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教室で先生の差し入れにソワソワする隠キャ

主に体育祭など何か大きめの学校行事が終わると、よく先生が差し入れとしてクラスでお菓子やアイスを配ることがある。

それに対しただ素直に感謝や嬉しみを感じ、当たり前のように席を立って前に取りに行く周りの人たち。

私にはできない。

自分が取りに行くタイミングになっても何故だか足が動かない。

立ち上がろうとしない。すなわち素直にもらおうとしない。できないのだ。

私は落ち着いて周りの様子をうかがってみる。

ちらほらいるのである。私と同じように取り行こうとせず頑なに座っている生徒が。

いつもの私のパターンでは、誰かに催促されて申し訳なく取りに行く。

「何してんだよっ。はやく取り行けよほら。」

「おっおう…」

(👈 きめぇ。この「おっおう…」だけでも陰キャ感が伝わってくる。)

私はこれを言われるのを待っているのであろうか?

どうせ取りに行くのだから初めからもじもじしてないでさっさと取り行けばいいものを、なぜか先生が「はいどうぞ」としてくるとまず一回「いいえ 結構。大丈夫です。」の態度でもらおうとしない。

こんなだるいことしているのは私なんだけれども、実際私自身「毎回それ言わせて申し訳ない。」と思うのである。

今までこれを何度も経験しているのだけれども、いまだに克服できない。


「さっ みんな持ってけぇ~。喉の管理はしとけよ~」

体育系の先生で学校行事はなんでも自分のクラスが一位に輝くことを願う熱い先生が、合唱コンにむけた毎日の放課後練習で酷使する喉をいたわって龍角散を用意してくれた(私龍角散大好きでございます)。

クラスのみんなが一斉にわぁ~っと教室の前に取りに行くのを見送る私。

「だりぃーなー。言われるの待ってねぇ~で取り行けよ。テメェーにいちいち『いいよ取り行けよ』っつーのもうめんどくせーんだよ」

(これだって私が書いているのだから、自分でそれがだるいことだと自覚している。周りに申し訳ないと毎度毎度感じているのである。)

私はそうして誰かにその一言を言われて渋々取り行くのだが、やはり上には上がいる。

「取り行けよ」と言ってくれてたクラスメートのことを内心良いやつだな~と思ってしみじみしながらアイスを食べていると、なんとまだ取りに行かない強者がいるのである。

まるで本当に教室の床に根を張ったのかと思うくらい、てんで差し入れを貰おうとしないのである。

周りの男子も焦った様子で「何してんの?いらないの?!取り行けよ」としつこく言うのだが「いや、へいき。いいです。」の一点張り。

大きな声を出しながら手に袋を下げて教室に入って来た熱血先生の熱も冷めることは言うまでもない。みんなの喜ぶ顔を楽しみにしていたのだから。

ふむ。私のような存在は実に骨が折れる。

その存在に不快感までをも抱く。

人の差し入れをこれでもかと拒むその異常な言動。

私はこの態度を客観的に見てそう思った。強者のその態度のことだ。

ただ面倒。

しかし、そういう謎な言動をとる人間のことも理解していただきたい。

それはしょうがない。彼らのような人間もいる。

私だって今でもそうだ。

例えば二十年ぶりにクラス全員そろっておおとりの先生が何か差し入れを持って登場。その後「はいこれ」と言って前で広げでもしてみろ。

私はいつものようにまず動かないであろう。そしていつものように誰かにこう言われるのだ。

「何してんだよ?!取り行けよ。」

その行動は普通ではないから必ず ”何してんだよ?!” から始まる。

ただ、私のような存在はだるいのだ。


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