「映像研には手を出すな!」を知って二次創作をするオタクが号泣した話

私は過去記事でも書いた通り、夢小説を人生の半分以上の年月書いたり読んだりしていて、ここ数年はどピコサークルで漫画同人誌も描いているオタクである。
そんな私が「映像研には手を出すな!」というアニメを観て、ティッシュがなくなるほど泣いた話をしようと思う。
ネタバレしかないので、そこのところをご了承の上読んでいただきたい。

「映像研には手を出すな!」は大童澄瞳氏の描くスピリッツで連載されている漫画で、アニメ、実写ドラマ・映画と展開している。2020年11月現在で漫画は5巻まで出ている。
アニメは2020年1月からNHKで深夜に放送されていて、「日曜24時とか無理じゃん」と思っていてずっと勧められていたのに観なかった。そんな私がなぜアニメを観るに至ったかというと、放送時に毎週見ていた上述の勧めてきていた友人から「DMMカードあげるから観てくれ!!!」とDMMカード3000円分のシリアルナンバーが送られてきたからだ。貰ってしまっては観なければなるまいと、DMMで1カ月の視聴期間のアニメを購入した。アニメは1クール12話なので、まあすぐ観れるだろうと思って観始めた。ちなみにこれを書きながらもう一度観たくて今また買った。

内容は簡単に言ってしまえば、「アニメを作る女子高生たち」の話だ。
設定が命で、思い立ったらすぐに何でもスケッチブックに描きだすまたは語り出す浅草氏。
アニメのことはよくわからないが(と言いながらも割となんでもこなす)マネジメントと金儲けが得意な金森氏。
将来の夢はアニメーターという、「アニメーション」を作ることに命をかける読者モデルの水崎氏。
浅草氏と金森氏は中学からの知り合いで、高校入学と同時に水崎氏と出会い、「映像研究同好会」を立ち上げるところから物語は始まる。
監督が浅草氏、作画が水崎氏、スケジューリングや外部調整などを金森氏が担当している。ここにそのうち音響の百目鬼氏が加わるのだが、まずは三人のことがわかっていればいい。

この作品には「創作者に刺さる言葉」がたくさん散りばめられている。
以下は漫画から抜粋した台詞である。

「説得力のあるロボットは描けないロボアニメは無理だやめよう」と言った浅草氏に向かって金森氏が言う言葉。
「あなたがダメだと思うから、この作品はダメなんですよ」「他人なんて関係ない」「あんたがこのロボットに満足できないなら、『更に好き勝手描く』以外の選択肢はないんすよ!」
自分の漫画はダメだ面白くないと言いがちな私にこの言葉は刺さった。

チェーンソーが上手く描けないという水崎氏にもう十分いい出来じゃないですかという金森氏に対しての水崎氏の言葉。
「チェーンソーの振動が観たくて死にかかってる人がいるかもしれない。私はチェーンソーの刃が跳ねる様子を観たいし、そのこだわりで私は生き延びる」「大半の人が細部を気にしなくても、私は私を救わなくちゃいけないんだ」「動きの一つ一つに感動する人に、私はここにいるって、言わなくちゃいけないんだ」
たとえば自分がこの表情を描くのはこういう感情を込めたからだということを、もし表情について気にしている人がいるとして少しでも気付いてもらえたら、その人と私のために描けたということなんじゃないかって思った。

映像研の宣伝をしている金森氏にSNSやって遊んでる場合かという浅草氏に向かっての金森氏の言葉。
「ツイッターは!!遊びじゃねえんだよ!!」「誰も知らねえ店に、客が来るわきゃないんだ」「店や商品の充実だけを考えても意味はない!宣伝なくして商売は成り立たない!良い店なら自然と客が来るなどという考えは甘い!」
宣伝力の足りないどどどピコサークルには耳が痛かった。

上記以外にも好きな言葉はたくさんあるんだけど、特に好きなのがこの辺だ。

アニメは原作3巻までの内容だが、百目鬼氏の加入タイミングや、3作目のコメットA(コミケみたいなイベント)に参加する時のあれこれや完成作品などの違いがある。
私はこの3作目のアニメ版「芝浜UFO大戦」がすごく好きで、これを作るまでの悩み、土壇場でのストーリー変更カット追加などがあって、完成品の上映となった時に冒頭から最後までずっと泣いていた。話と曲もいいんだけど、今までアニメの中で語られてきたことの集大成という形になっている。最後までストーリーと設定に悩み続ける浅草氏、外部との調整をしっかりとやり遂げる金森氏、1作目と比べてアニメーションのクオリティが上がりまくっている水崎氏。観てくれ。最終話まで。

上記の「芝浜UFO大戦」含めて、アニメを作る話なので当然作ったアニメがある。これこそが、アニメという媒体で製作して成功だったと思えるポイントなのだが、漫画では漫画内で描かれている作ったアニメが、アニメとして動くのである。当たり前だろって?まあ聞いて欲しい。
部活の予算獲得のため、生徒会の予算審議委員会を通すために作った短編アニメーションがある。「そのマチェットを強く握れ!」という短編予告風アニメでは、セーラー服にガスマスクをつけた少女が、マチェットという剣を握り、荒野で戦車と戦う。
上映が始まると同時、体育館に風が吹く。すると、生徒達の足元に広がるのは荒野。戦車が撃った薬莢が生徒の近くに飛んできてカランと音を鳴らす。戦車はついに銀幕を乗り越えて現れ、マチェットを握った少女が戦車を一刺しし、爆破の余韻と共にステージ上に降り立つ。
アニメの中の現実とアニメ内アニメの境界が消える、という描き方でアニメに圧倒される人々、そのアニメの完成度の高さを表現している。
アニメ内アニメ以外でも、面白いのが彼女たちの脳内設定や描いた絵が現実世界に漏れ出した時、それが手描き風のアニメになるのだ。効果音は妄想なのですべて声。ドーンとか、ブロロロロとか、全部声。

ちなみにアニメの監督はクレヨンしんちゃんで有名な湯浅氏である。


創作者が欲しい言葉をくれる作品だと思う。逆に、刺さりすぎる、わかる、なども多い。創作をする人はぜひ見てみて欲しい。
そして、実写はまだ観てないごめん。


アニメ2期まだかなー!ばばーーん!!!!

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