質問箱で漢文の勉強について質問があったので、僕なりの漢文の勉強法について語りたいと思います。この記事を読む際の前提として、語学学習は地道な努力なしで学ぶことが不可能であり、あくまで僕が実践していた勉強法なのでこれさえやれば絶対に全員が全員漢文ができるようになることを保証するものではないということをご理解いただいた上で読んでください。ネットで漢文の勉強法を調べると一か月で満点をとる勉強法とか句形さえ覚えたら余裕で満点といった勉強法がたくさん出てくると思います。特に受験勉強を始めたばかりの純粋な高校生ですとこういった情報を鵜呑みにしてしまい、漢文の勉強を適当にしてしまう事態に陥ってしまうことがあります。漢文という科目が入試において正直合否を大きく左右する科目ではないため、実際にそのような勉強法で入試を突破した人が多いのも事実だと思います。しかし入試問題の難易度は年度によって変化するなので、いい加減な勉強をしていたら痛い目にあう可能性も十分にあります。様々な情報が溢れているということはネット社会の利点でもあり欠点でもあります。今これを読んで下さっている方はこの文章の内容を含め全ての内容を丸呑みせずに、本当に正しいのかを自分なりにまた他の情報と照らし合わすことを通じてしっかり吟味してから情報を取り入れて下さい。

話を元に戻します。僕の考える漢文の学習法としてまず挙げられるのが句形の暗記です。句形の暗記自体はどの勉強法のサイトを見ても載っていることなのですが、どのようなレベルで暗記すればよいのかまで記載しているものは少ないと思います。英文法と違って漢文の文法自体が入試で問われることは稀です。センター試験では確かに出題はありますが、半分以上は文脈理解の問題です。センター漢文の句形の問題を見てみてください。以下の3パターンに分類されることが分かります。                 ①書き下しのみを選ばせる問                     ②解釈のみを選ばせる問                       ③書き下しと解釈の両方を選ばせる問                 なぜ同じ句形を問う問題なのにこのように3通りの問い方をしているのでしょうか?僕の考える出題意図はこうです。               ①は純粋な句形の知識(受け身 再読文字 使役等)を問う問題     ②は句形の知識よりかはその文の意味を問う問題            ③は句形の知識だけあるいは文脈だけでは解釈が難しいので合わせて考えて欲しいという問題                          ①②③は全て同じ割合で出題されている訳ではなく、特にここ最近のセンター漢文は②③の割合が多いと思います。このことから漢文の句形はあくまで読解するためのツールとしての役割が大きいことが分かります。またその形だけを覚えているだけですと文章中で句形が使われていることに気づけないという事態も起こりかねません。なので僕の提案する句形の暗記は短文の中で暗記するというものです。有名な漢文の参考書で漢文の基本ノートという日栄社がだしているものがあります。僕はこの参考書に載っている短文を中3、高1の間に学校で覚えさせられました笑。当時はやる意味が全く分からなかったのですが後々になってその意味が分かりました。短文を暗記することで漢文特有の句形のリズムを身体に染み込ませる。これが短文暗記の主な目的だと思います。リズムを染み込ませた上で各文法ポイントの句形を覚える(再読文字は 未 将 応…)この2段階の暗記法で漢文の句形をしっかり身に着けることができると思います。

句形を覚えた後はどんどん漢文の文章を読んでいきます。これは句形を覚える作業と同時進行で構いません。良質な漢文の文章はやはりセンター試験の過去問です。30年分ほどは入手可能だと思いますのでたくさん読んでいきましょう。その際に丁寧に学習するなら文章中の重要な句形や語句をチェックして知識をより一層定着させていきましょう。この作業は初めに言った通りここまでやれば完璧という終わりがありません。ですが一つの目安として漢文が読めてきたとなるラインは最初の方を読んでオチが想像つくレベルになると実力がかなりついたと言えると思います。例えば今年のセンターでは漢詩がでました。漢詩を苦手とする受験生は多いですが、漢詩がそもそも何の為の表現方法なのかを考えれば読む前からオチはある程度想像つきます。例えば親友が亡くなってしまいその哀憐の情を漢詩にこめて友を追悼する あるいは左遷された悲しさを漢詩にこめて表現する           そうです 漢詩は強い感情表現のために使われるのです。なので漢詩が出題されたらリード文と合わせて大まかな方向性は読む前から分かります。同じように通常の文章でも様々な文章の経験があればオチは予想できます。  帝が間違っていることを家臣が上手に諫言して帝が改める        昔の賢人はこのようにして苦難を乗り越えてきましたので真似しましょう 僕は国語の先生ではないので上手くパターン別にオチをまとめることができないのでこれくらいの例しか出せませんが、自分なりにこの話はこういうオチだなという予想がつけられるレベルになるまで読み込みましょう。   

このオチに着眼した読みができるようになると本文の趣旨から大きく読み外すということが少なくなり安定した読みができるようになります。もちろん漢字の意味の類推や句形を強く意識した精読も大切ですが、精読にこだわりすぎることで逆にこの文章が何を言いたかったのかが分からなくなる事態になってしまうことがあります。まさに木を見て森を見ず状態です。漢文に限らず読解力のある人はこのマクロとミクロの視点の使い分けが上手です。難しい文章に遭遇するとどうしても意味が分からない箇所がでてきます。東大漢文の難しい問題ではよくあることです。その分かりにくいところをある時は漢字の知識からの類推で、またある時は全体の流れと論理構成から内容を想定する。器用に双方を使い分けることで安定した読みが可能になります。

漢文の文章を誤読してしまう人はその誤読した原因を徹底的に突き止めましょう。そもそも句形の知識が抜けていたのか?自分の勝手な想像で読んでしまったのか?国語が苦手な人は先ほどのミクロとマクロの視点の使い分けができず、結局自分の想像で話の内容を取り違えてしまうということをよくやらかしますし、僕が実際にそうでした。終わりのないこの読解の修正を重ねていくことで正しいオチを予想する感覚が段々身につくはずです。

長くなりましたが漢文の勉強法をまとめますと      

①句形を短文暗記で身体に染み込ませ、重ねて形ごとに句形を暗記する  ②オチを意識した読解予想 読解修正の積み重ねによって正しい漢文の感覚を身に着ける

といった感じです。最後まで読んでいただいてありがとうございました。

2020/02/28 まことちゃん 

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