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顔を見れない

電車に乗っているとき、乗り合わせた人の顔を見ることができない。身動きが取りづらい車内で他人と目を合わせることが苦手なのだ。
2mくらい離れていれば話は別だ。それだけの距離があれば、お互いに意識外になるのだ。たぶん。
どうにか目が合わないように足元をみたり、電子盤のあるあたりをみたり、窓の外を見る。だが、窓の外を見ようにもその手前に他人がいるときは注意しないといけない。油断すると窓に目線が届く前に目を合わせてしまう羽目になる。
目があってしまった時は次の停車駅までそのことで頭がいっぱいになる。精一杯の余裕をみせるが、内心は目があってしまった事実と他人の顔の印象が頭の中をめぐるのだ。気まずいし、変な汗をかく。

一方的に顔を見るときに気まずさはない。目と目があってしまった時のあの気まずさはなんなんだろう。


おしまい

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