文体練習?

Twitterで@dlitさんと「天声人語で文体練習」という話でもりあがったので、自分のリライトを載せておく。

@dlit「天声人語を教育の題材にするなら「論理的な文章に書き直す」素材にするといいと思ってるんだけど前に大学の授業でやったらけっこう難しかったのでおすすめはしません」

アレッポからの避難

[私の好みの文体へリライト]

 アレッポは、世界最古の都市の一つであり、古代より交通の要所で「すべての道はアレッポに通ず」ということばがシリア周辺にはあったそうだ。時代が下るにつれ、イスラム世界の広がりとともに都市としての重要さを増し、欧州やインドをつなぐ貿易の拠点として栄えた時代もあったという(黒田美代子『証人たちの共和国』)。
 このような歴史を誇る都市は、シリアの反体制派の拠点となり、長引く内戦ののち、今月中旬、アサド政権に爆撃され、廃墟と化した。英BBC放送による空からの映像を見ると、壊れた建物やがれきが広がっている。加えて、病院の廊下にいる人びとが爆撃に見舞われ、煙が充満する映像もあった。爆撃は学校にも及んだという。
 こうした惨状に対し「国際社会は何もしてくれない」という現地からの声が、インターネットを通じて世界に発信されていた。国連はようやく、住民を安全に避難させるための監視団を派遣することを決議した。
 このような大量の犠牲を出す前に、手が打てなかったのだろうか。
 一昨日トルコでは、ロシア大使が警察官の男に銃撃されて亡くなった。このテロ行為を行った男は「アレッポを忘れるな」と発言した。テロ行為は許されるものではないが、ロシアのシリアに対する責任についてはもっと考えるべきではないか。

さて、最後の一段落は、かなり唐突な感じがする。話の筋からかなり外れているからだ。

実は天声人語では、「トルコではおととい、ロシア大使が警察官の男に銃撃されて亡くなった。言うまでもなくテロは絶対に許されない。それでも、容疑者の残した「アレッポを忘れるな」の言葉が重く響く。」と書かれている。これを身も蓋もなく解釈して書き直すと上のようになるのだが、どうにも座りがわるい。これをなんとなーく同じ話の中にあるかのように書くのが天声人語流なのである。

逆のパターン。論理的に(というか、あまり虚飾なく)書いておいたものを、天声人語風に書き直すにはどうしたらいか。まず上の文章を天声人語を見ないで、天声人語だったらどうなってたかなーと想像するところからはじめたらどうだろうか…。


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