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人手不足の影響は?―IT業界の未来を占う―

皆さん、こんにちは!リバイバルブックスの布施です。先週アップした鉄道業界編はもう見ましたか?まだ見ていない人は、そちらも是非ご覧下さい!!
さて、今回はIT業界編です!

目次

1. はじめに(調査を開始した動機)
2. IT業界の基本知識
3. ソフトウェア業界について
4. ソフトウェア業界の可能性について
最後に

1. はじめに(調査を開始した動機)

 新型コロナウイルス感染拡大によって注目された在宅勤務やテレワーク、オンライン授業、これらをすべて可能にしたのはIT業界です。また、今年9月に発足した菅新政権は、重要政策の一つとしてデジタル化を掲げています。このように、コロナにも負けず業績を拡大しようとしている当業界が本当にこの先も成長し続けるのか、分析してみようと思い、調査をしました。

2. IT業界の基本知識

 まず、IT業界とはどのような業界なのでしょうか。一般社団法人日本IT団体連盟の設立理念から類推すると、

“様々なIT技術を用いて、日本の発展及び日本国民の生活水準の向上に寄与する”

ことを目指して、新サービスを提供している業界です!先述の通り、菅新政権も、デジタル化を重要政策の一つとして取り組んでおり、当連盟も政府に対して様々な政策を提言しています。
ところで、IT業界とはいってもどのような企業が存在し、どのようなサービスを提供しているのでしょうか。下の図1を見て下さい。

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 これを見ると、IT業界はソフトウェアの開発やスマホアプリの開発・運用など多岐にわたっていますね。皆さんが普段使っているであろうInstagramやLINE、メルカリなども全てIT 業界が開発・管理・運用していたのです!これを見ればIT業界が私たちの日常生活に大きく関わっていることが分かるかと思います。
 今回は、その中でも業界地図2021年度版において業界天気予想が最も良いクラウド部門について、その真否を探っていきたいと思います!!(編集の都合上、ここからはソフトウェア業界と明記します)

3. ソフトウェア業界について

 ここからは、ソフトウェア業界について詳しく見ていきます。ソフトウェア、と言われるとWordやExcelといったMicrosoft officeを思い浮かべる人が多いかと思います。しかし、ソフトウェアは私たち消費者向け(B to C)のものだけでなく、企業向け(B to B)のものも数多く存在しています!では、Microsoft office以外にどのようなソフトウェアがあるのでしょうか。図2を見て下さい。

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 いかがでしょうか?ソフトウェア、とは言っても大きく分けても3つの部門が存在しています。実は、より細分化出来るほど様々なソフトウェアが現在存在しています!
 そんなソフトウェアですが、一体どのように作られているのでしょうか。また、どのような人々が関わっているのでしょうか。図3を見て下さい。

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 このように、顧客へのヒアリングからバックアップ体制まで様々なことを行った上で、ソフトウェアは完成しているのですね。また、これらの工程の中で、システムエンジニアやプログラマーが重要な役割を果たしていることが分かります。
ところが、そのシステムエンジニアが現在、不足していると言われています。これは経済産業省が行った調査でも明らかになっております。(図4参照)

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図4:IT人材の中長期的なシナリオ
出典:経済産業省 IT人材需給に関する調査

このデータによれば、最悪の場合2030年には約79万人の人材が不足する、ということですね。注意しなければいけないのが、この調査は2018年に行われたものであるので、コロナの影響によってさらに深刻になるかもしれませんね…。では、なぜ不足しているのでしょうか。理由の一つとして挙げられているのが、給料の安さです。図5,6を見る限り、SEの給料については全職種平均よりは高いという結果ですが、費用対効果が悪いのではないか、ということが考えられそうですね…。

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図5:システムエンジニアの平均年収の推移と全職種平均年収との比較
出所:厚生労働省 賃金構造基本統計調査をもとに、CREATIVE VILLAGEが作成

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図6:プログラマーの平均年収の推移と全職種平均年収との比較
出所:図5と同じ

4. ソフトウェア業界の可能性について

 これらの基本知識等を踏まえて、ソフトウェア業界が本当に儲かるかどうかについて、5フォース分析を用いて分析していきます!ちなみに、5フォース分析とはマイケル・E・ポーカーが提唱したその業界が本当に儲かりやすいのかを調べる分析ツールです。5フォース分析において収益性に影響を与えると言われている1.1既存業者間の敵対関係、1.2新規参入企業の脅威、1.3代替品の脅威、1.4売り手の交渉力、1.5買い手の交渉力、の5つの要素についてそれぞれ見ていきます。

1.1 同業他社間

 第3項で紹介した通り、各企業が得意な分野を生かして様々なソフトが開発されている。ただし、顧客のニーズを聞き取っているので、自主営業している場合を除くと企業間の差はそれほど大きくない。

1.2 新規参入

 実際にソフトを開発するのはシステムエンジニアやプログラマーであり、専門的な知識が要求される。システムエンジニアは現在、慢性的に不足しているので、安易な参入はなさそうであるが、新型コロナウイルスの影響で今後IT化が加速する可能性が高いので、油断は禁物。

1.3 代替品

 AIをはじめとして、現在は最先端の技術を扱っている業界である。短期的には心配ないが、新型コロナの影響で、得意先への常駐を取りやめる動きもあり(日本経済新聞7月17日号)、サービスの質の低下次第では各業界・企業がIT専門の人材を確保する可能性もある。

1.4 売り手交渉力

 ソフトウェアを作成する際、最新の作成ツールが必要になる。新しい技術が次々に開発されるので、費用がそれなりにかかる。ソフトウェアの差別化は出来ている方ではあるが、やはり人手不足が気になる。したがって売り手の交渉力はやや強い。ちなみに、企業によっては(特にB to Bのソフトウェアを開発している企業)、取引先のニーズに合ったソフトを開発している。

1.5 買い手交渉力

 ソフトウェアは、一般企業だけでなく病院や役所といった公的機関にもニーズがある。新型コロナウイルスの影響で、オンライン化や在宅勤務が今後も拡大していくことが予想される。日本政府も、重要政策の一つとしてデジタル化を推し進めようとしているため、需要はまだまだ大きい。よって買い手の交渉力は弱い。

総合評価

 全体的に伸びている業界であり、新型コロナウイルス感染拡大によるIT化の加速や菅新政権の後押しを考えると今後も業績を拡大していくことが予想される。ただし、システムエンジニアの不足が問題となっており、今後の動向を注視する必要がある。また、移り変わりが激しい業界なだけに詳細な企業研究が他の業界以上に重要である。

最後に

 いかがでしたか?今回の紹介を機にIT業界・ソフトウェア業界の全体像をつかんでくれたら幸いです!今後、リクエストがあれば他の業界についても5フォース分析をやっていこうと考えていますので、リバイバルブックス公式twitterのDM又は質問箱にて教えて下さればと思います!!

参考資料

業界地図2021年度版、東洋経済新報社
一般社団法人日本IT団体連盟、https://www.itrenmei.jp/、2020年10月11日取得
経済産業省 IT人材需給に関する調査、file:///C:/Users/socce/AppData/Local/Microsoft/Windows/INetCache/IE/MFPJB9ZQ/gaiyou.pdf、2020年10月15日取得
ソフトウェア開発はどのような流れで進めるのか?その工程を詳しく解説、パソナテック、https://www.pasonatech.co.jp/workstyle/column/detail.html?p=2272、2020年10月15日取得
ソフトウェア・情報処理・ネット関連業界とは、マイナビ2022、https://job.mynavi.jp/conts/2022/keyword/gyoukai/g32.html、2020年10月11日取得
プログラマーの年収が判明!システムエンジニア(SE)との差は?厚労省の調査データまとめ、https://www.creativevillage.ne.jp/27962、2020年10月15日取得

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