルーズ中にはいい気分転換になります。水は持参した方がいいでしょう。

シュレッド・ギター コンテスト

速弾きのロックギターを競う大会です。とは言え、真面目なタレントコンテストではなく、ゆるい感じでオーディエンスを沸かせる笑いの要素が濃いイベントです。優勝者にはスポンサーからギターやアンプなどが賞品として提供されます。もし優勝しても日本に持って帰るには費用がかかりそうですが。

大会へのエントリーは開始時間前でもOK。ギター持参でも良いし、ステージにギターとアンプがあるので、ギターを借りてもOK。ギターからアンプ直です。ペダルなどのセッティングは無し。(持参可能かも知れませんが、セッティングの時間は殆ど与えられない)コンテスト参加者は司会者の指示でステージに上がり、数分程度のギターソロをプレイします。

著名ギタリストが審査員として数人聴いており、順番に参加者のプレイを評価して点数を付けます。お笑い担当のDJも含め、審査員はかなり辛口でコメントが面白いです。

後ろの列に並ぶ3人の若者が入賞者。賞品のギターを手にしています。

チャリティ・オークション

ミュージシャンたちが寄贈したグッズが並べられており、参加者は入札をします。落札者は一部出品者と写真を撮ったりもできるよう。

バスケ大会

バスケットの腕に自信のある乗客がチームを作り、ロックスターのチームと対戦します。オーディエンスは船上オープンエアのバスケットコートを取り囲んで観戦して楽しみます。

有料イベント

ワイン・ディナー

ミュージシャンと一緒にワインと料理を楽しみながらお話をするイベントで、事前にチケットの販売が行われます。人気イベントなので発売と同時に売り切れること多し。親密な空間でミュージシャンのトークを聞くことができ、ワインと食事も付くので、安いチケットではありませんが、一般的なミート&グリートよりもお得感があります。(160ドル程度)

シップ&ペイント

軽い朝食とスパークリング・ワインが供され、ミュージシャンとお絵描き(塗り絵)に取り組むイベント。事前にチケットの販売が行われます。人気イベントなので発売と同時に売り切れること多し。(90ドル程度)


コンサート会場

船によって多少の違いはありますが、コンサートが行われる会場はおおまかに以下のとおり。

プール・ステージ

その名のとおり、プールの前に設営される野外ステージ。船が陸から出航するときはこのステージでライブが行われます。太陽の下、海風を感じながらのライブは最高。VIPの先行入場は無し。早く来た人優先のスタンディング。南国の直射日光は強いので、日焼け対策必要。

ロイヤル・シアター

船内最大の劇場。座席数1,300程で自由席。VIPの先行入場あり。ステージ前は立ち見可能。人気のライブは1時間以上前から並びの列ができる。一般とVIPの列は別なので、確認すること。室内は冷房が強いため、冷房に弱い人は温度調節できる服装が望ましい。途中入場・退出も可能。席を移動する場合は周囲の人に配慮すること。

スタジオ

本来はアイスリンク。ステージ前はフロアになっており、左右と後ろにフロアを囲んで客席がある。座席数700程度、収容人数900程。VIPの先行入場あり。ステージ前は立ち見可能。その他シアターと同じ。

ラウンジ(下層階)

ステージ前は小さなフロアになっており、左右と後ろにフロアを囲んで客席がある。座席数200程度、収容人数350程。VIPの先行入場無し。ステージ前は立ち見可能だが、状況によっては床に座って観るスタイルになる。その他シアターと同じ。

ラウンジ(高層階)

ステージを囲んで客席がある。座席数140程度。その他ラウンジと同じ。


アーティストに接するエチケット

クルーズのお楽しみは多くのアーティストと5日間同じ船ですごし、いろいろな場所で彼らに出会えることにあります。

彼らも乗客がそれを楽しみにしていることを承知しているので、できる限りファン・サービスに努めてくれます。ただ、ステージ以外の場所では彼らのオフタイムでもあるので、状況を見極めて声を掛けることが大切です。彼らが急いでいたり、同行者がいる場合などは配慮が必要。

アーティストもカフェテリアやレストランに食事に来ますが、食事中に写真を撮るなどの行為は基本的にNGです。彼らのオフタイムを尊重しましょう。


船上での食事

船上での食事や飲み物はクルーズ代金に含まれています。美味しい食事も十分ありますが、ここで美食を求めるのは無理というもの。まあまあのファミレスくらいのイメージでお付き合いするのが良いかと思います。一部のレストランやアルコール、炭酸飲料、ボトル入りの水は有料です。

無料の食事

マーケット・プレイス

屋上プールのある階に位置する大規模なカフェテリア。席数が多く、食事も飲み物もブッフェ形式で提供されます。料理の種類も多く、待つことなく、自由に食べたいものを好きなだけ食べられる最も便利な食事処。

午後4時から6時と午後10時から深夜の閉鎖時間を除いて、午前7時から午前3時まで空いています。詳しい営業時間は船内情報誌を参照のこと。

ダイニング・ルーム

豪華な内装の2フロアを使ったレストラン。個別テーブル席及び、ミュージシャン用のフロアがあるレストラン。入口から席に案内され、メニューを渡され、オーダーを訊かれる普通のレストラン形式ですが、お酒以外のフード・ドリンクは無料です。サービスに対するチップは必要。

カフェ&ピザ

有料のカフェもありますが、ビュッフェ形式の無料カフェもあります。サンドイッチ等の軽食やピザも。マーケット・プレイス閉鎖時間中などはなかなかに混雑するスポットです。

有料の食事

スペシャリティ・レストラン

ステーキハウスやイタリアン、和食など特定の食事を提供するレストランでの食事は有料です。ゆっくりと食事を楽しみたい方向け。

ルーム・サービス

部屋のテレビや電話でオーダーできます。料理は無料のものもありますが、サービス料は別途加算されます。運んでくれたウェイターにチップも。

カフェ/デザート・ショップ

スターバックスやアイスクリーム・ショップなど有料の店舗があることも。

バー

お酒のあるところにはいつも人が集っています。屋内のバーとプールサイドのバーがあります。ドリンク・チケットを買った人は最終日までに使い切りましょう。

料理の種類はアメリカンからアジアンまで多種多様。ベジタリアン用フードの用意もあります。


寄港地

外国に入国する場合

メキシコやジャマイカなど、寄港地で一旦入国して観光を楽しむことができます。寄港地での様々なオプショナル・ツアーがクルーズ会社によって準備されています。下船可能時刻と乗船締切時刻を確認して、時間に余裕を持った予定を立てましょう。ウェブでツアー内容や服装・持参物、料金を確認して申込しましょう。乗船後に顧客サービスカウンターで予約することも可能です。

下船の準備

下船する場合、寄港地によって接岸してキャットウォークを歩いて街へ出れる場合と、小型船に乗り換えて港まで移動する場合の2通りがあります。

どちらの場合も下船フロアが何階か、船内誌や船内アナウンスで確認してそこへ向かいます。クルーズカードとクレジットカード及び現金、念のためパスポートを携帯するのが良いでしょう。

下船時にID確認を行い船外へ降ります。寄港地では入国管理を通過しなくてはいけませんが、観光地のため形式的なものです。

入国のゲートを通過すると、そこは観光地。土産物屋やショップが並んでおり、観光客を目当てとした現地のツアーガイドが即席のツアーを売っていたりします。

クルーズ会社で申し込んだツアーは所定の集合場所へ。添乗員が待っています。

プライベート・アイランド

クルーズ会社が管理所有するプライベート・アイランドに寄港した場合に異なることは、外国に入国する為のIDチェックなどの必要なく、その島全体が船内とほぼ同じ運営がされていることです。乗船客とスタッフしかいないので安心して遊べます。ビーチでのんびりするのもいいです。船内で借りたビーチタオルは忘れずに持って帰りましょう。

オプショナル・ツアー

プライベート・アイランドでも観光は楽しめます。クルーズ会社で申し込んだツアーは所定の集合場所へ。他の寄港地と同じです。

ライブ

ビーチにステージが設営され、ライブが行われます。南国気分が味わえる楽しい機会なのでおススメ。

食事

島にも簡単な飲食施設があります。そこは船内と同様に運営されており、食事が無料で、アルコール飲料を買う場合もクルーズカードで決済ができます。


下船

楽しい船旅はあっと言う間に終わってしまいます。しかし下船前にやっておくことを忘れてはいけません。最終日の船室に届けられる書類には目を通しておきましょう。下船の方法、荷物の扱いなど必要な情報が書かれています。

交通手段の手配

バス

下船後に多くの人は空港へ移動するのですが、船会社が手配するバスで安く移動することもできます。このバスは最終日よりも前までに販売が打ち切られるので、早めにカスタマー・センターで購入する必要があります。

オプショナル・ツアー

空港へ移動するにも、オプショナルツアーを使う方法もあります。フライトが午後遅めの便だったりする場合、下船してツアーバスに乗り、フロリダ観光をして空港まで移動できます。空港に直行すると時間が余り過ぎてしまう場合は良い方法です。こちらは事前に船会社のサイトでネット予約できます。

タクシー

港にはタクシー専用の乗車場があり、係員の方がさばいてくれます。

ライドシェア

ライドシェアを使用する場合は専用の乗車位置から乗ります。

荷物の準備

自分の手で持って下船する(セルフ・アシスト)のではなく、下船まで預け入れる荷物がある場合には指定された時刻までに預入荷物をパッキングして船室に届けられた荷物タグに名前を書き、そのタグを荷物に付けて船室の前に置かなくてはなりません。これを忘れた場合はセルフ・アシストで下船しなくてはなりません。

チェック・アウト

普通のホテルのようなチェック・アウトの手続きは不要です。船内で購入したものや飲食など、クルーズ・カードで精算したものは自動的に設定したクレジット・カードに請求されます。いくら使ったか、カスタマーサービスで請求の一覧をプリントアウトしてもらうことも可能です。最終日の夜にこれをしておくと、誤った請求がきていないかを自分で事前確認し、申告すれば対処してもらえるのでおススメです。下船日の朝にステイトメントが各船室に届けられますが、下船日にはカスタマーサービスも混雑します。

下船の手順

セルフ・アシスト
自分で荷物を持って下船する人は下船可能時刻からいつでも下船できます。

出発グループ
荷物を預けた人は、船室ごとに定められた自分の出発グループの集合場所と時刻を確認し、そこへ集合します。これは下船後の混雑を避けるための措置です。

出発グループの集合場所には誘導係がいますので、その指示に従って順に下船します。荷物はタグ番号の表示された荷物置き場にありますので、そこで受け取ります。

通関と入国審査
下船すると、そこから米国に再入国しますので、通関と入国審査を受けます。入国後はターミナルで交通機関ごとの乗車場へ移動します。


おわりに:コロナとクルーズ

楽しいロック・クルーズについて紹介してきましたが、2020年のパンデミック発生から世界は変わってしまいました。

MORCは2021年のクルーズを企画したものの、パンデミックで断念し、クルーズ船ではなく、カリブ海ホテルリゾートでのイベントを2021年5月に企画しました。しかし、パンデミックが終息せず再び断念、同年10月に米国内のホテルでイベントを計画し、こちらは無事に開催されました。

2022年2月には再び例年通りのクルーズを運航予定です。ただ、オミクロン株出現による感染拡大が進む中で最終的にどうなるのか。クルーズ会社の方針により、ワクチン接種証明と陰性証明の提出が乗船時に義務付けされていますが、船内でのマスク着用は自由となっていました。しかし、米国内の感染者急増により、クルーズ運航会社の判断で屋内施設でのマスク着用は義務化されました。ただ、そのような規則に従う乗客はごく少数でしょう。日本と違って、彼らはマスク着用に大きな抵抗感のある人たちです。

2021年秋にはフロリダ発のカリブ海クルーズが復活しており、いくつかのロック・クルーズも実施されています。それらの写真を見ると観客は殆どマスクを着用していません。パンデミック前の世界のように楽しんでいる人々。

案の定、オミクロン株の流行によって状況は変わったようです。相当数のクルーズ船で感染者が発生しており、感染を恐れた寄港地側により上陸を許可されず、出航地に引き返す船も出ていたり。CDCがクルーズ旅行は感染のリスクが高いとして警告を発していますし、コロナ発生が確認された船の多くが調査対象になっています。ブラジルの保健当局が感染発生の状況により一部クルーズの運航を止めたという話も。2021年末から新年にかけてのドイツ~スペイン観光地へのクルーズは感染者の発生が多発して乗客を寄港地で下船させ空路で帰国させたというニュースもありました。

乗船時に陰性であっても、その時点では陽性がまだ現れていない場合もありますし、オミクロンはワクチンをすり抜けて感染します。クルーズ船は閉鎖された空間です。どんなに対策を行っても多数の乗客が同じ空間に数日間滞在して飲食をしますし、部屋にいたって面白くないのですから、ショウを観たり、イベントに参加したり、自然と開放感を得て油断してしまうものです。逆に、開放感なくしてどうやってバケーションを楽しむことができるでしょうか。

乗船前に陽性が判明すると当然ですが、乗船できません。自宅からフロリダまでの渡航費もフロリダのホテル滞在費も、もちろんクルーズ費用も全て戻りません。更に現地で一定期間の自己隔離のため、ホテル滞在することになります。追加費用に加えて旅行のスケジュールも大幅に延長されます。乗船中に陽性になると船室に隔離されます。下船時に陽性となってもホテルでの隔離生活が待っています。かなりのリスクですね。

ちなみに、私は2021年2月の中止となったクルーズも予約していたのですが、こちらは主催者中止のため、全額が返金または次のイベントに振替可能となりました。最初は返金を求めたのですが、一向に返金はされませんでした。問い合わせると、「予約金はクルーズ運航会社が次のクルーズ代金として握っており、企画会社側には現金が無い。返金するには他のイベント購入者からの入金がないとできない。多くの返金希望者がいるので、順次対応するから気長に待て」という、なかなか驚かされる返信でした。さすがアメリカンな対応。

2021年の春に「来年にはもう大丈夫だろう」と思い、2022年のクルーズを予約してしまったのですが、現在の渡航・入国規制や感染リスクを考え、渡航を断念しました。これで2018年に続き、2回目のクルーズ代金水の泡だなぁと酸っぱい気分です。ああ、それにしてもクルーズの日々が恋しい。早く世界がパンデミックを克服しますように。

船上のオープンデッキ。寝転がって海風を感じる至福のとき。






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