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アヤワスカ

それを私は「満月の夜のチチカカ湖ゲロ吐きツアー」と名付けた。


アヤワスカとは?


アヤワスカが何たるかも知らないままに、「欠員がでたから来る?」と誘われ儀式に参加したことがある。

この時の説明では、アヤワスカは魔法の薬でこれを飲むとあらゆる不調が治るのだという。

あらゆる体の不調も、あらゆる心の不調も、
アヤワスカを飲んで嘔吐すればスッキリ治るよ、と。

ただし、劇薬だからシャーマンのガイドに従って集団で摂取しなければならないのだとか。個人で購入して一人で飲むことは原則禁止なのだという。
危険だから。

私はべつに何か特定の不調をどうにかしたかったわけではないけれど、興味本位で誘われるままついて行った。
なんてったってタダだったし!
(本来一人200USドルくらい払ったらしいが急に行けなくなった人がいてキャンセル料を払うより代打を用意するほうが安いということで、私が代わりに無料でひょっこり参加することになったのだ、ラッキー!)。

それではまいりましょう!

参加者は20名くらいいた。

ある人は、慢性的な膝の痛みで病院へ行っても治らないから新しい”治療”を試したい、と言う。
また別の人は、「流産したことがトラウマになっていて、心の傷を”治す”ために参加した」と言う。
誰もが藁をもすがる思いでここにいた。

儀式は満月の夜のチチカカ湖の、湖に浮かぶ島でおこなわれた。

深夜0時開始だから夕方には湖畔に集合した。絶食を指示されていたけれど、夜9時をまわるころにはさすがにお腹がすいてしまって、何人かでこっそり抜け出して、レストランへ忍んでピザを食べた。この時に見た満月は、とてもきれいだった。そして、深夜0時。いよいよシャーマン登場。儀式が始まる。

シャーマン登場


まず、何語か分からない言葉でアヤワスカとは何たるかが語られていた。スペイン語に通訳する人がついていたけれど兎に角、眠くて眠くて、私は眠ってしまった。しばらくすると、シャリン、シャリン、という鈴の音で目が覚めた。暗闇の中、シャーマンさんが念仏のような歌を歌いながら鈴を鳴らしていた。そこに参加者たちが列を作って並び、順番に、飲み物をもらっていた。この飲み物こそがアヤワスカだった。
 
 部屋の隅で激しく嘔吐している人が何人かいた。
 
こんなものを飲んで生きて帰れるだろうか。恐る恐る、私もその列に並んだ。

やっぱ無理。

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