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2011東日本インカレ事前記事~青森大学団体

いよいよ明日、東日本インカレが開幕する。
言わずと知れた「インカレ9連覇中」の青森大学は、まぎれもなく団体の王者だ。

が、しかし。その牙城は今年も盤石かというと、そうとは言い切れない。
と言ってしまっては失礼だろうか。
いや、それは、名将・中田吉光自身がいちばんよく知っていることなのだ。現に中田は、昨年のジャパンで優勝を飾ったその演技を見ながら「来年からどうしようか」と考えていたと言うのだから。

くしくも明日。東日本インカレの日に、青森大学の卒業生でシルク・ドゥ・ソレイユ入りが決まった外崎成人、鈴木大輔が旅立って行く。青大9連覇を大きく支えていた2人は、今はもういない。日本にさえいなくなる。

「トンカツの抜けたトンカツ弁当をどうするか・・・」
昨年のジャパン後、中田はそう言った。

別に弁当は「トンカツ弁当」には限らないじゃないか。
幕の内だって、サンドイッチだっておいしければいいのだ。
「トンカツ」がなければいけないと思い込むことなんてないのに。
と私は思ったが、もちろん、中田はそんなことは百も承知だろう。


今年の青森大学の団体は、果たして「なに弁当」だろう?
それは見た人が感じて決めること、だとまた中田は言うだろう。
はっきりしているのは「トンカツ弁当」ではない、ということだけだ。

いや、もしかしたら、今の時点ではまだ、材料を集めただけ、かもしれない。今年の「逸品弁当」に仕上げるのは、これからのような気もする。


なにしろ、材料は一級品だ。「おいしい弁当」に化けないはずはない。
しかも、ひと品ひと品(徒手要素)の仕上げはしっかり青大仕様。メンバーが代わっても、スター選手が抜けても、「青大の味」に変わりはない。それが強みだ。

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重みがあり、情感あふれる美しい徒手。
青大のよさは、言ってしまえばそこに尽きると思う。
それが変わらない限り、よくも悪くも青大は青大だ。

今年の作品では、私は後半の動きがとても好きだ。
まったく要領を得ない表現で申し訳ないが、「シュッ!」としている気がする。ほかに言葉が見つからない。

今年の青大の、まずはスタートとなる演技をしっかり見届けたいと思う。

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●2011年度東日本インカレ 青森大学団体Aメンバー
 柳 文人・青木雄太郎・森 翔太・日高祐樹・亀井翔太
 菊池正源・北ノ薗峻二・松本順司


そして!
じつは今年の青大の目玉はこれかもしれない。
「青森大学Bチーム」! Bチームというからには、普通はAよりは格下なはずだが、どうしてどうして。
このBチーム、かなりコワイ存在だ。


1年生が多いチームなのだが、この1年生たちがじつに強力! 
斉藤、谷、石井、霜山、いずれも昨年のインターハイで活躍していた面々だ。
その強力な1年生と上級生が一体となって、このチーム、じつにチームワークがいいのだ。

練習を見ていても、非常によく声をかけ合い、一体感のある練習をしている。そして、それが演技にも出る。同調性では、Aチームもしのごうかという感じさえある。


青森大学に限らず、こういうBチームがいると強くなる。Aもうかうかしていられないし、いざとなったらBから補強することができる。
これが、正しい、理想的なBチームのあり方だと言えるだろう。

そして、Bチームには「14番目の月」的な勢いがある。まだ満ちてない、満ちる寸前の月がよいと昔の歌にあったけれど。「頑張ればAにあがれるかも」という希望をもって頑張っているときの充実感は、なにものにも代えがたい。このチームは、今そんな状態にあるように見える。

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強豪・青森大学に夢と希望と覚悟をもって入ってきた新入生たちが、初めて「青森大学」とコールされて試合に出るのだ。張り切らないわけはない。その「やったるで!」という気持ちでチームがひとつにまとまれば、大金星の可能性もある。そう思わせてくれるチームだ。


●2011年度東日本インカレ 青森大学団体Bメンバー
 三浦進一朗・濱田 薫・根本直樹・大川佳成・斎藤良輔
 谷俊太郎・石井侑祐・霜山 生

東日本インカレ直前という絶好のタイミングで、青森大学の練習を見せてもらうことができた。そこで見た青森大学の練習は、昨年の夏に初めて見たときと、いい意味でなんら変わっていなかった。
今年は新入生が11人も入り、いちだんと大所帯になっていたが、個人選手も団体選手も、レギュラーメンバーもサポートメンバーも、じつに新体操に対して真剣に向き合っている。

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今シーズンの試合の結果がまだ1つも出ていないこの時期は、もしかしたら夏以上に、みんなが真剣だったようにも思う。今、この時期が、ある意味、いちばんひたむきに夢を追える時期なのかもしれない。
今はとにかく、自分を信じて、前へ!
それしかない。


東日本インカレは、明日、開幕する。

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20年近くほぼ持ち出しで新体操の情報発信を続けてきました。サポートいただけたら、きっとそれはすぐに取材費につぎ込みます(笑)。