2010~井原ジュニア新体操クラブ(団体)~
「井原」と書いて「イバラ」と読みます。岡山県の地名です。
岡山県といえば、今、もっとも旬なスポーツマン・高橋大輔選手の出身地でもありますが、フィギュアスケートだけでなく、男子新体操でも岡山県は高橋大輔ばりの選手達を生み出しつつあります(いや、じつはすでに生み出しているのですが)。
高橋大輔選手の活躍で、一躍脚光を浴びた岡山県ですが、とくべつ「芸術性豊かな県民性」という印象はないと思います(失礼ながら)。しかし、岡山県は男子新体操では有力選手を数多く生み出し、独自の大会も開催するなど、男子新体操の発展に寄与し続けている聖地なのです。
そんな岡山県にある「井原ジュニア新体操クラブ」は、レベルアップ著しいジュニア男子の最高峰にいるクラブです。2009年は全日本ジュニアで優勝し出場権を得た全日本選手権で、大学生、高校生のトップチームに混じって堂々の演技を披露。予選順位は10位で、8位までが進出できる決勝で演技することはできませんでしたが、参加チーム中もちろん最年少、小学生も含むチームでの10位という成績はすばらしいものでした。
そして、その演技は、成績以上のインパクトを会場に与えたのです。
この画像(↑)、1人の選手が空中高く飛んでいるのがわかるでしょうか。小柄な小学生を含むチームゆえの強みとは言えるかもしれませんが、小柄なだけではここまで高く飛べません。さらに、高く飛んでいるだけでなく(ジャンプの場合の「とぶ」は「跳ぶ」をふだんは使いますが、このジャンプには「飛ぶ」がふさわしいと思う)、空中姿勢の美しいこと! ここまで見事な開脚ジャンプは、柔軟性では男子に勝るといわれる女子選手でもなかなかできるものではありません。
柔軟性だけでなく、男子ならではの筋力、瞬発力あってこそのこのジャンプでしょうが、この高さからまるで猫のようにふわりと着地するのですから・・・おそるべし、です。
井原ジュニアの団体演技には、こういったスーパーサプライズ&アメイジングな飛び技も多く入っていますが、それだけなら「ちびっこ軍団の軽業」です。ところが、井原ジュニアの選手達の動きの美しさ、表現力は、高校生や大学生にもひけをとらない(は言いすぎ? 少なくとも迫るものはあります!)のです。
昨日アップしたジュニアクラブ・NPOぎふ新体操クラブ同様、この井原ジュニア演技からも、小学生の男の子達が「本気でかっこいい男子新体操」を目指して、努力し続けていることが伝わってきます。高校の男子新体操強豪校である県立精研高校(近年は井原・精研高校として出場)が身近にあり、男子新体操のステキさ、かっこよさを十分知っているのでしょう。さらに、子ども達をバックアップする親御さんたちも、男子新体操のすばらしさをよく知っていて、力いっぱいチームを応援している、観客席の熱さからそれはしっかり感じられます。
進境著しいジュニアの男子新体操、そして、「タンブリング」の放送でいちだんと火がつきそうな男子新体操そのものの人気を、井原ジュニア新体操クラブのような、「ホンモノの男子新体操」を見せるジュニアクラブの存在が支え、引っ張っていくのではないでしょうか。
高橋大輔選手を見て、「踊る男の子ってステキ!」と思ったお母さん達、「うちの息子も大ちゃんみたいに」と夢見ているお母さん達、でも、フィギュアはなかなかやれるとこがない・・・なら、男子新体操ですよ、絶対! 岡山県で第二の高橋大輔を目指すなら、井原ジュニア新体操クラブにGO! でしょう。
百聞は一見にしかず、以下のURLで、2009年全日本選手権での井原ジュニア新体操クラブの演技は見ることができます。ぜひ、見てください。この動画は、日本体操協会のギャラリーにアップされているものです。決勝進出さえしていないチームの演技がこのギャラリーにアップされていること自体、めったにないことです。つまり、この演技にはそれだけのインパクトがあったということです。
現に、2009年の全日本選手権最終日に行われたエキシビションにも井原ジュニアは急遽出場。その演技に、会場は最大級の盛り上がりを見せました。たしか、この日に「タンブリング」の制作チームや出演するタレントさんも見学に来ていたんですよね。井原ジュニアの演技もきっと彼等は見ているはずです。ぜひ、見てください!
http://www.jpn-gym.or.jp/goods/video/2009/rnat/data/md.html
注:2023年現在は動画は公開されていません。
<「新体操研究所」Back Number> 2010.4.14.
20年近くほぼ持ち出しで新体操の情報発信を続けてきました。サポートいただけたら、きっとそれはすぐに取材費につぎ込みます(笑)。