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砂漠の都市にて2

私はきっと、この色や風景を、いつか懐かしく思い出すのだろう。

毎日晴れているこの砂漠の都市では、曇ってると「今日はいい天気だな」と思う。実は到着した日は私にとっては「ふつうの」曇天であった。迎えに来てくれたホストの先生は「weird」といっていた。その翌日も、翌々日も小雨がぱらついたり、曇っていたり。最初の土曜日に、大型のホームセンターTargetに行って大量に買い物した帰り道、車に乗っていたら雹が降ってきた。大粒の雹が車を壊すかと思った。hailという単語、一応知っていたけど、さっそく身体化された。虹が出て、空気が湿っぽくて、水たまりができていて、砂漠の都市に来た実感はなかった。雨男の夫の効果は、砂漠の都市でも有効だったらしい。

しかしそのあとは基本的には晴れ。空はいつも青い。日差しはものすごく強く、照り返しだけでもまぶしい。

ある日、30分かけて、歩いて大学まで行ったのだが、体は十分暑いのに、なぜか耳が冷え切って痛くなった。日差しが強くて、当たっている背中は温かくなるのに、実際の空気の温度はかなり低いということだ。日が陰ると急に寒くなる。日が陰る前に家に帰っておきたいと思うのだった。

11月末になって、天気予報に、零下の気温が並ぶようになり、小雪がちらつく日もあって、そのくせ日差しは温かい。最高気温も10度を切っている。これが、高地砂漠。緯度は高くないのに、知り合いの先生がいるバンクーバーより寒いのであった。


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