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2010~多摩市男子新体操体験教室レポート(体験教室編)

 すばらしい模範演技のあと、いよいよ体験教室が始まりました。模範演技の間は、満員御礼状態でしたが、はたしてこの中で「やってみよう」という子どもはどれくらいいるんだろう? とちょっとドキドキしていたんですが、これもなんの心配もいりませんでした。
 下の画像のとおり。体験教室も大盛況! 途中でマットを増やしていたくらいですから、主催した側の予想も超える参加者だったのではないでしょうか。
 はじめは、簡単なストレッチから始まりましたが、山田先生の「つま先のばして」という声にキョトンとした様子の男の子多数。学校の体育では、マット運動はやってもあまり「つま先をのばす」とか「美しく」は意識しないと思うので無理もありません。つま先に手をそえてのばしてもらってはじめて「あ~、そういうことか」という表情になっている子もいました。
 体験教室の対象は小中学生の男女だったので、女の子の参加者も多かったのですが、男の子もたっくさんいて、なかにはジャージ姿の中学生なども。こんなに多くの子ども達が「男子新体操、やってみたい」と思ってくれたのか、と思うとうれしくて泣きそうでした。
  山田先生と国士舘大学の学生さん達のサポートつきで、しっかりストレッチを行ったあとは、走ったり、スキップしたりして身体を温め、子ども達の顔もだんだん上気してきました。みんな、楽しそう! でも、ここまではもしかしたら「簡単じゃん」なんて思っている子もいたかもしれません。
 でも、あのかっこいい、すごい男子新体操も基本はここ! なんですよね。ドラマ「タンブリング」でも言っていましたが、「まずは柔軟」「まずは美しい動き」…そこからすべてが始まるんです。そして、男子新体操らしい練習が始まるのは、ここからでした。
  一度、休憩をはさんで、見学している親御さんたちの元に戻ってきた子ども達も、「ぼく、できたよ」「カンタンだよ」「楽しい!」など口々に報告していました。
 そして、いよいよ。フロアマットの上に、体育の時間でおなじみのマットを敷いて後半の体験が始まりました。8チームに分かれて、それぞれのマットの周りに子ども達とサポートにつく学生さん達が並び、はじめに挑戦する「前転」の見本を国士舘の学生さんが見せてくれました。
 「前転」つまり「前回り(でんぐり返し)」と聞いて、自信満々な子も多かったのですが、新体操選手の流れるような動作の美しさに、「ちょっと違う」ということは感じてくれたのではないでしょうか。グループごとの練習でも、真剣に取り組んでいる姿が多く見られました。
 続いて挑戦したのは「倒立前転」。こちらになると、倒立が入る分、ぐっと難しくなります。腕力のない低学年や女の子は、倒立自体できない子も多いのですが、そこはサポートする学生さん達は、この道のプロ! うまく補助して倒立の姿勢をとらせて、倒立している感覚をしっかり体験させてから、くるんと前転をさせていました。
 倒立できれいにつま先までのばそうと意識できる子は少ないのですが、それでも、「おっ」と目につくような美しい姿勢で倒立している子もいて、ああ、こういう子が新体操やってくれたらなあ、とワクワク。
  そして。倒立前転の次には、男子新体操ならではの技・鹿倒立に挑戦! 正直、これは「え~~~~、いきなり鹿倒立?」と私もビックリでした。「タンブリング」で見事な演技を見せてくれている中土居くん(鷲津学院高校の鶴見役)も、撮影時にいちばん失敗していた鹿倒立! 無理でしょう~~~~
 もちろん、無理なんですけど、これも、サポート軍団の活躍で、みんなそれらしくやっていて、まさに「男子新体操(気分)を体験」できていたようでした。
 最後には、これも男子新体操ならではの「バランス」に挑戦しましたが、これもただ片足を上げて立つのではなく、はじめに十分上腕を引き上げたポーズをとり、しゃがんでから立ち上がりながら片足を上げてバランスをとりながら立つ、という演技の中と同じ流れでやるのです。女の子の中には「これなら簡単そう」という表情の子もいましたが、この流れの中でバランスを行うというのは、案外難しく、みんな真剣な表情で取り組んでいました。
 最後には、グループごとにバランスを披露して、体験教室は終了! 山田先生の「楽しかったかな?」という問いかけには、「はーい!」という元気な声がたくさんあがっていました。参加していた子ども達のなかには、すでに別のスポーツをやっている子や部活をやっている子も多かったかとは思いますが、男子新体操も続けてやってみたいな、と思う子が少しでもいてくれればと思わずにはいられませんでした。
 短い時間での体験教室だったので、きっとみんながあこがれているだろう、ばく転などは挑戦することができませんでした(いきなりやるのは危険ですから)。それがちょっと残念だった子もいたかもしれませんが、今回のような練習をたくさん積んでいってこそばく転もできるようになるのだから。今回できなかった分、「もっと新体操やりたい」と思ってくれればいいな、と思いました。
  思った以上の大盛況だった男子新体操体験教室でしたが、ここで終わってしまうのではもったいない! と思ったら、もちろん、これで終わるはずはありません。
 しっかり、「男子新体操クラブ入会申し込み書」が配られていました。
 
 男子新体操の名門・国士舘大学で、6月5日から毎週土曜日の10:30~12:00、小学1年生~中学3年生を対象にした「男子新体操クラブ」が活動を始めます。月謝は4500円(保険料込み)。指導は山田小太郎先生と国士舘大学男子新体操部員数名、練習場所は多摩市永山の国士舘大学体育館という、超・贅沢なクラブです。お近くの方はもちろんのこと、少々遠くからでも通ってみる価値ありだと思います。
 
 今回の体験教室を見ていて感じたのですが、運動は好きで、運動神経には恵まれていても、人と競い合うことがあまり好きではない男の子っていますよね。そういうタイプの子は、サッカーやバスケットのような「ボールを奪い合う競技」はあまり向いていないこともあると思うのです。その点、人との競争というよりも、自己の向上を追究していく新体操のようなスポーツは、そういうタイプの子には向いていると思うのです。
 私も息子がいますが、彼もあまり「ボールの奪い合い」が好きな子ではありませんでした。そのため、「運動は苦手?」に見えていた時期もあったのですが、決してそういうわけじゃなかったんですよね。息子が小さいころに、男子新体操に出会っていたらなあ、と本気で思ってしまう今日このごろ。小さい男の子をお持ちのお母さん達、とくに「うちの子、サッカーは好きじゃないみたい。あんまり運動は得意じゃないのかな。」なんて思っている方はなおさら、ぜひ男子新体操をやってみてもらいたいと思います。
 
 今回の体験教室に多くの参加者が集まったのは、「タンブリング」の影響も大きいとは思います。しかし、それを一時的なものに終わらせず、先につなげていきたいという男子新体操界の取り組みは本気だな、と感じられました。
 
 ・・・男子新体操。
 この魅力的なスポーツに取り組む子どもがもっともっと増えていくことを願わずにいられません。
<「新体操研究所」Back Number> 2010.5.12.

20年近くほぼ持ち出しで新体操の情報発信を続けてきました。サポートいただけたら、きっとそれはすぐに取材費につぎ込みます(笑)。