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大腸がんのお話

普段、お肉をたくさん食べる。お酒を飲む。たばこを吸う。

運動不足。お腹がぽっこりしている。

今、挙げたものはすべて大腸がんのリスクを高める原因となるものです。
何かグサっとくるものがあった人もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、私もお肉を毎日のように食べてしまうので、グサっときてしまいました…。

また、家族の中で大腸がんにかかったことのある人はいませんか。
実は、大腸がんの中には親子兄弟の病歴と関連しているものもあるのです。

一つでも思い当たることがあった方は、ぜひ読み進めてみてください。

今回は大腸がんのお話です。

大腸がんは日本でどんどん増えているがんです。その原因の一つとして、昔はあまり食べられていなかった肉類、卵、乳製品の摂取量が増え、食物繊維、野菜や果物の摂取量が減っているということが挙げられています。

大腸がんは40歳以降、高齢になるにつれて罹患率も死亡率も上がります。
そのため、大腸がん検診は40歳以上の男女を対象として1年に1回行われます。

(ただし、遺伝性の大腸がんというのもあります。親族に大腸がんの人が複数いるなど、遺伝性のがんの可能性がある場合は、40歳といわず、早めに検診を受けてみてください。)


他のがんにも言えることですが、大腸がんも早期ではほとんど自覚症状が出ません。
進行しても血便や下血といった痔によく似た症状が出るので、放置してしまうこともあります。検診をして見つけることがいかに大切なことかわかります。

大腸がんの検診というと、なんだかあまりしたくないような気がしますが、
実際どのような検査をするのでしょうか。

まず、便潜血検査というのがあります。
検診では、二日間にわたり便をとり、ヘモグロビンという血液の成分の量を調べ、便に血液がついているかどうかを見ます。もし、血液が付着していれば、大腸がんやポリープ(※)がある可能性があります。

できれば検査前日と当日の便を提出することが望ましいですが、検査5日前までの便なら検査が可能です。その場合、採取してから提出するまでは、冷蔵庫の中に入れたり(冷蔵庫の中に入れるのは嫌!という方もいらっしゃるかもしれません、、、)、保冷剤にあてたりと、低温の環境で保管する必要があります。高温では、血液の中のヘモグロビンが減少してしまうからです。

この検査は、生理中の女性は行えないことがんの見逃しをしてしまうこともあるということ逆に他の病気をがんとみなしてしまうこともあるということというデメリットがあります。

一方で、検査の中で、副作用が起こったり、事故が起こったりすることがないことや、簡単に検査が行えることなどのメリットがあります。
アメリカ・ミネソタ州の研究では、便潜血検査を毎年きちんと受診することで、大腸がんの死亡率が33%下がるということが報告されているそうです!
デメリットはありますが、便をとるだけで、命を守ることにつながるというのはすごいですね。自治体の検診であれば、値段も無料か、有料であっても1000円程度にはおさまるという、それほどお金のかからない検査でもあります。

大腸内視鏡検査というのもあります。これは、毎年受けなくてもいいですが、50歳以上の方は一度は受けることが推奨されています
大腸内視鏡検査前日の20時以降は、水やお茶などの水分を取る以外は、絶食しなければいけません。そして、当日は下剤を飲んで、便が透明になるまで何度も排便をします。便が透明になったら、検査用の恰好に着替えて、検査をしていきます。検査では、ベッドに横になり、肛門から内視鏡を入れて大腸の中を観察します。検査は15~20分と短時間で終わり、検査中に感じるお腹の張りや痛みは、だいたい数時間程でおさまります。

内視鏡検査は死亡率を下げる効果が高く、がんの人を正しく見つける割合も95%と非常に高いです。デメリットは、副作用や損傷が起きることがごくまれにあるということです。しかし、そのようなことが起きるのは9000人に1人と非常に珍しいことです。

具体的にどのような検査をするかおわかりいただけたでしょうか。
便潜血検査という簡単な検査もあるんですね。内視鏡検査も、デメリットよりもメリットの方が非常に大きい検査だということがわかります。

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ぜひ、40歳以上の方はがん検診に行ってみて下さい。
40歳にまだなっていない方も、肉を食べすぎてないか、お酒を飲みすぎていないかなど、一度生活について考えなおしていただけたら幸いです!

最後まで読んでくださりありがとうございました。

参考文献
中山富雄(2019)『国立がん研究センターの正しいがん検診』,小学館

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