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【ヒュージリーダーズ】ヒュージ・リーダーズを研究した結果生まれた奇妙なメタゲーム「ヒュージ2.0」について

こんにちは、EDH研究家のぱいそんです。

2年ほどヒュージリーダーズをプレイして十分に研究できたと感じたので研究結果を記します。

ヒュージリーダーズは5マナ以上のカードで行う統率者戦。

詳しくはこちら。


・はじめに

ヒュージリーダーズめちゃくちゃ面白い。
現在一番好きなフォーマットである。

ここ2年ほどはヒュージ>EDHの比重でプレイしている。

ヒュージリーダーズの良さは他のフォーマットで味わえない独特なプレイ体験にある。マナバリュー(MV)5以上のカードと土地しか使えないので大味なゲームを想像するかもしれないが、実際には非常に細かいやり取りでゲームが決着するようになっている。

研究の結果ゲームバランスは良好であり、ルールも丁寧に整備されているので遊びやすい。

暖かいコミュニティもある🥳


・カードプール

最も人をワクワクさせるのはまだ見ぬヒュージなカードとの出会いだろう。

2022/09/09 (DMU発売)時点でのヒュージリーダーズのカードプールはMV5以上のカード5346枚、土地は806枚から禁止カード18枚を引いた計6134枚のカードからなる。

スタンダード:1344
ヒストリック:6810
パウパー  :8649
パイオニア :9439
モダン   :16484
レガシー  :23491
統率者   :23508
ヴィンテージ:23550

6134 / 23508 ≒ 0.26 統率者のカードの1/4がリーガルである。

おいおいスモールじゃないかと思うかもしれないが待ってほしい。

興味深い事にレアと神話レアだけで計算すると
3433  / 8843 ≒ 0.39 と4割近くがリーガルである。

ヒュージリーダーズにはMVが大きすぎて日の目を見なかったパワーカード達が集まっている。少ないながらも非常に質が良いカード達が集まっており、かなりのカードパワーを感じる事ができるだろう。


・ヒュージな体験

従来の縛りフォーマットは基本的にカードパワーを落とすことを目的としている。一方でヒュージではルールで「デカくて強いカードしか使えない」という謎の縛りを与える。ヒュージリーダーズには従来の縛りフォーマットで感じられるようなカードパワーの欠落みたいなものは一切感じられない。

ヒュージリーダーズの核となるのは基本的には1ターンに1枚しかカードを唱えられないという制限である。プレイ体験としてはワーカープレイスメント系のボードゲームに近い。通常のマジックでは1マナのカードは2ターン目には2枚使える。一方で5マナのカードは10マナ出ないと1ターンに2枚使えない。いかにして1ターンに1枚しかカードを使えない状態を打破するか、あるいは複数カード分の影響力があるカードやメカニズムを使うかに苦心するのは普段のマジックと全く違う体験をもたらす。

これは非常に楽しい体験である。


・ヒュージな情報戦

ヒュージリーダーズについての私からの情報は意図的に秘匿されていた。それはケチだから公開されていなかったのではなく、発見する喜びを奪わないようにという目的があった。

EDHにはじめて触れた時のようなワクワク感、1から自分で組んだデッキを動かして試行錯誤する楽しみ、見たことのないカードと対面する驚きなど、長くマジックをプレイしていると薄れる体験をヒュージリーダーズは呼び起こす。

真っ新な状態から飛び込む楽しみを奪いたくはないものの、情報が出てこないと誰も遊んでない感が出る。最近のヒュージ界では盛り上げるために情報を出して欲しいという流れが来ているので流れに乗っておくことにした。

本記事の情報は極めて高レベルなヒュージリーダーズにて勝利することを目指すことを前提とする。ヒュージリーダーズというゲームを煮詰めた結果である。カジュアル志向のプレイヤーは真に受けずにエンターテインメントとして楽しんでほしい。99%のヒュージプレイヤーはこんな熾烈な環境で遊んでいない。


前置きが長くなったがヒュージリーダーズのメタゲームについて解説する。
その前に必要な用語を定義しておく。

・ヒュージリーダーズ星人
ヒュージリーダーズ星人、ヒュージ星人とはヒュージリーダーズをやり込んだと自負する者たちの呼称である。「ヒュージリーダーズをやり込んだ人」などを自称するのは痒いので誤魔化して呼んでいる。一応、地球侵攻を試みているという設定がある。

・初動
初動とは初めて5マナに到達するタイミングのことを指す。ヒュージリーダーズでは5MV以上のカードしか採用できないので初動は極めて重要である。

・ランプ
ヒュージリーダーズにおけるランプとは、10マナ以上を捻出する事を前提とした構築である。10マナには単体でゲームを決めうるカードが複数あり、ヒュージ=ストロングを感じることができる。マナを倍化させるカードは複数あり、必ずしもランプ=遅いではない。5ターン目に10マナ以上出るのは普通である。

・アグロ
ヒュージリーダーズにおけるアグロとは5-6マナに到達するタイミングで即勝負を仕掛けるデッキである。5マナには現実的なマナ加速だと3-4ターン目に到達できる。つまり3-5ターンキルを目指したデッキがアグロになる。

・ミッドレンジ
ヒュージリーダーズにおけるミッドレンジとは5-9マナ程度のレンジで戦うデッキ、つまりアグロでもランプでもないデッキ全般である。


・ヒュージリーダーズの環境

ヒュージリーダーズの環境なるものは存在しない。ヒュージ星人が編み出した奇妙なメタゲームを大げさに「環境」と呼んでいる。

ヒュージリーダーズの環境はこの3枚のカードが定義している。

《徴用》

《徴用》はヒュージリーダーズのゲーム性を決定づけるカードである。《徴用》があることでプレイヤーはカウンターのバックアップ無しに強力なクリーチャーでない呪文(以下非生物呪文)を唱える事ができない。

通常のEDHでは妨害を受ける時、それは呪文が打ち消される。《むかつき》に《白鳥の歌》が当たるのを数多く目にしているだろう。ヒュージリーダーズでは《時間の伸長》に《徴用》が当たる。《誤った指図》も当たる。打ち消しではなくコントロール奪取が飛んでくるので失敗した際に即敗北する。

そのため非生物呪文による勝利は
・相手に《徴用》を使わせておく
・カウンターを打ち返す
のどちらかが前提になる。前者は《徴用》するに値するカードを既に取られているので敗北している可能性が高い。一方後者はデッキが青くなければできない。以上により《徴用》に当たるカウンターを有しないデッキは非クリーチャー呪文による勝利は難しい。

《徴用》の存在により

・《徴用》では奪えないクリーチャー主体の戦略
・奪われても関係のない呪文 (後ほど解説)

が大きな価値を持つ。

《家路》

家路はクリーチャーデッキには必須の強力な防御札である。

《徴用》によりクリーチャーが重要なゲームになるが、クリーチャー主体の戦略はクリーチャーのコントロール奪取に弱い。高MVのカードは相手のクリーチャーのコントロールを奪いがちである。

《群衆の掟》はヒュージリーダーズのエンドカード筆頭、赤いデッキならとりあえず採用される一撃必殺である。

ヒュージリーダーズにおいて最も強力なクリーチャーは何だろうか?

そう、「(最も強力だと思うクリーチャーの名前を入れてね)」は《袖の下》でデッキから出てくる。どんなに強いクリーチャーを採用しても5マナで相手の場に出る。

なお、現在のヒュージ最強生物は《失われた宝物庫の学者》であるとの意見が多い。《袖の下》するとcipで《袖の下》をお代わりできるもかわいい。

《陰鬱の始源体》はカード1枚で4体分の生物である。極めてマナ効率が良い。

クリーチャー主体のゲームになると相手のクリーチャーを利用するゲームが始まる。強いクリーチャーを採用すると相手の場に出てしまう。これに終止符を打つのが《家路》である。

《家路》の存在によって相手のクリーチャーをコントロールする戦略は諸刃の剣になる。メインの勝ち筋に据えるには厳しく、プレイヤーは自分がオーナーのカードで勝つ必要が出てくる。

《厄介なキマイラ》

《厄介なキマイラ》は初動で唱えることができる最高の防御札であり、環境の守護獣である。

《厄介なキマイラ》発見以前のヒュージリーダーズは素早いマナ加速から強力な呪文を叩きつけるゲームだった。特に10マナに素早く到達して《頂点壊滅獣》を《呪文乗っ取り》する青緑のランプ戦略が強力で普及していた。

これに対抗するために続唱の弱点である防御札の少なさを突き、そもそも呪文を唱えられる前に殺してしまうアグロデッキが良いとされた。続唱系のデッキは初動の5マナのアクションが著しく悪く、4ターン目までは大きなスキを晒す。

後述の最速勢のようなデッキは相手に4-5ターン目を渡さないことを重視して構築される。5マナ以上のカードしか使用していないにも関わらず、5ターンキルは当たり前、3-4ターンでの決着も日常でこれらのデッキの台頭により「ヒュージリーダーズの平均キルターンは4.5ターン」と言われていた。

高速デッキ同士はカウンターを構える余裕などなく、コンボ精度を高めるために妨害の採用は最小限に抑えられている。素早く強いカードを叩きつけて通れば良し、《徴用》されたら負け、《意志の力》で止められたらその次の手番のプレイヤーが勝つというゲームである。

ランプとアグロに挟まれたミッドレンジは非常に苦しい立ち位置になる。

デッキ単体の相性ではランプ>ミッドレンジ>アグロ>ランプになっている。しかしミッドレンジがアグロを妨害して息の根を止めてしまうとランプ>ミッドレンジが成立して振り込んでしまう。そのためアグロがランプを殺すのを待ってからアグロを妨害し始めるのだが、その頃にはこの世の終わりのような盤面で手遅れになっている。

高速環境への抑止力としてミッドレンジが《厄介なキマイラ》を採用するようになった。

今やヒュージの代名詞となった《厄介なキマイラ》は見えている妨害として働き「強いカードを唱えられない」状態を作り出す。《徴用》や《意志の力》と違い、「持っているかもしれない」ではなく「明確にそこに存在する」事が非常に大きな抑止力になる。

キマイラ下は大富豪の革命のような状態で、強いカードほど唱えられなくなり弱くなる。強く押すほど強く跳ね返ってきてしまう。従来のデッキのように除去や妨害を減らして自分の利益を最大化するように構築すると《厄介なキマイラ》を前に唱えるカードが無く完封されてしまう。強いカードの含有量の多いランプデッキには致命的に刺さるカードである。

初動で《厄介なキマイラ》設置されと安定キルターンである5ターン目に走れない状態になる。よってゲームが7-8ターンに延長され、プレイヤーが妨害や2-3体目のキマイラを引き込む時間が生まれる。複数のキマイラと多数の妨害により妨害無しにソリティアする戦略は全く通用しなくなった。

特に続唱を軸にした青緑のランプを《厄介なキマイラ》が食い荒らした。餌にしていたランプがいなくなると最速勢は軽量な妨害を含むミッドレンジとの戦いになり淘汰される。3すくみが崩れてミッドレンジが支配的となったのが現在のヒュージリーダーズである。

環境の多様性を損なっているようなイメージを受けるかもしれないが、実はその逆で多くのデッキにチャンスを与える。前述のようにミッドレンジはアグロでもランプでもないデッキ全般であり、非常に大きな割合を占める。

家路キマイラ

ミッドレンジ同士の戦いは相手にうまくコントロール奪取を合わされないように慎重に立ち回るため、比較的ゲームスピードが遅い。待っていると《家路》と《厄介なキマイラ》が同時に揃うことがある。

家路キマイラ下では《厄介なキマイラ》のコントロールを即引き戻せるため、自分に利する非生物呪文を唱えることは不可能になる。

一方で生物については《厄介なキマイラ》で取られても《家路》で取り返すことができる。

家路キマイラが強力なロックを生むと同時に家路がキマイラの対策になっている。

《家路》と《厄介なキマイラ》の存在により

・《家路》で取り返せるクリーチャー主体の戦略
・奪われても関係のない呪文

が大きな価値を持つ。
これは《徴用》の対策と非常に似ている。

奪われても関係のない呪文 

相手に奪われても良い呪文というのが存在する。
それは誰が打っても効果が同じ呪文である。

全プレイヤーが同じ事をする呪文はコントロールを奪われても同じ効果を発揮する。

これらの不思議なアーティファクトは誰の場にあっても同じ効果を発揮する。《厄介なキマイラ》で奪われようと《徴用》を打たれようと関係が無い。

誰のコントロール下でも同じ効果を発揮する呪文を私は均衡呪文呼んでいる。均衡呪文で非均衡を作り出す事がコントロール奪取を突破する鍵になる。

最も簡単なのは全体リアニメイトだ。自分だけ墓地を肥やして全体リアニメイトを放てば容易に均衡呪文で非均衡を生み出せる。

均衡アーティファクトは工夫が必要だが、デッキによっては理不尽な格差を生むことができる。巨大なMVのカードでデッキを埋め尽くして《時間ふるい》を置くのも良い。《嵐の大釜》を設置して自分だけ《Mishra's Workshop》でマナを出し続ける事も可能だ。同じ部族を大量展開して《旗印》を置くのは実は強い。

追加の戦闘呪文を得るソーサリーは誰のコントロール下で解決してもアクティブプレイヤーに恩恵がある。

《凶暴な打撃》はコントローラーのクリーチャーしかアンタップしないため注意が必要である。クリーチャーも含めると追加戦闘は非常に枚数が多く、ピッチコストで使用できる物もあるので戦略として採用しやすい。

奪う価値の無い呪文

他にもキマイラの前で堂々と唱えられる呪文がある。
それは奪う価値の無い「弱い」呪文である。

弱い呪文を唱えていて勝てるのか?という疑問が浮かぶかもしれない。
ここで言う「弱い」は相手から見た時の価値である。

例えば部族シナジーはこれを容易に体現する。

《羊頭スフィンクスの君主、アネシ》にとって《ジュワー島の報復者》は極めて強力なカードの1枚である。1マナ3/3でアネシの能力が誘発し、容易に1ターンに複数アクションを実現する。

一方相手からすれば《ジュワー島の報復者》は3/3飛行、弱いカードである。《厄介なキマイラ》と交換はしないだろう。

《熟読》は絶妙なカードパワーの呪文だ。カード上は3マナ相当の性能しかない。しかしヒュージには土地2枚で5マナを生み出す組み合わせがあり、これを揃えての《熟読》は0マナ呪文であるため非常に強力である。

相手から見ると3マナ相当のカードと5マナのキマイラの交換はできないのでキマイラの前で動けるカードとして機能する。なお、家路キマイラが揃っている場合は《家路》をアンタップしてしまうため使用することができない。

このような相手視点では奪う価値が無いが、自分にとって強いカードがデッキに沢山含まれると《厄介なキマイラ》の前でも堂々と呪文を唱えることができ、キマイラによる減速を受けずにテンポ勝ちできる。

最速勢

ヒュージリーダーズには4キル安定、3キルに挑戦可能な統率者が2種存在する。それは《始祖ドラゴン》と《ヨーグモスの息子、ケリク》である。

始祖ドラゴンは一定の3キル率を持ち、ケリクは極めて安定した4キル率を持つ。4キルが安定しているという事は、ケリクが先手番の時はマナ加速1枚でキープすると5マナのカードを唱える前に敗北するという事である。

極小確率で2キルが発生しうる
そこそこ現実味がある3キルを有する

最速勢の存在により、妨害なしで4ターン目を迎えることは不可能である。最近は2マナバウンス2種と《孤独》の追加によってこれらのデッキは強くマークされてメタゲームから追い出されてしまった。逆に言えば軽量な妨害無しには最速勢相手に勝つことは難しく、妨害を入れる大切さを認識させてくれる。

戦闘

無事に最速勢をいなしてキマイラのレンジに入ったとする。非生物のコンボは《徴用》があるのでカウンターを引くまで仕掛けられない。カードを引くにも《厄介なキマイラ》の前では大きなアドバンテージは得られない。このときにすべきことは戦闘でプレイヤーを退かす事である。

前回の記事で「高度なヒュージリーダーズは戦闘で決着する」と紹介したが現在でもこれは重要である。均衡呪文によるキマイラ突破が主流になったので重要度は落ちたものの、カウンター合戦で勝てない場合は戦場でプレッシャーをかける。複数のカウンターを持ったプレイヤーを対処するには殴ってライフを詰め、ブロッカーを退かすカードにカウンターを使わせるのが良い。

戦闘面で優秀と呼べるクリーチャーは飛行5/5以上である。これは再頻出クリーチャーである《パリンクロン》を一方的に倒せるサイズである。


まとめ

以上より分かる事は

・誰も妨害を持っていなければ4ターン目に死にうるゲームであるため、5マナ未満の妨害カードは必須である。

・カウンターを握り合った同士では《徴用》で奪えず《厄介なキマイラ》で奪われても《家路》で取り返せるクリーチャー絡みのデッキが優秀である。

・力押しが通用する環境ではなく、均衡呪文や奪っても弱い呪文が環境攻略の鍵になる。

・戦闘面では飛行5/5が重要になる。

《徴用》《家路》《厄介なキマイラ》と守りのカードがメタゲームを定義している。守りを固めていかに相手のガードを抜けたパンチを出すかが重要だ。


・ヒュージ2.0

以上のように相手のガードを抜けた奇妙なパンチを繰り出すことを主体としたヒュージリーダーズのメタゲームをヒュージ2.0と呼ぶ。

ヒュージ2.0に対応したデッキはそれまでのヒュージと大きく設計思想が異なる。妨害呪文の選定が最適化され、ゲームが程度長引くことを前提としている。相手に奪われない or 奪われても問題が無い呪文で小さなアドバンテージを獲得しながら戦う。

攻めるカードはマナを使うのでマナ加速の速さが攻撃力に繋がり、ピッチコストのカードで守るので手札の長さが防御力になる。

奪われると都合の悪い呪文は全体除去でキマイラを退かしてから打つ事を前提とする。単体除去では複数のキマイラを対処できない。

ヒュージ2.0の正解は出ていない。まだまだ研究の余地がある環境である。

それまでの「強い呪文をどのようなマナ加速から叩きつけるか」というゲーム性が「守りが固い相手をどう切り崩すのか」に変化したことで様々なカードが採用候補になった。試行錯誤する楽しみがある非常に面白いゲームになっている。


・ヒュージ2.0対応デッキ

いくつかのサンプルを紹介する。

《帰還した王、ケンリス》

《帰還した王、ケンリス》は非常にヒュージ2.0と親和性が高い。墓地を肥やしてケンリスのリアニメイトを起動しているだけで勝てるため、カウンターや呪文奪取とは無縁である。ケンリスはインスタントタイミングで起動できるため、先に動かなくても良く相手の仕掛けを待ってから動くことができる。ケンリスは殴りの標的にされやすいため、本構築は《孤独》のキャストに重きを置き、多少弱くとも白いカードを採用している。

ケンリスは
・クリーチャー戦略
・均衡呪文 :大量リアニメイト
・呪文を唱えない
でヒュージ2.0に適応する。

《羊頭スフィンクスの君主、アネシ》

《羊頭スフィンクスの君主、アネシ》はうまくヒュージ2.0に適応できた統率者だ。相手からしてみると微妙なスフィンクスを並べて手札を補充し《脱出》で更地からコンボを決める。スフィンクスなぞなぞによってゲーム中に《意志の力》《徴用》《誤った指図》の3枚にほぼ間違いなくアクセスでき、相手からそれが手札に入ったことが分かるので強烈な抑止力になる。5マナの動きが悪いので《厄介なキマイラ》《さまようアルカイック》等の防御手段を採用してロングゲームを狙う。名高いスフィンクスである《聖別されたスフィンクス》が採用されないのは奪われるリスクを回避するためである。

アネシは
・家路キマイラ
・「弱い」呪文 :部族
・見えている抑止力
・飛行戦力
でヒュージ2.0に適応する。

《エルミンスター》

《エルミンスター》は最近発見された極めて強力な統率者だ。3-4ターン目にエルミンスター→次ターンに旗印で25点があまりにも早い。全体除去によるコントロールプランも狙え、あらゆるゲームレンジを戦える。特に3T《エルミンスター》→4T《アミナトゥの占い》や《知識の搾取》の動きは最速勢のキルターンのレンジであり、カウンターを持たないデッキでは対処不能である。トップスピード、戦闘力、妨害力、アドバンテージ獲得力どれをとっても一流であり、弱点は墓地対策が無いくらいである。統率者戦では忠誠度能力-3があまりにも弱いが、ヒュージでは土地でなければ必ず5MV以上を追放できる。冷静に考えて-3は統率者戦で使うにはあまりにも弱すぎる。占術3くらいつけてもよかったのでは?活躍の場を見つけられてよかったね。

エルミンスターは
・クリーチャー単体除去で止まらない最速勢
・飛行戦力&部族
・均衡呪文:全体破壊
でヒュージ2.0に適応する。

ここて示されたデッキはあくまでも一例に過ぎない。
皆でキマイラでハメ合った末にヒュージ2.0対応デッキを開発してほしい。


・マリガンを制するものはヒュージを制する

ヒュージリーダーズにおいてマリガンは極めて重要である。

4ターン目に5マナに到達する手札をキープするのが許容される最遅ラインであるのは広く理解されていると思う。知らない場合はマナ加速を1度挟まないと各相手に1ターン、計3ターンの追加ターンを取られると考えて欲しい。

ヒュージ星人は一歩先を目指して3ターン目に5マナが出せる手札を積極的に狙う。このような手札が出現する確率は低いが、手札が残り3枚になる5マリガンまでは抽選することができる。

手札が少なくなることは大きな問題ではない。
ほとんどのデッキの場合、ヒュージリーダーズの初動は
・強い手札がキープできて3ターン目
・安定した手札で4ターン目
のどちらかである。

手札1枚で開始しても荒地を置いていれば4ターン目には手札が4枚になる。

ドローステップが増えること、統率者領域に土地があることを理解し、マリガンを繰り返して強い手札を抽選するのが「ヒュージマリガン戦略」である。

ヒュージマリガン戦略は統率者領域にアドバンテージ源がある時に特に有効である。無茶なマリガンをしてもマナ加速ができてしまえば統率者で手札を補充できる。

マリガン戦略とディスカード戦略

ヒュージマリガン戦略とディスカード戦略は両立が難しい。

例えば「ヒュージのソルリング」と形容される《溺墓の寺院》はエンドステップの手札上限でディスカードする事でマナ加速になる。ヒュージマリガン戦略を採用すると手札が短くなって《溺墓の寺院》を墓地に送れるケースが極めて少ない。ヒュージマリガン戦略を取るプレイヤーからすると《溺墓の寺院》は「ヒュージの木霊の手の内」といった強いけど採用しないカードになる。

もちろん《溺墓の寺院》が活躍できる時もある。《睡蓮の谷間》とのコンボはディスカード無しでも可能であり、《トロウケアの敷石》と一緒に生贄に捧げると4ターン目に6マナ出る宇宙ムーブが可能になる。《溺墓の寺院》と土地を生贄に捧げるシナジーはマリガン戦略を取っていても噛み合う。


・カードのリスク

もちろん誰も妨害を持っていなければ好きな呪文は通る。しかしそれを確認する方法が無い。全くカウンターが切られていないときはリスクの少ない呪文から唱えて様子をうかがう。

リスク高

《時間の伸長》のようなプレイヤーを対象に取る追加ターンは《徴用》と《誤った指図》どちらでも奪えるため、極めて危険である。最低2枚はカウンターを構えないと通すことができない。

《歯と爪》双唱のような《徴用》されると即敗北の呪文も大変危険である。

リスク中

《時間への侵入》は対象を取らないため、比較的安全である。とはいえ相手に追加ターンを渡すのは危険である。

《セルヴァラの暴走》は《歯と爪》よりは即敗北のリスクは少ない。

リスク小

《アミナトゥの占い》はリスクが少なくリターンが大きい呪文筆頭である。

通ればほぼ勝利な莫大なアドバンテージを生み、《徴用》で奪われても呪文を唱えるタイミングの制約で相手に利する事が少ない。このようなリスクの小さいカードは《徴用》をケアせずに動けるので一番槍として優秀である。

奪われた時の被害を考慮しながらカードを選定するのがヒュージリーダーズでは重要である。ヒュージには《知識の搾取》あるので強いインスタント・ソーサリーは7マナで相手が唱えてしまう事を構築段階で警戒する。


・ヒュージ星人のメモ集

《無限地帯》と《ヴェズーヴァ》

1ターン目に早い席順から《無限地帯》を置くのは非常によく見るミスである。電流ヒュージリーダーズなら即電流である。

可能であれば1ターン目の《ヴェズーヴァ》をケアするべきである。

相手の1ターン目の《無限地帯》を《ヴェズーヴァ》でコピーし、2ターン目の《古の墳墓》や《裏切り者の都》から3ターン目に5マナを出す動きは頻出である。これを防ぐため、自分が2ターン目に《無限地帯》を起動できない場合は1ターン目に《無限地帯》を置かない事が良しとされる。


森のメタゲーム

森にまつわるメタゲームは深い。
森を置くというのは《水没》を打たれるという事と同義である。

森を置く緑のデッキはクリーチャー主体のデッキであり、《水没》によるテンポロスが非常に厳しい。森を置くだけで勝利が遠ざかるといっても過言ではない。

そのためヒュージ星では森を置く事は青いデッキへの利敵行為として禁忌とされた。故にヒュージ星には森が生えず、緑マナは森でない土地から供給される。森が枯れると《水没》の強みが無くなり、採用を減らす。《水没》枠は《鞭打ちの罠》などに変更さる。

《水没》が枯れれば再び森を採用することができる。

森のメタを読んで森と《水没》採用は慎重に検討しなければならない。


《深海の破滅、ジャイルーダ》

《真紅の花嫁、オリヴィア》を経由することで《深海の破滅、ジャイルーダ》でも奇数のカードを釣り上げる事ができる。オリヴィアで《失われた宝物庫の学者》を釣れば全体リアニメイトをフラッシュバックでき、墓地のクリーチャーが全て場に出る。

書いてる間に戦闘を経由せずに釣れるようになった。

ジャイルーダを使用しないデッキの場合、MV偶数のクリーチャーは奪われるリスクを考慮して評価を下げる。《逆嶋の手下》は非常に強力なカードなのだが、相手のジャイルーダとの兼ね合いで採用を見送られることが多い。《虚空の選別者》の存在も偶数に厳しい。


キマイラ屠殺場

もらった《厄介なキマイラ》はこれらの土地で屠殺できる。キマイラが退かしにくいデッキは受け取ってから殺すのが良い。

逆に《厄介なキマイラ》で相手からもらったクリーチャーを市場に出荷する事もできる。家路キマイラ市場はいよいよクリーチャーすら出せなくなるので全体除去が急がれる。


《パリンクロン》は隠すもの

《パリンクロン》と《巨大鯨》はヒュージリーダーズ最頻出クリーチャーである。多くのデッキがこれを利用してコンボする。

手札にある《パリンクロン》と《巨大鯨》は場に出してしまうと簡単にコピーされてコンボを完走されてしまうので基本的には場に出さないのが良しとされる。逆にコピーしたければ持ってそうなプレイヤーを殴るとブロッカーとして出てくる。


《具現の技》

現在のヒュージリーダーズ最も危険なカードは《具現の技》である。
墓地肥やしとリアニメイト2回を5マナで実現するのは驚きである。

《失われた宝物庫の学者》が落ちてしまえば4回《具現の技》を解決できるので様々なルートで即勝利できる。

実演はすごいキーワード能力だ。3回分の呪文になるため《意志の力》や《徴用》では1回分しか止めることができず、カウンターを貫通する力が強い。実演で相手に渡したコピーを《徴用》で取り返す外道プレイも可能である。


おわり

今一度断っておくがこれらはヒュージリーダーズを煮詰めた結果であり、普通はもっとカジュアルに遊ばれる。これからヒュージリーダーズを始めるプレイヤーは上で見たことは忘れよう。

険しい環境で遊びたい場合はヒュージDiscordで募集してみて欲しい。
ヒュージリーダーズ星人が駆けつける🥳

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