とんでもないです

人から褒められることが苦手。
褒められても「そんなことないです」とニヤつくのが精いっぱいで。

そんな時に「とんでもないです」という言葉に出会った。
公定でも否定でもない言葉。

相手を褒める時って認めている時であって
その言葉に対して「ニヤつく」は失礼かなと。

ただ素直に受け止めるほどの度量もない僕に
「とんでもないです」という言葉はすごい寄り添ってくれた。

お味噌汁の豆腐とワカメの関係性のように
ノートに引いた擦れた黄色の蛍光ペンのような
そんな距離感がちょうどいいのかもしれない。


「とんでもないです」
いつしか言葉が出ない時に間を埋めてくれる言葉になった。

言葉にしたいけど語彙力のない僕は
自分の気持ちが整理できない時に使うようになった。

「とんでもないです」の8文字に
伝わってほしい想いを込めるようになっていた。

誰にも伝わらないけど、伝わったことがないけど
僕は不意に言葉にしてしまう、とんでもないです…と。


いつしか人を褒める機会が増えてきた。
褒めるだなんて滅相もないが。

自分のために時間を割いてくれる人がいる
それはとてもうれしい事だ。

だけどどうやって褒めたらいいのか
どのように称えたらいいのか分らない僕はつい口にしてしまう。


「とんでもない、ありがとう」と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?