わたしと人生半分付き合ったドリーム小説という文化

 これは、ある辺境の地で夢小説サイトを今までの人生の半分以上運営しているとある夢者の脳内垂れ流し文章です。これ書きたくてnote登録した。
 TLで「夢小説に対する思いを残した方がいい」というツイートを見かけたから、書いて見ようかなと思ったので。

 私の夢との出会い話に興味なかったら後半の「まとめ」まで読み飛ばしてください。


 「原作に自分がいたらこうするのになー」と考えたのは、幼稚園の頃がたぶん最初。セーラームーンの世界に生まれたかったし自分もセーラームーンになりたかった。アニメのポケモンにデジモン。一緒に旅をする自分を毎日のように布団の中で妄想した。

 少し大きくなって、少女漫画から少年漫画を読むようになって、一緒に戦ったり能力を考えたりキャラクターとの関係性を考えたりと、脳内が毎日忙しくなってきた頃、パソコンが我が家にきて(ダイヤルアップピーヒョロロロ)(インターネットは月10時間まで)、個人サイトというものの存在を知る。その頃検索除けなんて文化はなかったから、好きなジャンルでヤフーで検索すれば個人サイトがバンバンヒットした。

 そしてある日運命の出会いをする。
 いつものように好きなジャンルのキャラ名で検索をした時のこと。ページを開くとJavascript(なんて当時は知らないが、)ポップアップが現れてこう言った。

 「あなたの名前を入力してください」

 個人情報を抜き出すサイトだ!!!!!
 もちろん入力せずにキャンセルをする。するとどうだ、好きなキャラと「name1」という名前の人物(おそらく女子)の恋愛小説が始まったのである。最後まで読み、よくわからんなと思ってブラウザバックした。
 それが最初の出会いであった。

 それからもサイト巡りは続けていて、小説サイトには見向きもしなかった私が、「ドリーム小説」というものの存在を知った。きっかけは全く覚えてない。ただ、その名称を知ったことが私にとって衝撃的だった。
 つまり、原作にいないキャラクターを妄想しているのは自分だけじゃなかったということだ。
 嬉しかった。もう、めちゃくちゃ嬉しかった。そして、この私の何年もしてきた妄想に名前がすでについていたことにも感動した。先人はいたのである。

 それから、ずっとイラストサイトばかり探していた私は、ドリーム小説を探すようになり、すぐに自分でも書こうと思うようになる。サイトの作り方なんて知らないのに、サイトも作った。ホームページビルダーさんはすごい。
 当時好きだったジャンルで短編を何本も書いた。旬ジャンルだったからそれなりに読んで貰えたし、感想も貰えたし、リクエストも貰えたりした。当時は読み専の頃に使っていた名前を主人公につけ、どのお相手を書くにもその名前で書いた。性格が違っても学校が違っても、全部同じ名前。今まで読んできたのがそうだったので、みんなに愛される、逆ハーレムとかを書くことが多かった。

 そんな感じでサイト運営して1年でまあいろいろあってそのサイトは畳んで(それなりに常連の方々はいた有り難いことに)、次に始めたのが今も続いている半生付き合っている夢小説サイトだ。

 そして、その頃に運命の出会いパート2をする。
 とあるサイトに訪問した時のこと、そのサイトの小説は今まで読んできたドリーム小説と何かが違った。
 まず主人公が誰も恋愛してない。ジャンルが複数あって(それは珍しくない)、各ジャンルの主人公がきょうだいという「設定」だった。男の主人公もいた。
 その主人公達には生まれてから今までの人生があって、家族がいて、だから今こういう性格でこういう風にキャラクターたちと付き合っている。という、説得力。そして「こんな容姿です」とイラストまであった。

 ああ、ドリーム小説って恋愛しなくていいんだ。
 こんなにも自由にやってもいいんだ。

 今まで私の中で引っかかっていたものがなくなった気がして、サイトに置いていた「恋愛」で主人公の「設定」も「個性」もないドリーム小説を全部撤去した。すっきりした。

 この夢と呼ばれる妄想を始めた当初から、私の考えていた妄想ってめちゃくちゃ設定が濃かった。このキャラクターとこんな関係性で、こんな能力を持っていて、こんな発言をする性格でetc.
 そんなドリーム小説でも書いていいんだって思った。恋愛で、名前がなくて、個性もなくて、そんな自分が本当は夢見ていなかった夢をわざわざ書かなくてもいいんだって思えた。それまで私は読者に媚びていたのかもしれない。

 そこからサイトに表記していた「ドリーム小説」という名前を「名前変換小説」に改めた(これは昨今の夢の多様性によりもう夢小説としていいと思って戻してる)
 注意書きに「恋愛はありません」と書いた。私は当初から、誰と恋愛をしたいわけでもなかった。ただ友達になりたかった。仲間になりたかった。一緒に部活したり、戦ったりしたかった。だから、当時は見かけなかったけど私は自分の書くそれを、「恋愛夢」に対して「友情夢」と名前をつけた。
 そもそも主人公は「私」じゃなくてよかった。私が考えた、その原作世界で生きる「キャラクター」を友情夢に投入したかった。なので、注意書きに「主人公に設定がある」ことを明記した。

 そんな始まりがあったサイトが、今に至っても何も変わらずに存在し、更新頻度を落として運営している。社会人、書く時間がない。学生時代は睡眠時間も勉強時間も削って書いていたのに。

 ありがたいことに、これだけ長くサイトを続けているといろんな感想をいただく。
 「今まで恋愛夢しか読まなかったけど友情夢もとてもよかったです」とか。
 「友情夢を探していたらたどりつきました」とか。
 「男主人公初めて読みました」とか。
 ニッチなジャンルでドリーム小説を書いているという自覚はあったけど、そのニッチなところを好んでくれた人もたくさんいた。

 とかそんな感じでサイト運営していて、2009年。そう、Twitterの登場である。
 当時フェスというものがあり、初の夢フェスにはもちろん参加した。
 まあいないだろうと思いながら「友情夢好きな方いませんか」と書いた。

 なんと、フォロワーが一気に増えた。

 今までどこに隠れていたんだ!!!!!!!(心からの叫び)

 それまでサイト上での付き合いしかなかった私は、フォロワーという同好の仲間を得て、今に至る。Twitterには本当に感謝してる。
 恋愛じゃない夢も、設定がたくさんある主人公も、私以外にも書いてる人妄想してる人がたくさんいた。本当に嬉しかった。

 まあ、そんな私のドリーム小説との出会いとつきあいの話でした。


 まとめ。書きたかったのはここから。

 「ドリーム小説は原作キャラクターと恋愛をするものである」という説に異論はない。確かに今から十数年前はそうだった。でも、ドリーム小説の主人公は誰だってなれるし、何にだってなれる。だからこその夢なのだと思う。どんな感情をもってキャラクターと接するかも自由。ドリーム小説を好きな人の数だけドリーム小説というものの種類はあって、分類するのはもはや無理だと思う。どこまで細分化してもこぼれ落ちるものが必ずある。自分の好みのドリーム小説以外読まないでしょ? 知らないでしょ? だから完全に分類するのは不可能だ。

 中には引退する人、これから好きになる人、いろいろいると思う。
 多様化したドリーム小説という文化は今後も誰かに愛され続けて行くと思うし、時代に応じてどんどん種類が増えて行くんだと思う。
 私たちは、それを迫害せず、ただ他の人の夢を「その人の夢」として認知していくことが大事なのではないかと思う。他人の夢は、いつかの日に自分が見た夢。黒歴史にするのは勝手だけれど、当時愛した自分の夢を黒歴史扱いするのは悲しいなと感じる。まあ、夢なので、自分の夢に対する感情もまたそれぞれだけども。


 私は、今後も友情夢(近年友情とも言えない恋愛ではない夢を書くので「甘い夢」の反対で「無糖夢」と呼んでいる)を書き続けるし、サイトもまだまだ畳むつもりはない。更新頻度低すぎだけど、ちまちまと更新は続けていきたい。私の「夢」を書き続けたい。


 多種多様なドリーム小説が存在する現在、あなたの好みのドリーム小説がどこかにきっとあると思う。なかったら書こう。それはあなただけの「夢」だから。


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