ふらっと

帰り路、繁華街を横切るのだが、
色んな飲食店が軒を連ねており、ふらっと立ち寄りたくなるときがある。

朝の通勤時にそこを通る時にはシャッターが降りているお店がほとんどなので、
夕刻になるとまるで変わる景色に心が弾む。
仕事が終わって家路を急ぐ足なので、尚更気持ちが軽くなっている。

美味しそうな食べ物の香りを鼻に掠めながら通り過ぎていく。
ああ、立ち寄りたい。

思えば、夜にそうやってひとりで飲食店に入ったことがない。たぶん。

憧れるな、ふらっと立ち寄る軽い感じ。

あと何年したら、仕事終わりに何の気兼ねもなく気の向くままに夜の飲食街に足を運べるだろうか。
家族の心配もせず、翌日の仕事の心配もせずに…


でもその願いが叶う頃には、子どもたちは家を出て、夫婦ふたり暮らしの生活をしているんだろう。
毎日当たり前のように過ごす子どもとの時間がなくなり、自分だけに使える時間が増える。

そう考えると、嬉しさよりも寂しさと悲しい気持ちのほうが上回るな。


今日もまた、子どもたちが待つ家で晩御飯を食べよう。
今夜はシチュー。


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