まちづくりとクリエイターって言葉

先日も何処かで見たが、街の使われなくなったスペースを再利用(リニューアル)して、クリエイターが集まるスペースにするとかどうとか…それで東京から有名どこの会社の社長を講師に呼んで勉強会をしたとかどうとか….そんな投稿を見た。

どこでもよくやるイベントだが、でもそんなとこには大体地元の名だたるクリエイターの方々は呼ばれてる様子もないし、恐らく参加もしていない。参加するのは、情報通のママさんのハンドメイド作家ぐらいが関の山だ。だから本物のクリエイターが集まる場所を作りたいってことかもしれないが、はっきり言ってその発想は20年は遅れている。

ここ静岡県東部は東京から新幹線でおよそ1時間。地の利もある。ましてやこのコロナ禍で東京にオフィスをかまえる必要はなくなった。東京から1時間のこの静岡県東部に引っ越して、リモートで仕事をするというスタイルに期待しての事だと思うが、何もそれは静岡県東部に限ったことでは無い。もちろんそういう人もいるだろうが、そんな人が静岡県東部の街のリニューアルされたスペースにかまえられた施設で仕事をするだろうか。仮にするとしても東京の仕事である。そんな他の自治体向けに客寄せパンダとしてクリエイターを呼び寄せたいだけなら、恐らくそれは長続きはしない。

逆に20年以上前に思ったものだが、地元にいながら地元の仕事をすることなく、東京の仕事をするクリエイターさんは多くいた。自分も前の事務所にいたときは当然地元の仕事などすることはなかった。その理由は、単価が歴然と違う。正直地元の仕事のみをしていれば、食っていけないのは当然だろう。

前にテレビでダウンタウンの松本氏が「わしは人を笑わせて飯食うてんねん。笑わせて電気代ガス代払おうてんねや。」と言っているのを見てそのとおりだと思った。よく皆さんが口にしているクリエイターという方々も何か作って、それが目に見えるものでは無くても、例えばソフトウェアや何かプロジェクトに関するプランであったり、ブランディングのような理念であったり、コンサルティングに関わるモノであったり、昨今クリエイトすることは様々ものがある。
クリエイターはそれが職業であり、それで飯を食って、それで電気代ガス代を払っている。クリエイターに来てもらいたいなら、クリエイターが稼げる街で無ければいけないのは当たり前。街の使われなくなったスペースを再利用(リニューアル)してどうとかするよりも、その方がクリエイターにとってみたら何よりも重大な問題だ。

仕事する場所は提供する、でもその先はご自分でどうぞというのならば、何も静岡県の東部でする必要もなく、何処でも同じだ。
今やオンラインという場所があることを何より忘れている。

だがまだこの静岡県東部の人は、その目に見えるものでしか価値がないと感じている方があまりに多い。だからそういうイベントの大体旗振りするのは地元の政治家や年寄りのNPO法人の方とか建設会社とか、俗に言うハコモノや補助金が大好きな方々だ。つまりその方々は、どういう理由だろうとハコモノにしてお金が落ちてくればいいのだ。

自分も何度となく「地元の問題を地元のクリエイターの力で解決してくれないか」その誘い文句にだまされてきた。その度に仲間のクリエイターの方々の期待を裏切り仲間を失ってきた。そもそも地元の問題を地元のクリエイターで解決したいと仲間に声をかけて、そのような組合を結成したこともあった。でも思うとおりにはいかなかった。クリエイターを使ってるという言葉に、使う側が酔ってしまったのか、それで満足してお金の支払いが満足にされないことも多々あった。

地元の旗振りする方々は、自分たちが目立てばいいのだ。まちづくりがどうとか言っている人は、街の外観がコンクリートでキレイに整頓された様子をただ見たいってそれだけなんだ。それを俺たちが作ったんだってそれを言いたいだけなんだ。中身がスッカスカだろうと、住んでる人や利用する人が高い家賃や利用料で苦しんでいようとそんなことはどうでもいいこと。その先はどうでもいいことなんだ。

だから若い夢見るクリエイターの方々はだまされてはいけない。君たちを客寄せパンダぐらいにしか考えていない人たちの問題を無償に近い報酬で解決する必要も全く無い。

このコロナ禍でクリエイターの働き方も大きく変わった。コワーキングもある意味必要なくなったと言える。それはオンラインサロンもあるし、仕事のマッチングもオンラインで出来る。リアルでやり取りするよりもずっとスピーディでビジネスライクだ。確かに場所を選ばなくなったかもしれないが、それは静岡県東部ではないかもしれない。また定住という概念も変わりつつある今、住む場所までも自由な時代はもはや来つつある。

若くクリエイターを目指す方々は、今後も都会を目指すだろう。どんどんそうした方が良いと思う。もちろん住み慣れた地元、育ってきた地元に還元したい。そのような良心的な若者もいると思う。でもあと20年待って欲しい。そうすればおのずと君たちの出番は来る。それまで海外や他の地域の問題を解決して腕を磨いて欲しいと思う。

まちづくりをしたい年寄り達に言いたいのは、もしも本気での集まる街を作りたいのであれば、クリエイターが稼げる街にすること。それがまずは大前提だ。それ以外の何物でも無い。もしくはせめて住居の保護や事務所の家賃補助などの優遇措置をするなど何らかの政策を考えるとか、ハコモノでは無いことを本気で考えるべきだと思う。
そうでないのであればかっこつけないことだと言っておきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?