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【EDH】ヒュージリーダーズと《鏡殻のカニ》

ヒュージリーダーズ界が騒がしいようだ。

《鏡殻のカニ》

こいつね。

自分の記事を引用していただいた上に、

ぜひ村民の皆様のご意見をお聞かせください。

とあるので、せっかくなのでお気持ち表明しようと思う。

これはディベートであって、個人への攻撃では無いということは念のため言っておく。

1. 3マナのカウンターは強すぎるのか

既にある。

URでしか使えなかった3マナカウンタ―がUだけでも使え、範囲が広がったので強化と言えるだろう。しかしアクセス可能な色が増えたことが禁止に値するとは思えない。

《金粉の水蓮》を置いて2アクションを取れる事を問題視しているが、それは《粉骨》でも既にできる。この動きが問題に上がることも無い。

そもそもこのようなカウンターを使う場面は、自分が5マナに到達する前に相手が何かを唱え始めた時だ。5マナ払えるのであれば《呪文詐欺》でも打っていた方がはるかに強い。

例えば一般的なヒュージリーダーズで考えてみよう。

ターン順がA→B→C→Dとし、毎ターン1マナが出る土地を置く。
プレイヤーは3ターン目に何かしらで1マナ加速をするとする。

4ターン目にAが5マナで何かを唱え、Bは《無限地帯》を起動しないでマナが立っていたため、それを3マナの《粉骨》で打ち消した。

この場合、Bは手札を1枚使って脅威を止めた上で、極めて重要な3ターン目のマナ加速を行っていない。つまり1ターンマナ加速ができないデメリットを負ってでも何かを消す必要があったという事だ。この例で分かるようにそのそも3マナカウンタ―を構えて打つことはデメリットになる。《地形形成装置》《無限地帯》《溺墓の寺院》などの本来マナ加速に使用するはずだったマナをカウンターに当てているのだ。となれば5マナに到達するのはA→C→D→A→Bの順番であり、Bは絶望的な状態である。

では3マナカウンタ―はデメリットなのでデッキに入れないのかと言われればそうではない。研究を進めたヒュージリーダーズは上の例の様な牧歌的なフォーマットではないからだ。2マナ土地を複数並べながら3~5キルを量産するゲームでは少しでも軽いカウンターは必要になってくる。「死ななければ安い」とマナ加速を放棄して世界平和のために打ち消す場面が出てくる。

私は《鏡殻のカニ》はカジュアルプレイヤーにとっての救世主だと思っている。1ターンに1枚土地を置いて5ターン目から呪文を唱え始めるプレイヤーでも3~5キルに対抗できる術をコモンカードで得たのだ。《意志の力》や《徴用》を買わずとも土俵に立てるのは喜ばしい事ではないか?

2. 《無限地帯》もみ消し

危惧されている《無限地帯》をもみ消す例もテンポ損である。
ターン順がA→B→C→Dとし、全員が
1.《無限地帯》
2. 《荒地》
3. 《島》
4. 《荒地》
と土地を置く。

3T A:《島》を置いてターンを終える
3T B:《島》を置いてターンを終える
3T C:《島》を置いてターンを終える
3T D:《島》を置いてターンを終える
3T A:Dターン終了時に《無限地帯》を起動する
3T B:Aの《無限地帯》起動を《鏡殻のカニ》でもみ消す
4T A:《荒地》を置いて3マナに到達する
4T B:《荒地》を置いて4マナに到達する
4T C:Bターン終了時に《無限地帯》を起動する
4T C:《荒地》を置いて5マナに到達する
4T C:Cターン終了時に《無限地帯》を起動する
4T D:《荒地》を置いて5マナに到達する

Aの《無限地帯》をBが《鏡殻のカニ》で消したがBは有利に立てただろうか?

4T A:《荒地》を置いて3マナに到達する
4T B:《荒地》を置いて4マナに到達する
4T C:《荒地》を置いて5マナに到達する
4T D:《荒地》を置いて5マナに到達する

正解はBは1ターン分テンポロスしている。
個人的な攻撃でもない限りは《無限地帯》に《鏡殻のカニ》を使用するのはプレミである。

ちなみに軽量なもみ消しも既に存在している。

序盤にランデスされることにそもそも問題があるなら2ターン目には出る《黒曜石の焦がし口》も投獄して欲しい所だ。《焦土》や《睡蓮の谷間》などを割られて不愉快な思いをしている。《無限地帯》だけ神聖視して保護するのには賛同できない。

3. ピッチカウンター

1. マナコストの高い青のカードは強く設定されている
2. 青に有用なピッチスペル及びフリースペルが固まっている

ヒュージリーダーズ交流会とメタゲーム

ヒュージリーダーズにおける青の優位性は「打ち消し」ではなく、マナを払わない(あるいは土地が起きて実質払っていない)で唱えられるカードが《意志の力》《徴用》《誤った指図》《水没》《パリンクロン》《巨大鯨》《時のらせん》と他の色より圧倒的に多い事である。

打ち消しが強く感じるのは5マナ以上のカウンター呪文は打消しに付随した効果が強力だからだ。打ち消した上でコントロールを得たり、MV分の宝物が出たりと払ったマナと同等の追加効果があるから強いのである。当たり前だが《意志の力》がピッチコストで払えないのであれば見向きもされない。これは上引用1の「マナコストの高い青のカードは強く設定されている」から来る強さであって打ち消しの強さではない。

では《鏡殻のカニ》はどうだろう。
3マナ払っている。マナを払っているのなら良いのではないか?
対戦相手と自分の3マナを交換して残りの2人は無傷である。足の引っ張り合いでしかない。

《厄介なキマイラ》が強いとされているのは《家路》での使いまわしがメインでは無く「見えている打消しである」ところだ。見えている打消しは「取られるから唱えたくないな」と相手全員に作用する。《神秘の合流点》が強いのは3人分の妨害になれるからだ。ABのクリーチャーをバウンスしながらCの呪文を打ち消すことができる。一方で《鏡殻のカニ》は所詮不確定な1ー1交換に過ぎない。

4. 色格差

ヒュージリーダーズの色格差について私は諦めている。
そもそも緑だけ3マナで土地を出せる呪文を有しているのは不公平ではないのか?

5. 環境の多様性

確かに《鏡殻のカニ》のような5マナ以下の干渉手段の増加はアグロ戦略にとって大きな問題だ。《ヨーグモスの息子、ケリク》のような相手が5マナに到達して呪文を唱える前に決着を目指す統率者にとって5マナカウンタ―は厳しい。

しかし冷静に考えて相手が5マナに到達して呪文を唱える前に決着を目指す「アグロデッキ」は健全なのか?ヒュージリーダーズをとてつもなくやり込んでいるコミュニティでは可能な限り軽量の妨害を積んでいるので弱いというだけだ。土地五枚を置いてから始動するコミュニティでプレイすれば村八分待ったなしである。

そもそもヒュージリーダーズに「環境」など大それたものは存在しない。
あるのは小規模の村で回るメタゲームで、「環境」の心配をできるほど成熟したプレイヤー層がいない。ほとんどのプレイヤーはまだ手探り状態である。多様性が損なわれるほど十分に研究が進んでいないのに「環境」の多様性を危惧するのは杞憂である。

5. 試用期間

そもそも発売前に禁止にするというのは早計である。
いわゆる「エアプ」でカードについて語る事を否定するわけではない。発売前の特権、お祭りみたいなものだ。

しかし他のプレイヤーがそれをプレイする機会も与えずに「禁止にするべき」というのは、率直に申し上げて横暴である。

まずは使ってみて本当にヒュージリーダーズのゲーム性を脅かすカードなのかについて熟慮すべきだ。

もちろん発売後1週間もすれば上に書いたこと全て無視して「鏡殻のカニは
禁止されるべき」と手のひらクルクルクルフィックスしてるかもしれないがその時はその時である。

まとめ

《鏡殻のカニ》は《意志の力》や《徴用》を買わずともヒュージリーダーズの土俵に立てる、カジュアル民にとっての希望であると私は見ている。

問題が起こる可能性があるとしても、まずは解き放ってみてから経過観察すべきだ。


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